死因贈与とは?|遺贈との違いや方法を解説‼

死因贈与は亡くなって効力を発揮する贈与です

自分の死後、財産を渡す・引き継ぐ方法として相続や遺贈があります。
様々な相続対策・相続税対策がある中で「生前に渡す事が重要‼」と聞いたことはないでしょうか。
元気な間に財産を引き継ぐ方法を生前贈与といいますが、実は死後も行うことが可能なことをご存知でしょうか。
本記事は死後に財産を渡すことができる死因贈与について、制度の仕組みや注意点・手続きの方法などを解説していきます。
相続人以外に財産を渡したい人がいる・相続や遺贈以外の財産を渡す方法を知りたいという方はぜひご参照ください。

死因贈与とは?

死因贈与とは、自分の「死亡」を持って財産が受贈者に移る事をいいます。
一般的に法定相続人に財産は引き継がれるものの、人によっては法定相続人以外の人に財産を渡したいと考える方も多いのではないでしょうか。その方法の一つが今回の制度になります。
一般的に元気な間に行う事を生前贈与といいますが、死因贈与は自分の死亡により効力が発揮されます。
また民法第549条に記載されているように「贈与は、当事者の一方がある財産権を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」
つまり通常と同じように口頭でも双方の合意が取れれば行える諾成契約です。

引用:e-Gov 民法 第五百四十九条 (贈与)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
(2023/08/24 利用)

遺贈との違い

同じように死因により相続人以外に財産が渡る遺贈があります。
財産が渡ることは同じですが、それまでの過程が違いますので確認しましょう。
死因贈与では、諾成契約のため双方の合意が必要ですが遺贈は必要がありません。
遺贈は遺言書などにより、一方的に受遺者に財産が渡る制度のため遺贈者と受遺者の双方の合意は必要ありません。

種類が2種類あります

死因贈与には2種類があり、内容が異なります。
2つの種類は以下の通りです。

  • 負担付死因贈与
  • 始期付所有権移転仮登記

①負担付死因贈与

1つ目の種類は負担付死因贈与です。
「負担付」という言葉がついているため、不安になる方もいらっしゃいますと思いますがこの場合の「負担」とは、財産が渡る代わりに受贈者に何かしらの負担や義務があることです。

負担や義務

この場合の負担や義務とは、内容により異なりますが例えば身の回りのお世話などです。
他にも、自分ではないペットのお世話や兄弟姉妹の世話・ローンの残りを返済してほしい。などの義務になります。

渡すものによって負担や義務が異なりますが、双方の合意があれば自由に契約できるものとなっています。

②始期付所有権移転仮登記

2つ目は始期付所有権移転仮登記です。
これは死因贈与をする人が生存している間の所有権は渡す者にありますが、死因により所有権が無くなった場合には受遺者に対して所有権が移る登記のことをいいます。
始期付とは、贈与者の死亡によって始まるため一定期間の条件がついた仮登記のことです。
ただし言葉通り「仮登記」のため本登記が必要になりますので注意しましょう。

死因贈与のメリット・デメリット

制度や他の方法との違い、種類をご紹介しましたが、実際にどのようなメリットやデメリットがあるのか確認しましょう。

メリット①財産を確実に渡せる

死因贈与はあくまで諾成契約のため、法律行為です。
そのためどちらかが一方的に契約を破棄することはできず確実に財産を渡すことが可能です。

先程もご紹介しましたが、遺贈は受取を拒否する事が可能ですが、死因贈与では行えませんので確実性というメリットがあります

メリット②負担付死因贈与では受遺者の権利が守られる

負担付のご紹介をしましたが負担付の場合、契約内容が履行を始めた段階で贈与者の一方的な放棄ができなくなります。
遺言書などは書き換えが可能ですので履行するまで熟考期間がありますが、負担付きの場合は契約が成立した後、内容が履行されずとも一方的な放棄をする事ができませんので受遺者の権利(何かをもらうという権利)は守られます。

