株式を生前贈与する際必要な手続きは?注意点も紹介

株式贈与の手続きは、株式の種類によって異なります

株式の生前贈与の手続きはどうするべきか、気になる方は多いのではないでしょうか。
本記事では株式を生前贈与する場合に必要な手続き・気をつけたい注意点をご紹介します。
株式の生前贈与に興味のある方や手続きについて詳しく知りたい方はぜひご一読ください。

株式贈与についておさらい

手続きについてご紹介する前に、まずは株式贈与についておさらいしましょう。
生前贈与は、元気なうちに財産を人に無償で渡すことをいいます。

年間110万円までは非課税で贈与ができる

暦年課税制度を活用すれば、基礎控除により年間110万円までなら非課税で生前贈与することができます。
年110万円には現金だけでなく、今回ご紹介する株式も含まれます。
110万円を超えた場合、超えた額に対して贈与税が課税されます。

株式の贈与は評価額が重要に

株式贈与の場合、株式の価格(評価額)を出す必要があります。
評価額がわからなければ、これから受け取る株式が110万円を超すか超さないか判断できません。
評価額を出す方法は、上場株式の場合と非上場株式の場合で異なります。

上場株式の評価方法

上場株式は株式市場で誰でも売買できる株式です。
上場株式の評価額は生前贈与した日を基準とし、以下の4つのうち最も低い金額を選択できます。

  1. 贈与した日の最終価格
  2. 贈与した月の最終価格の平均額
  3. 贈与した月の前月の最終価格の平均額
  4. 贈与した月の前々月の最終価格の平均額

もし贈与した日の最終価格が高かったとしても、前月や前々月の最終価格の平均額が低い場合、低い金額を選択できます。

非上場株式の評価方法

非上場株式は株式市場で公開されておらず、一般の方の売買が難しい株式です。
社長の親が自分の会社の株式(自社株)を子に生前贈与するとき、非上場株式の評価方法で計算します。
非上場株式の評価方法は以下の4つがあります。

①純資産価額方式

企業の総資産や負債を相続時の評価で計算する方式。

②類似業種比準方式

似たような事業内容の企業数社の株価平均をもとに計算する方式。

③併用方式

純資産価格方式と類似業種比準方式を併用して計算する方式。

④配当還元方式

株式から得られる配当金と会社の資本金で評価する方式。

参照 国税庁 No.4638 取引相場のない株式の評価
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4638.htm
(2024/2/6 利用)

ただしどの方式を用いるかは株式によって違います。
加えて評価の計算がとても複雑なため、税理士などの専門家に相談しながら進めましょう。

株式を生前贈与する手続きの流れ

それでは実際に株式を生前贈与する場合、どのような手続きをすればいいのでしょうか。
評価方法と同様に、手続きは上場株式の場合と非上場株式の場合で異なります。

上場株式の場合

上場株式の場合、必要な手続きは以下になります。

  1. 証券会社へ連絡
  2. 贈与契約書の作成
  3. 必要書類を証券会社へ提出

①証券会社へ連絡

株式を生前贈与する際、まずは贈与者から証券会社に生前贈与したいという旨を伝えます。
連絡の方法は証券会社によって異なりますが、店舗への問い合わせ・電話やネットで申し込むのが一般的です。
生前贈与したいと伝えると、証券会社から必要書類を受け取ることができます。

②贈与契約書の作成

次に贈与契約書を作成します。
贈与契約書を作成することで、株式が本当に贈与されたという証拠が残せます。
株式の贈与契約書に記載するべき内容は以下の通りです。

  • 贈与者の氏名・住所
  • 受贈者の氏名・住所
  • いつ生前贈与されるのか
  • 株式の詳細な情報(会社名・所在地・数量・株式の種類)
  • 贈与の方法(一般的には「権利を移転する」と記載)

これらの内容を記載し、贈与者・受贈者それぞれ署名捺印することで贈与契約書が完成します。

③必要書類を証券会社へ提出

各証券会社から書類の提出を求められるので、揃えて提出します。
必要になる書類は証券会社によって異なりますが、例えば以下のような書類の提出が一般的です。

  • 移管依頼書
  • 贈与契約書
  • 印鑑登録証明書

他にもご自身で書類を用意しなければならない場合もありますので、詳細は各証券会社にご確認ください。

非上場株式の場合

非上場株式の場合、生前贈与は以下の流れで行います。

  1. 贈与契約書を作成する
  2. 株式会社に対し譲渡承認請求を行う
  3. 株式会社が譲渡承認を出す
  4. 株式会社側で株主名簿を書き換える

非上場株式は上場株式と比べ、自由に株式を移すことが難しくなっており、株式を発行している株式会社から承認を得なければなりません。
また株式会社側は非上場株式が他の人に移ったことを株主名簿に記載する必要があります。
自社株の生前贈与は株式会社側でも手続きが必要になるため、税理士などの専門家と相談した上で進めることをおすすめします。

