孫に生前贈与する方法をご紹介!毎年110万円まで非課税で渡せる?

制度の利用で、孫に多くの財産を残せます

孫に財産を残したい、特に生前贈与を活用したいと考えている方は多くいらっしゃるかと思います。
本記事では、孫に生前贈与するメリットや非課税で生前贈与をするための方法、生前贈与の注意点についてご紹介します。
孫に生前贈与したい、なぜしたほうが良いかを知りたい、非課税で孫に生前贈与するにはどんなやり方があるのか知りたいという人はぜひご一読ください。

Contents
  1. 生前贈与とは
  2. 孫に生前贈与するメリット
  3. 非課税で孫に生前贈与する方法5つ
  4. 孫へ生前贈与する際に注意することは?
  5. 贈与の相談は相続ぽるとへ!
  6. 記事のまとめ

生前贈与とは

孫への生前贈与のメリットや注意点について紹介する前に、前提として生前贈与とはどのようなものか、改めて確認しましょう。
生前贈与とは、元気なうちに現金や家・土地といった財産を子や孫・第三者に渡すことです。
贈与については民法第549条で定められています。

『贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。』

引用:e-Gov法令検索 民法第549条(贈与)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
(2023/11/29 利用)

贈与者(財産を渡す人)が「渡したい」と意思表示し、受贈者(財産を受け取る人)がそれを承諾することで贈与は成立します。

贈与財産には3つの種類がある

贈与財産は、贈与によって受け取った財産のことを指します。
3つの種類があります。

  1. 課税対象財産
  2. 非課税財産
  3. みなし贈与財産

①課税対象財産

財産を生前贈与で受け取ると、贈与税の課税対象になります。

  • 現金
  • 土地
  • 株式
  • 貴金属・宝石
  • 書画・骨とう

以上のものなどが贈与財産に含まれます。

②非課税財産

贈与財産のうち、以下のものは贈与税が非課税になります。

  • 法人からの贈与財産
  • 扶養義務者相互間の生活費等
  • 公益事業用の受贈財産
  • 心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の受給権
  • 選挙の候補者が受けた財産
  • 特別障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
  • 社交上必要と認められる香典等
  • 相続開始の年に被相続人から贈与を受けた財産

上記の中には、贈与税の対象にならない代わりに他の税金が課されるものも含まれるため注意が必要です。

③みなし贈与財産

また、実質的に生前贈与を受けたと同じとみなされる場合、「みなし贈与財産」として贈与税の課税対象になります。
みなし贈与財産には以下のものがあります。

  • 被相続人が保険料を負担していた契約の保険金(相続・遺贈によるものを除く)
  • 被相続人が保険料を負担していた契約の年金
  • 著しく低い対価で譲り受けた財産
  • 債務免除等によって利益を受けた場合
  • 信託契約により委託者以外の者が受益者となった場合
  • その他利益の享受(離婚による財産分与、負担付贈与など)

年110万円を超えた贈与は課税される

1年を通じて合計110万円の基礎控除を超える生前贈与を受けた人は、贈与税の申告書を提出し、贈与税を納付する必要があります。
年間110万円以下であれば申告書の提出および納税は不要になります。
贈与税を支払うのは財産を受け取った人です。そのため祖父母から孫へ生前贈与する場合、贈与税を払うのは孫になります。

贈与の税率は2種類あります。

  • 一般贈与
  • 特例贈与

一般贈与の税率表

贈与税の税率は以下の通りです。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
200万円超300万円以下15%10万円
300万円超400万円以下20%25万円
400万円超600万円以下30%65万円
600万円超1,000万円以下40%125万円
1,000万円超1,500万円以下45%175万円
1,500万円超3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

基礎控除は年110万円なので、例えば1年で300万円の贈与を受け取った場合、【300万円 – 110万円 = 190万円】で10%の税率が適用されます。

特例贈与の税率表

直系尊属(父母や祖父母など)から18歳以上の人(子や孫など)に贈与された財産は特別な税率で計算します。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
200万円超400万円以下15%10万円
400万円超600万円以下20%30万円
800万円超1,000万円以下30%90万円
1,000万円超1,500万円以下40%190万円
1,500万円超3,000万円以下45%265万円
3,000万円超4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