メリット③諾成契約のため、口頭でも成立します

先程もご紹介しましたが、死因贈与は諾成契約でも成立します。
遺贈とは異なり遺言書によってしているわけではありませんので契約の方法は遺贈よりも簡単になります。
そのため口頭で合意があれば成立したとみなされますが、後々「言った・言ってない」の水掛け論に発展する可能性もあります。

デメリット①負担付の場合は途中放棄ができません

メリットにもありましたが、一般的に負担付死因贈与が成立した場合には途中で契約の放棄をすることができません。
これは受贈者の権利を守られますが、贈与者は適用されませんので注意しましょう。

自由度が高いですが、遺言書のように正式な書面で契約を成立させなければなりません。

デメリット②課税される税金が増える可能性があります

死因贈与に不動産などを渡す場合、仮登記などの不動産登記にかかる登録免許税などが他の財産を渡す方法よりも税率が高くなります。
死因贈与では相続人・第三者に関わらず2%の税率になります。

遺贈との税率比較は以下の表の通りです。

遺贈死因贈与
相続人0.4%2%
第三者など2%2%

参照:国税庁 No.7191 登録免許税の税額表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
(2023/08/24 利用)

デメリット③家族間で揉める

死因贈与は、相続人以外の第三者に財産を渡す事が可能な方法です。

そのため家族へ伝えていなければ、どうして財産が移るのか納得がいかず、受贈者と家族である法定相続人との間で争うことがあります。

死因贈与のポイント

メリットやデメリットをご紹介しましたが、実際に死因贈与を活用する場合にはどのようなポイントを押さえればトラブルを防ぐことができる可能性があるのでしょうか。
主なポイントは3つです。

  1. 執行者を決めておく
  2. 公正証書で契約書を作成
  3. 家族(相続人)に贈与することを伝える

①執行者を決めておく

遺贈や遺言書では、執行者と呼ばれる遺言書の内容を実現するために行動する人を定める事が可能です。
死因贈与は法律上に規定はありませんが、実務上執行者を選任する事ができます。
仮に不動産などを死因贈与により渡す場合には、仮登記の次に行う所有権の本登記の手続きなどがスムーズに行う事が可能になります。

②公正証書で契約書を作成

死因贈与は口頭契約でも成立しますが「言った・言わない」のトラブルなどが起こる場合があります。
回避するためには契約書を作成し、公正証書化する事をおすすめします。
契約書を作成するのは、生前・死因関係なく作成する事が重要なポイントなります。
公正証書化するためには、費用などがかかりますが円滑に進めていくためには遺言書と同じように公正証書化することをおすすめします。

③家族(相続人)へ贈与することを伝える

デメリットでもお伝えしましたが第三者に財産を渡す事に抵抗する方もいらっしゃいます。
どのような理由で渡すのかなどを事前にお伝えすることにより渡すことへの抵抗を和らげる事が可能になります。

手続きの流れ

実際に試飲贈与を活用する場合はどのような手続きをするのと良いのでしょうか。

手続き①受贈者を決める

まずは財産を受取る受贈者を決めましょう。
死因贈与は相続人でも第三者でも渡すことが可能なため、お世話をしてくれた人や、これからお世話を頼みたい人などご自身の状況を確認し受贈者を決めましょう。

手続き②同意を得る

死因贈与はあくまで贈与契約になります。
そのため渡す側と受取る側両方の同意が必要になります。

手続き③死因贈与契約書を作成する

実際に双方の同意が取れた場合には、契約書を作成する事をおすすめします。
口頭でも成立してしまう契約のため「言った・言ってない」のトラブルが起こる可能性があります。
遺贈とは違い、形式などが決まっていないため贈与契約書を参考に作成してみてはいかがでしょうか。

作成時の注意点

トラブルを防止し、円滑に進めるためには以下のポイントを抑えましょう。

  1. 実印と印鑑証明書を用意する
  2. 現金などの預金は口座の種類・番号・支店名・名義人などの情報を記載
  3. 死因贈与契約書に執行者を指定しておく
  4. 不動産は登記簿謄本の記載内容に沿って記載

