税理士に相続相談する際に必要な費用は?依頼するべきケースをご紹介

税理士への相続相談費用の相場は0.5%~1.5%

相続時には様々な手続きを行う必要があります。
税理士などの専門家に相談し、依頼をする場合にこんなお悩みはありませんか?

「税理士には、何が相談できるの?」
「報酬などの費用はいくらかかるのか」
「見積もりをもらったけれども高いのか良心的なのかわからない」
このようなお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
本記事は、税理士に相談できることから費用の相場・内訳などを中心にご紹介します。

相談先を税理士にしようと考えている方・既に相談依頼をしている方はぜひ一度ご参照ください。

税理士に相談できることは?

まず税理士に相談できることは、相続税の申告手続きだけではありません。
その他にも税理士に相談・依頼をすることで全体の手続きをスムーズに進めることができます。
税理士に相談できることは、以下の通りです。

  • 相続税の計算・申告納付手続きの代行
  • 節税対策のサポート
  • 税務調査時の対応
  • 相続税以外の税務相談

相続税の計算・申告納付手続きの代行

税理士に相続に関して相談する際には「相続税の申告納付手続きの代行」ではないでしょうか。
税理士は、税務に関する専門家です。
相続税の申告は、税金の計算から必要書類を集めて税務署に申告書を提出するだけですが、相続税の計算方法は複雑です。
個人で申告納付を行うこともでできますが、申告内容に不備が見つかった場合には、修正申告などを行い、追徴課税という追加で税金を納付しなければならない可能性もあります。
そのため、申告手続きに不安な方は税理士に相談をし、申告代行してもらう。
または申告のサポートなどを依頼することをおすすめします。

相続税対策のサポート

税理士は相続税の申告だけではありません。
申告手続きも専門ですが、相続税(節税)対策も専門としています。
遺産の種類や状態によって節税対策が異なります。
そのため、「なるべく節税をして申告をしたい」という方は、税理士への相談を検討してみると良いでしょう。

税務調査時の対応

相続税の申告が完了したら、全ての手続きが終わるわけではありません。
申告後、税務署は「申告された税金が本来申告するべき金額と相違がないか」の調査を行います。
日本では、納税者が自ら申告納付を行う、申告納税制度を利用しています。
本来申告するべき税金を納税していれば問題はありませんが、計算ミスや故意に申告内容を偽る人もいます。
そのため、税務署は申告内容に相違がないかをチェックするために、税務調査を行います。
相続税の税務調査は、全体の2割程度が調査されると言われています。
税務調査時には、申告した内容が分かる書類や評価額などが分かる書類が必要になり、署員と話をする機会もあります。
税理士に税務署の代理人にしておくことで、仮に調査があった場合でもスムーズに対応をしてもらうことができます。

相続税以外の税務相談

税理士は、税金や税務に関する専門家です。
相続税だけではなく、相続後に不動産や株式を売却する際には譲渡所得税などの異なる税金が課税される可能性もあります。
税理士に依頼をすることで、相続税以外の税金の相談などをすることができます。

相続相談の報酬費用の相場はいくら?

実際に税理士に相談した場合には、どのくらいの報酬費用(料金)が必要になるのでしょうか。
前述でご紹介した、相談内容によって報酬費用は異なります。
ここでは、報酬費用の相場と目安・注意点をご紹介します。

「遺産総額の0.5~1.5%」が目安の報酬費用となる

相続税の申告納付手続きの依頼を税理士に行った場合、税理士に支払う報酬費用は「遺産総額の0.5%~1.5%」です。
2002年までは、法律によって税理士への報酬費用は決まっていましたが、現在は廃止されており各税理士事務所が自由に報酬費用を設定できます。

しかし、いくら自由に報酬費用を設定しても良いち言われても、相場は存在し「遺産総額の0,5%~1.5%」が相場の報酬費用と言われています。

目安

ここでは、遺産の総額が1,000万円~3億円程度の場合の費用を、0.5%~1.5%だった場合の相場をご紹介します。
必ずこの金額が報酬費用になるわけではありませんので、注意してください。

遺産の総額報酬費用(0.5%~1.5%の場合)
1,000万円5万円~15万円
2,000万円10万円~30万円
3,000万円15万円~45万円
4,000万円20万円~60万円
5,000万円25万円~75万円
6,000万円30万円~90万円
7,000万円35万円~105万円
8,000万円40万円~120万円
9,000万円45万円~135万円
1億円50万円~150万円
1億5,000万円75万円~225万円
2億円100万円~300万円
2億5,000万円125万円~375万円
3億円150万円~450万円

必ず報酬費用が上記のような金額になるわけではありません。
0.5%~1.5%はあくまで報酬費用の相場ということを念頭に置きましょう。

あくまで”相場の費用”であることに注意

税理士の報酬費用は「遺産総額の0.5%~1.5%」とご紹介しましたがあくまで目安の相場ということに注意してください。
税理士への報酬費用は、遺産総額によって異なりますが被相続人の保有していた財産(遺産)や状況によって異なります。

  • 相続税の申告期限が近い
  • 収益不動産を保有している
  • 上場株式ではなく非上場株式を保有している

上記のようなケースの場合は、費用が異なります。

報酬費用が高額になるケースの理由は?