祖父母から18歳以上の孫に贈与する場合、こちらの税率表を用いて計算します。

孫に生前贈与するメリット

ここからは孫に生前贈与することで得られるメリットについて、生前贈与自体のメリットなども合わせてご紹介します。

メリット①:元気なうちに財産を渡せる

生前贈与することで、元気なうちに財産をどう分けるかある程度決めることが可能になります。
ご自身で財産を渡すため、相続で財産を渡すよりも安心感を得ることができます。

メリット②:相続税の負担を軽減できる

相続税は【3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数】で求められる基礎控除枠を超えると課税されます。
生前贈与することで、相続発生時に保有している財産が減ります。
その結果、相続税の負担を軽減することができます。

次のような家族を例に、生前贈与をしなかった場合とした場合で、相続税の負担がどれだけ変わるか見てみましょう。

  • 法定相続人:配偶者、子(計2人)
  • 相続財産の合計額:7,000万円

ケース①:生前贈与しなかった場合の相続税

まず、生前贈与なしで相続した場合です。

基礎控除は3,000万円+600万円×2人=4,200万円になります。
財産から基礎控除を差し引くと、7,000万円-4,200万円=2,800万円になります。
この金額を、今回は配偶者と子で1/2ずつ分けたと仮定して計算します。
するとそれぞれの取得額は1,400万円になります。
配偶者の取得額1,400万円と子の取得額1,400万円、それぞれに相続税の税率をかけて相続税の金額を求めます。
相続税の税率の速算表は以下の通りです。

各法定相続人の取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超3,000万円以下15%50万円
3,000万円超5,000万円以下20%200万円
5,000万円超1億円以下30%700万円
1億円超2億円以下40%1,700万円
2億円超3億円以下45%2,700万円
3億円超6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

配偶者の取得額1,400万円に対して、税率は15%、控除額は50万円です。
そのため、配偶者の取得額にかかる相続税は1,400万円×15%-50万円=160万円になります。
同じく子の取得額にかかる相続税も160万円です。
よって、合計320万円の相続税が課されることになります。

ケース②:100万円を10年間長男に生前贈与した場合の相続税

次は、相続開始の10年前から毎年100万円を長男に生前贈与していた場合です。

暦年課税制度では110万円の基礎控除があるため、年100万円の生前贈与に贈与税はかかりません。
これを続けることで、最終的な相続財産の金額が毎年100万ずつ少なくなっていきます。
ただし相続が始まると、開始から3年以内に相続人が受け取った生前贈与は相続財産に持戻されます。
そのため、相続財産は6,300万円になります。

基礎控除は同じく4,200万円です。
財産から基礎控除を差し引くと、6,300万円-4,200万円=2,100万円になります。
今回も配偶者と子で1/2ずつ分けたと仮定します。
するとそれぞれの取得額は1,050万円になります。
配偶者の取得額1,050万円と子の取得額1,050万円、それぞれに相続税の税率をかけて相続税の金額を求めます。
配偶者の取得額1,050万円に対して、税率は15%、控除額は50万円です。
そのため、配偶者の取得額にかかる相続税は1,050万円×15%-50万円=107万5千円になります。
同じく子の取得額にかかる相続税も107万5千円です。
よって、合計215万円の相続税が課されることになります。

今回のケースでは、相続税を320万円から215万円に減らすことができました。
加えて配偶者控除もあるため、実際に納める相続税はさらに減ります。
このように、生前贈与を活用することで相続税の負担を軽減できます。
しかし、状況により生前贈与が有効かどうかは変わります。
相続税について気になる人は、税理士などの専門家に相談してみましょう。

メリット③:相続するより多くの財産を孫に残せる

被相続人から配偶者や子以外の人に相続または遺贈すると、課される相続税は2割加算されます。

『相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)および配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。』

引用:国税庁 No.4157 相続税額の2割加算
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4157.htm
(2023/11/29 利用)

孫の両親(子)が生存している場合、孫は相続人に含まれませんので長い期間をかけて生前贈与を行うことで、法定相続分よりも多くの財産を渡すことが可能になります。

注意! 孫に相続したい場合は遺言書に記載する

民法で、相続人となれる人は配偶者・子・親・兄弟姉妹と定められています。
相続のタイミングで孫に資産を渡したいと考えている方は、遺言書で「孫に遺贈する」と記載しておきましょう。