注意点

①死因贈与は遺留分侵害額請求の対象になる

遺留分とは相続人が最低限の相続財産を受け取れる権利の事をいい、遺言書でもこれを侵害する事ができません。
そのため遺言書に記載されている相続財産の分割方式が遺留分を侵害していた場合には遺留分侵害請求をする事が可能です。
遺贈では受遺者の権利を保護するため遺留分侵害請求はできませんが、死因贈与では遺留分が侵害されていた場合には侵害請求がされる可能性があります。

②死因贈与は相続税の課税対象

死因贈与は、名前から考えて贈与税の課税対象と思う方もいらっしゃいますが、実は相続税の課税対象となります。
これは死因によって財産の移転が始まるため相続税への課税対象財産になります。
つまり相続開始を知った日から10ヶ月以内に相続税の課税の有無を確認し必要であれば相続税の申告・納付をしなければなりません。
ですが、相続税には特徴があり一親等内の血族や配偶者以外が財産を受取る場合には相続税が2割加算されます。
そして通常の贈与と違い、単独で行う事ができません。そのため相続人全員と協力をしながら相続税の計算をしましょう。

参照:No.4157 相続税額の2割加算
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4157.htm
(2023/08/24 利用)

③効力が発生しない場合がある

実は死因贈与は効力が発揮されないケースが2パターンあります。
適用されないパターンは以下の通りです。

  • 相続人による撤回
  • 死亡前における撤回

パターン①相続人による撤回

民法第後五百五十条「書面によらない贈与は、各当事者が解除することができる。ただし履行が終わった部分については、この限りではない」と定められています。
つまり書面による契約でないこと・履行が完了していないことがポイントとなります。

パターン②死亡前における撤回

死因贈与は、死亡前であっても民法第千二十二条(遺言の撤回)を準用(ただし一部を除く)することが可能なため死亡前でも死因贈与の契約の取り消しを求める事が可能です。(大判昭和43年(ネ)593号)(最判S47.5.25)
ただし全ての契約が撤回できるわけではありませんので注意しましょう。

出典:裁判所 裁判例検索 昭和46(オ)1166 贈与契約不存在確認請求
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52030
(2023/08/24 利用)
出典:大判例 福岡高等裁判所 昭和43年(ネ)593号 判決
https://daihanrei.minorusan.net/
(2023/08/24 利用)

④遺言書が優先されます

遺言書は日付が新しいものが優先されます。
死因贈与は遺贈と同じように死亡により財産の移転が開始される制度です。
そのため、死因贈与契約書と遺言書の内容に差がある場合、日付が新しいものが優先されます。

先程もご紹介しましたが、死因贈与であっても民法の規定を準用することにより撤回をする事が可能なため死因贈与契約書を作成した後でも遺言書のほうが優先されます。

相続の相談は相続ぽるとへ!

相続ぽるとでは、死因贈与だけではなく「相続の適切な入り口」としてみなさまにご利用いただいております。
相続についてはウェブだけでは心配や正しいのか不安になる点も多いかと思います。
相続ぽるとでは、受取る側の目線に立ちご家庭に合った相続の最適化をご案内しております。
また必要に応じて各種専門家をご紹介し、共に併走してまいります。
死因贈与だけではなく、相続に対して漠然とした不安がある方や何から始めたら良いのかわからない場合はお気軽にご相談ください。

記事のまとめ

今回は死因による財産の移転である死因贈与について遺贈などとの違いなども踏まえながら詳しくご紹介しました。

死因贈与は相続発生時に相続人以外の第三者にも相続財産を渡すことが可能な制度です。一方で遺留分の対象になることや相続税の課税対象になるなどの注意しなければならない点が多くあります。
被相続人の意見を最大限に反映させるためには遺贈・死因贈与・生前贈与どの方法が適切であるかを考慮しなければなりません。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、死因贈与だけと決めつけずに相続の専門家にご相談することをおすすめします。