株式贈与の手続きの注意点4選

上場株式・非上場株式それぞれの手続きの流れをご紹介しました。
ここでは株式を生前贈与する手続きの注意点を4つご紹介いたします。

  1. 証券会社によって手続きが異なる
  2. 同一銘柄を特定口座から特定口座への贈与は1回限り
  3. 非上場の場合譲渡承認が必要となる
  4. 書類に不備があるとトラブルに

注意点①証券会社によって手続きが異なる

生前贈与の手続きは証券会社によって異なります。
特に以下の2点は各証券会社によって異なるため、注意が必要です。

  • 提出書類
  • 受贈者は同じ証券会社の証券口座を開設する必要があるか

証券会社によっては、他の証券会社の口座に株式を移すことができない場合があります。
そのような場合には受贈者の口座開設も手続きに加える必要があります。
ほとんどの証券会社のサイトに生前贈与の手続きの方法が記載されているので、事前に調べておくと良いでしょう。

注意点②同一銘柄を特定口座から特定口座への贈与は1回限り

同一銘柄をある程度の数保有している場合、小分けにして毎年110万円の基礎控除の範囲内で生前贈与すれば、毎年非課税で受け取れるのではないかと思うかもしれません。
しかし、特定口座間で小分けにして生前贈与した場合、1回目の贈与は問題なく可能ですが、2回目以降の贈与は特定口座で受け取ることができません。

受贈者がその銘柄をすでに保有している場合、贈与者は保有している同一銘柄の一部を特定口座に移管することはできないと法律で決められています。

参照 e-Gov法令検索 租税特別措置法施行令第二十五条の十の二(特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=332CO0000000043_20240101_505CO0000000145
(2024/2/6 利用)

そのため特定口座の間で同じ銘柄を移したいのであれば、1回で移す必要があります。
小分けにして生前贈与する場合には、2回目以降は一般口座で受け取ることになります。
一般口座を持つと、損益を自分で計算し毎年確定申告する必要があるため要注意です。

 特定口座一般口座
扱える金融商品上場株式を含む一部金融商品のみ取引できる非上場株式を含むほぼ全ての金融商品を管理できる
確定申告が必要か基本的には不要(確定申告することも可能)毎年確定申告をする必要がある

注意点③非上場の場合譲渡承認が必要となる

前述でご紹介しましたが、非上場株式はほとんどに譲渡制限がかかっており、自由に贈与ができないようになっています。
これは想定していない人が株式を保有するのを防ぐもので、株式会社の承認がなければ生前贈与できません。
譲渡承認は株主総会か取締役会で得ることができ、どちらの承認が必要かは定款に定められています。

注意点④書類に不備があるとトラブルに

株式は現金や不動産と異なり目に見えない財産なので、生前贈与したという証拠を書類上にしっかり残していくことが重要です。
そのためもし必要書類に不備があると、証券会社が書類を却下し手続きできない・証券会社から書類が返送され手続きに遅れが出てしまうといったトラブルになります。
手続きの際は書類に不備がないか注意しましょう。

生前贈与に強い専門家へ相談しませんか?

株式の生前贈与の手続きは複雑かつご家族によって保有する株式の状態は異なります。
そのため「このまま進めて大丈夫なのか」と不安に感じる人は多いのではないでしょうか。
相続ぽるとでは、生前贈与を含むさまざまな相続対策をご案内しています。
ご家族ごとの現状を整理した上で、本当にやるべきことは何か、専門家の立場からアドバイスします。
生前贈与のことで悩んでいる・迷っている方は、一度相続ぽるとにご相談ください。

記事のまとめ

本記事では、株式を生前贈与する際に必要な手続きについてご紹介しました。
株式の生前贈与はやるべきことが多く面倒に感じられるかもしれません。
しかし相続が始まるタイミングの予測は難しく、場合によっては手続きを進めている途中で相続が始まる可能性も低くありません。
そのためなるべく早く、元気なうちから生前贈与を進めることが重要です。
安心して毎日を過ごすためにも、専門家の力を借りながら株式の生前贈与の手続きを進めましょう。