生前贈与って何?|やり方や手続き、贈与契約書などを解説!!

生前贈与は早く始めると大きな効果が期待できます

税制改正大綱の改正などにより生前贈与が令和6年から大きく変化します。
生前贈与は、適切に活用することができれば大きなメリットが期待できますが、適切に対処しなければいけません。
この記事では生前贈与とはなにか。やり方や手続き・必要な書類などの基本情報をご紹介します。
生前贈与を検討しているけれどもやり方がわからない・誰に相談したら良いかわからない方はぜひ一度ご一読ください!

生前贈与とは

財産を引き継ぐ方法は相続と生前贈与があります。
生前贈与とは、元気な間に自分の財産を少しづつ相続人に贈与していく事を生前贈与と言います。
ただし財産の受け取り方ややり方などにより非課税枠を活用していても贈与税などの税金が課税される事があります。

生前贈与は早い段階から始めると効果的です!

生前贈与は早い段階から始める事で将来的な相続財産を減らす事ができます。
事前に財産が減るため、相続税を減少させる事が可能です。

財産の受け取り方

生前贈与によって受け取った財産を受け取る方法は暦年課税制度・相続時精算課税制度になります。

受け取り方①暦年課税制度

暦年課税制度(暦年贈与とも言います)とは、1月~12月までの1年間に受け取った財産が110万円を超えなければ贈与税が課税されずに贈与を行う方法です。

受け取り方②相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、60歳以上の贈与者が18歳以上の受贈者(子や孫)に贈与する際に選択できる課税制度です。
最大で2,500万円までは非課税で財産を贈与することができ、合計で2,500万円を超えてしまった場合でも一律20%の税金が課税されそれ以上は課税されません。

相続時精算課税制度を選択する場合、一度選択してしまうと暦年課税制度に変更する事ができません。
相続時精算課税制度は暦年課税制度よりも複雑な内容になっておりますので、詳しく知りたい方はこちらをご一読ください。

生前贈与のやり方と手続きの流れ

具体的にどのようなやり方で手続きをするのが良いのでしょうか。
生前贈与をする前から考えておくべきポイントをご紹介します。

やり方①目的を明確にしましょう

まずは生前贈与の目的を明確にしましょう。
多くの方は生前贈与=節税。と考えている方も多いのではないでしょうか。
生前贈与では相続財産が減り将来的な相続税を減らせる事や、相続を待たなくても子や孫へ財産を渡すことが可能なことが大きなメリットとなります。
一方で受け取り方や受け取る財産の額によっては贈与税が課税されるため、相続に詳しい専門家と連携することをおすすめします。

やり方②受贈者と話し合う

生前贈与に関する計画が出来上がったら、受贈者と話し合いをしましょう。
贈与というのは、贈与者(あげる側)が「あげましたよ」という認識、受贈者(もらう側)が「もらいましたよ」という認識が相互に会って成立する諾成契約です。一方的な認識では成立はしません。
それを回避するためにも、「誰から・誰に・いつ・何を・どのように贈与する」かを決めましょう。
贈与者の一方認識を回避することや、贈与税がかかる場合に納税するのは受贈者のため納税資金はあるのかなどの相互の現状を把握するためにも受贈者との話し合いは行いましょう。

やり方③贈契約書を作成する

贈与者、受贈者双方の認識合わせが取れている証として「贈与契約書」を作成しましょう。
贈与では「贈与があった」という事を証明する事が重要になります。
贈与契約書を作成するメリットは大きく2つあります。

  • 贈与したことの証明
  • トラブル防止

贈与したことの証明

暦年課税制度や相続時精算課税制度※1でも毎年110万円の非課税枠があります。
※1 相続時精算課税制度の場合は令和6年1月1日以降の贈与のみ。
非課税枠に収まる範囲で生前贈与を行えば贈与税を申告は必要ありません。
しかし、税務署はお金の動きを把握する事ができるため贈与があったかどうかなどの指摘がある場合があります。
そこで贈与契約書を作成しておくことで、実際に贈与があったことを証明する事が可能です。

トラブル防止

先程、贈与は諾成契約(意思のみで成立する契約)とご紹介しました。
そのため契約書を作成せずに贈与を行う場合、贈与する事を「言った・言ってない」や「贈与する内容に差がある」などの、贈与者と受贈者の間でのトラブルが起きる可能性があります。
贈与契約書があれば「誰から・誰に・いつ・何を・どのように贈与する」かが明記されているためトラブル防止に繋がります。

やり方④財産を贈与する

贈与契約書が作成できれば実際に決めた日付に贈与をしましょう。
一方で現金などの預貯金を贈与する場合には名義預金に注意しましょう!