メリット④:孫に生前贈与した財産は持ち戻し期間に含まれない

暦年課税制度を活用した贈与を行う場合、相続人への贈与のうち、相続開始から3年以内の贈与は相続財産に加算されます。
しかし、孫が相続人になることは(代襲相続を除けば)ありません。
したがって、孫への贈与は3年以内であっても相続財産に持ち戻されることはありません。

非課税で孫に生前贈与する方法5つ

以下制度や特例を駆使すれば、多くの財産を非課税で孫に生前贈与することも可能です。
ここでは、多くのメリットが得られる生前贈与の方法についてご紹介します。

方法①:暦年課税制度を利用する

暦年課税制度は、1月1日から12月31日までの1年間に贈与が合計110万円を超えると贈与税が課税されるという仕組みです。
贈与で受け取った財産を年間110万円以内に収めた場合は非課税です。
ただし、相続から3年以内の暦年贈与は相続財産に加算されるので注意が必要です。

2024年1月1日から持戻し期間が3年から7年に延長される

2024年(令和6年)1月1日以降、持戻し期間が3年から7年に延長されていきます。
2027年(令和9年)1月から持ち戻し期間が1年ずつ加算されていき、2031(令和13)年1月に最大の7年間になります。
この4年間に贈与により取得した財産の価額については、年間総額100万円まで控除できます。

方法②:相続時精算課税制度を利用する

60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子または孫への贈与とする場合、贈与財産を受け取る子や孫は、暦年課税制度または相続時精算課税制度を選択することができます。
相続時精算課税制度を利用する場合、合計2,500万円まで非課税で贈与することが可能です。
2,500万円を超えた分は一律20%の贈与税が課せられます。
相続時精算課税制度を利用して贈与された財産は相続開始時に相続財産に加算され、相続税の課税対象になります。
また贈与の金額にかかわらず、贈与のたびに贈与税申告書の提出が必要です。
贈与財産をもらう人によって制度を選ぶことができ、祖父からの贈与は暦年課税制度、祖母からの贈与は相続時精算課税制度と使い分けることが可能です。

2024年1月1日から基礎控除枠110万円が追加

相続時精算課税制度はこれまであまり活用されてきませんでした。
しかし2024年(令和6年)1月1日以降、年間110万円の基礎控除枠が新たに追加され、110万円以内の贈与であれば贈与税申告が不要、かつ相続財産に含まれません。
相続時精算課税制度ならではの利点もあるため、暦年課税制度とどちらを選ぶのか非常に重要です。
一度相続時精算課税制度を選んでしまうと暦年課税制度を選択することができなくなるため注意が必要です。

方法③:教育資金の一括贈与を行う(2026年3月31日まで)

孫の教育資金にあてるための贈与は、一括で1,500万円(学校等以外の者に支払われる金銭は500万円)を限度に非課税となります。
2026年(令和8年)3月31日までに受けた贈与が対象になります。

受贈者が非課税措置を受けるための条件として、以下の2つがあります。

  • 30歳未満であること
  • 去年の合計所得金額が1,000万円以下であること

両方を満たしている場合のみ利用できます。

贈与を受け取った孫は教育資金の支払いに使用したことを証明するため、領収書を金融機関に提出する必要があります。
また30歳までに孫が贈与で取得した資金を使い切れなかった場合、残った金額は30歳に到達した日に贈与があったものとみなされ、贈与税が課されてしまいますのでご注意ください。

贈与した人が死亡し、贈与で受け取った教育資金が残っている場合、残った金額に相続税が課せられます。
孫は相続税が2割加算されますので注意が必要です。
ただし、孫が以下のいずれかに当てはまる場合は相続税の加算対象外になります。

  • 23歳未満
  • 学校等に在籍中
  • 教育訓練給付金支給対象となる教育訓練受講中

「学校等」に含まれるもの

非課税措置がとられる教育資金のうち学校等に対して直接支払われる費用は1,500万円まで非課税となります。
「学校等」は小・中学校、高校、高等専門学校や大学だけでなく、幼稚園や認定こども園、外国の教育施設も含みます。
入学金や授業料、給食費や修学旅行費などは1,500万円の範囲内になります。