税理士への報酬費用は、0.5%~1.5%とご紹介しましたが、税理士への依頼によって報酬費用が高額になる可能性があるケースもあります。

前述でご紹介したケースがなぜ高額になる可能性が高いのでしょうか。

報酬費用が高額になるケース①相続税の申告期限が近い

相続税の申告期限は、相続開始から10ヶ月以内に手続きを行わなければなりません。
「10ヶ月もあるから余裕」と感じる方もいらっしゃいますが、相続手続きはやらなければならないことが多く、いつの間にか期限が迫っている。なんというケースも少なくありません。
そのような場合に、急いで税理士に依頼することがありますが、急いで税理士に申告手続きを依頼する場合、追加料金(報酬費用)が必要になることがあります。
追加される報酬費用に関しては、予め費用を決めている税理士もあれば、その時の状況によって費用が変わる可能性もあります。

報酬費用が高額になるケース②土地の評価が難しい

土地の評価方法は、遺産の評価額算出に欠かせません。
しかし、土地によってはでこぼこなどの土地の形状によって一律に計算できない場合があります。
そのような場合には、土地を精査する時間や書類の入手など様々な理由で報酬費用が追加で必要になる可能性があります。

報酬費用が高額になるケース③非上場株式を保有している

市場で購入することのできない株式のことを非上場株式と言います。
非上場株式を引き継ぐ場合には、税理士に相談することをおすすめします。
非上場株式は、上場株式と異なり評価額を算出するのが難しいです。
業績・負債・利益率など様々な項目などから算出するため、非上場株式を引き継ぐ場合には、税理士への報酬費用が高額になる可能性があります。

複数の税理士から見積もり費用をもらう

税理士への報酬費用は、各税理士事務所によって異なりますので、初回面談などの機会に報酬費用などで、見積もりをもらうことで費用感を把握することができます。

費用を払っても相談したほうが良いケース

相続税の申告納付は必ず、税理士に報酬費用を払い依頼をする必要はありません。
個人でも申告手続きは可能ですが、ここでは報酬費用を支払っても税理士に相談したほうが良いケースを6つご紹介します。

ケース①主な遺産が不動産

1つ目は、主な遺産が不動産のケースです。
不動産は、現金や株式などと異なり分割することが難しい財産の1つです。
また相続税の評価額も高額になる可能性があります。
現金が少なく不動産が遺産を占めている場合には、相続人同士で不動産の処分に関して揉めることがあります。

マンションには注意が必要

2024年1月より、マンションを引き継いだ際の相続税の評価額の算出方法が変更されました。
そのため、マンションを保有している場合には相続税が高額になるケースがあります。
税理士に費用を支払うことで、高額になる可能性の高いマンションなどを引き継ぐ際にサポートをしてくれます。

ケース②収益不動産を引き継ぐ場合

マンションやアパートなどの収益不動産を所有している場合には、税理士に相談することをおすすめします。
収益不動産は、一般的な不動産と異なり、活用できる特例などが存在します。
例えば、減価償却や適切な経費計上などを行う必要があります。
税理士や司法書士に相談をすることで税務処理などの負担を軽減することができます。

ケース③農地・山林を引き継ぐ場合

被相続人の中には、農地や山林などを保有している方もいらっしゃいます。
そのような場合には、税理士に報酬費用を支払っても相談を検討することをおすすめします。

農地や山林は税金の取り扱い方が特殊

農地や山林を引き継ぐ場合には、一般的な不動産(戸建・マンション)とは異なる評価方法を活用します。
農地や山林の相続には、一定の条件下で相続税の納税を猶予する特例が存在します。
この特例を活用することで、納税負担割合を大幅に軽減することが可能ですが、適用条件や手続きが複雑であるため、報酬費用が必要でも税理士などに依頼をすることをおすすめします。

参照:国税庁 第4節 山林及び山林の上に存する権利
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/10.htm

参照:国税庁 No.4623 農地の評価
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4623.htm