その生前贈与の仕方、名義預金かもしれません!

名義預金は贈与としてみなされません。

「ウチは昔から子どもそれぞれの銀行口座を作ってあり、そこに定期的に預金という形で贈与。将来使ってほしいと思っているので、通帳は親である私が管理してます。」という方も多いのではないでしょうか。

このように、口座の名義は子や孫だけれども、通帳・印鑑などを管理しているのは親。という形で贈与されている預金の事を名義預金と言います。
一見贈与している用に見えますが、受贈者(子や孫)の認識が無いという事は贈与されていないということになります。
この名義預金が相続申告後の税務調査で発覚し、ペナルティが課される場合もあります。
名義預金などはバレると認識しておき、通帳や印鑑の所有者は子または孫にしておく事が重要です。
名義預金に関するトラブルは裁判などの問題まで大きくなる場合があります。
気になる方はこちらをご一読ください。

やり方⑤財産の名義変更・登記を行う

実際に財産の贈与が行われた際には、名義変更や登記変更を行いましょう。
現金などの預貯金と土地や不動産などの場合では必要になる手続きが異なります。

現金などの預貯金の場合の手続き

現金などの預貯金を贈与する場合には、手渡しではなく銀行振込を行いましょう。
先程もご紹介しましたが生前贈与などで重要なのは「贈与の実態があった」ということです。
銀行口座で振込を行うとしっかりと履歴が残るため、現金などを生前贈与する場合は銀行振込を活用しましょう。

土地や不動産の場合の手続き

受け取った財産が土地や不動産の場合は、速やかに土地・不動産の所有権移転登記を行いましょう。
不動産や土地の所有権移転登記は、自分で行う事もできますがやり方や手続きが複雑なため、費用がかかってしまいますが専門家(司法書士)などに依頼すると良いでしょう。

土地や不動産を贈与した場合は、小規模宅地等の特例などの評価を下げる特例を活用する事ができません
特例はあくまで相続の場合のみ適用が可能です。
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

やり方⑥贈与税の申告を行う

生前贈与にて贈与をした結果、年間110万円の非課税枠を超えなければ贈与税の申告は必要ありません。
一方で贈与税の申告漏れをしてしまった場合には、追加徴税がありますので選択している課税制度を見直し、どのくらいの生前贈与で申告が必要になるのかを確認しておきましょう。

贈与税の申告方法は国税庁の「贈与税の申告」から申告書の作成ができますので気になる方はぜひ御覧ください。

出典:国税庁 贈与税の申告(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/souzoku.htm
(2023/08/22 利用)

相続税の節税対策になるの?

生前贈与を活用すれば相続税の節税効果にも繋がります。
「贈与税のほうが高い」となんとなく聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ここからは、贈与税と相続税ではどのくらいの差があるのかをご紹介します。

相続税と贈与税の税率を比較

贈与税・相続税どちらとも累進課税を採用しているため、財産が多ければ多いほど課税される税率も大きくなります。
以下の表が贈与税と相続税の税率となります。

引用:No.4408 贈与税の計算と税率
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm
(2023/08/22 利用)

引用:No.4155 相続税の税率
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm
(2023/08/22 利用)

贈与税のほうが税率は高い!

比較した税率を見ても財産が多ければ多いほど贈与税のほうが税率が高く設定されています。
税率だけを見ると生前贈与ではなく相続時に財産を渡す方が良いと思われがちですが、相続は1回しか財産を渡すことができません。
一方で生前贈与は亡くなるまでの間、何度でも可能です。継続的に財産を減らせれば相続よりも生前贈与が有利になる場合があります。

相続の相談は相続ぽるとへ‼

今回は生前贈与の基本知識からやり方・相続との違いについての記事をご紹介しました。
生前贈与は適切なやり方と手続きをすれば大きな相続税対策につながります。
一方でやり方などを間違えてしまうと多くの贈与税や相続税を納付しなくてはなりません。
非課税枠や控除枠などの使い方なども必要に応じて使いこなすことが重要になります。
贈与契約書など生前贈与は自分でも可能な手続きが可能ですが、不安な方は専門家と連携することをおすすめします。

記事のまとめ|やり方次第で大きな効果が期待できます!

今回は生前贈与の基本知識からやり方・相続との違いについての記事をご紹介しました。
生前贈与は適切なやり方と手続きをすれば大きな相続税対策につながります。
一方でやり方などを間違えてしまうと多くの贈与税や相続税を納付しなくてはなりません。
非課税枠や控除枠などの使い方なども必要に応じて使いこなすことが重要になります。
贈与契約書など生前贈与は自分でも可能な手続きが可能ですが、不安な方は専門家と連携することをおすすめします。