ケース④株式の評価額が高額な場合

上場株式などを保有している場合、評価額が高額になる可能性があります。
相続税は原則、現金納付をする必要があります。

ケース⑤海外に資産がある場合

被相続人が海外に資産を残していた場合には、税理士への相談をおすすめします。
海外資産の評価や申告には複雑な手続きが伴います。
各国の税法や資産評価方法が異なるため、専門的な知識が必要です。
申告するための計算方法等を誤ると、税務署からの指摘や追加の費用(税負担)が発生する可能性があります。
海外に資産がある場合には、評価・申告・納付でのトラブルを避けるためにも、報酬費用は必要になりますが税理士への相談・依頼を検討してみるといいでしょう。

ケース⑥相続人が多い場合

相続人が多い場合にも、税理士への報酬費用を支払って相談・依頼をすることをおすすめします。
一般的に、相続人が多い場合、「弁護士などの専門家に相談するのがいいのでは?」と感じるかもしれません。
確かに、相続人が多いケースでは分割方法などに関して、揉める可能性も否定できません。
しかし、分割方法だけではなく相続人が多い場合、相続税の計算が非常に複雑になります。
公平に分けるためには、弁護士だけではなく税理士への相談も検討することをおすすめします。

ケース⑦準確定申告が必要な場合

準確定申告とは、亡くなった被相続人が一定の条件を満たしていた際に、被相続人に変わって確定申告を行うことをいいます。
準確定申告が必要な被相続人の要件は以下のとおりです。

準確定申告が必要な人の要件
事業所得や家賃収入があった場合
生前に株式や不動産などを売却し、譲渡所得にかかる納税が発生していた場合
複数の会社からの給与があった場合(ただし「従たる給与」が年20万円以下の場合は申告不要)
年間2,000万円以上の給与があった場合
公的年金による給付が400万円以上あった場合
給与、退職金以外で20万円以上の給付があった場合

上記に該当する場合には、準確定申告が必要になります。
準確定申告に関しても必要書類や費用が異なりますので、税理士への相談をおすすめします。

ご紹介したケースはあくまで例です。
上記のケースでも必ず相談しなければならないわけではありません。
また、報酬費用は誰が払うのかでも揉める可能性も低くありません。
相談を早めにしておくことで、申告以外のサポートを多く受けることができますので、無料相談などを活用すると良いでしょう。

税理士以外にはどこに相続の相談ができる?

税理士には報酬費用を支払うことで、相続税の申告から節税などのアドバイスなどを受けることができます。
しかし、遺言書の作成や協議への参加などを行うことはできません。
税理士以外に、相続相談を行う場合にはどこに相談ができるのでしょうか。

相続ぽると

相続ぽるとでは「躓きやすい相続の入口案内」としてみなさまにご利用いただいております。

  • 税理士に相談したいけど知り合いがいない
  • そもそも税理士に相談するべきか判断ができない
  • 何から始めるべきかわからない

このようなことでお悩みではありませんか?
相続ぽるとでは、毎年100回以上の相続セミナーを行い、100件以上の個別相談を受けた専門家が在中しております。
「どの専門家にそうだんするのがいいのか」
「そもそも相談する必要があるのか」などみなさまの様々な不安を解消しております。
初回は費用は無料の相談をオンラインでも行っておりますので、不安な方は一度ご相談ください。

各種士業

税理士以外にも報酬費用を支払うことで、様々な手続きのサポート・代行を依頼することができる専門家がいます。
ここでは、詳しくご紹介はできませんが各専門家ができること・できないことを表でまとめておりますので気になる方はぜひ一度ご参照ください。

遺産の総額弁護士司法書士行政書士
相続人の調査
遺産の調査
遺言書の作成
遺産分割協議への参加
相続税の申告納付手続き代行
名義変更
相続登記

弁護士は、税務署長の許可を得ることができれば、税理士と同じように相続税の申告納付手続きを行うことができます。

しかし、一般的には税理士などへの紹介をすることが基本になりますので、「弁護士=相続税の申告手続きの代行」ではないということを覚えておきましょう。

全員が専門家ではない

全ての税理士・弁護士・司法書士・行政書士などが専門家ではありません。
事務所によって強みが異なりますので、複数の専門家に費用が無料の初回相談などを活用して見積もりをもらうと良いでしょう。

記事のまとめ

今回は、相続時の相談を税理士にする場合の相談できること・報酬費用の相場・報酬を支払っても相談するべきケースなどを順番にご紹介しました。
相続税の申告は、いくら遺産の総額が少なくても不安になります。
また申告までには様々な計算や必要な書類の収集・税務調査の対策などをする必要があります。
そのため申告や税務調査・遺産の評価が不安な方は、報酬費用は必要になりますが税理士などの専門家に相談・依頼することをおすすめします。