「学校等」以外に含まれるもの

学校等以外に対して直接支払われる費用は500万円まで非課税となります。
「学校等」以外の教育資金の支払いとして真っ先に挙げられるのが塾代ですが、スポーツクラブやピアノ、書道のような習い事の費用も含まれます。
他にも通学定期代や資格試験の受験料、意外なところでは自動車学校の費用も500万円までの範囲になります。

方法④:結婚・子育て資金の一括贈与を行う(2025年3月31日まで)

結婚・子育て資金にあてるための贈与は、一括で1,000万円(結婚に際して支出する費用は300万円)を限度に非課税となります。
2025年(令和7年)3月31日までに受けた贈与が対象になります。

受贈者が非課税措置を受けるための条件として、以下の2つがあります。

  • 18歳以上であること
  • 去年の合計所得金額が1,000万円以下であること

両方を満たしている場合のみ利用できます。

贈与を受け取った孫は結婚・子育て資金の支払いに使用したことを証明するため、領収書を金融機関に提出する必要があります。
50歳までに孫が贈与で取得した資金を使い切れなかった場合、残った金額は50歳に到達した日に贈与があったものとみなされ、贈与税が課されてしまいますのでご注意ください。
また、贈与した人が死亡し、贈与で受け取った結婚・子育て資金が残っている場合、残った金額に相続税が課せられます。
孫の場合は相続税が2割加算されますので注意が必要です。

方法⑤:住宅取得等資金の贈与を行う(2023年12月31日まで)

2023年(令和5年)12月31日までであれば、贈与者から受贈者へ渡した住宅取得等資金のうち1,000万円(省エネ等住宅)または500万円(省エネ等以外の住宅)が非課税になります。

受贈者が特例措置を受けるための条件として以下があり、全てを満たしている場合のみ利用できます。

  • 贈与者の直系卑属であること
  • 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること
  • 贈与を受けた年の合計所得金額が原則2,000万円以下であること
  • 贈与を受けたときに日本国内に住所を有すること、または日本国内に住所を有しないものの日本国籍を有し、かつ受贈者または贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること
  • その他、所定の要件を満たすこと

ただし、この特例措置は2024年以降の贈与では使えないため注意です。

詳しくは国税庁HPをご覧ください。

参照:国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm
(2023/11/29 利用)

孫へ生前贈与する際に注意することは?

ここまでで孫へ生前贈与するメリット・生前贈与で活用できる制度についてお伝えしました。
しかし、贈与の方法によっては思わぬトラブルにつながるおそれがあります。
贈与をする前に、以下の注意点を抑えておきましょう。

  • 贈与する前に孫に確認する
  • 孫が未成年の場合、親権者の同意が必要
  • 認知症と診断されると贈与が難しくなる
  • 定期贈与と判断される可能性がある
  • 名義預金と判断される可能性がある
  • 遺留分に気をつける

注意点①贈与する前に孫に確認する

贈与の前に、あげる側ともらう側の認識にズレがないよう孫に確認をとっておきましょう。
以下は最低限チェックしたい項目になります。

  1. 現在受け取っている金額
  2. 贈与額
  3. 生前贈与のタイミング
  4. 財産の種類
  5. 課税方法の選択

上記の事項を事前にチェックしておくことで、トラブルが起こるのを防げます。

特に、孫が他に贈与を受けていないか確認するべきです。
例えば、孫が祖父と祖母の2人からそれぞれ100万円ずつ贈与を受けたとしましょう。
すると孫は200万円の贈与を受けたことになります。
もし孫が両方とも暦年課税制度を選んだ場合、110万円の基礎控除を超えるため、残り90万円に対して贈与税が課税されることになります。

このように孫が1人からのみ贈与を受けるのであれば問題になりにくいのですが、贈与する人が複数人いる場合、110万円の控除を超えることも起こり得ます。
事前に孫と話をしておけば、贈与額を下げる、相続時精算課税制度を使うといった方法を選ぶことが可能です。
もし生前贈与するのであれば、その前に孫とよく相談しましょう。

注意点②孫が未成年の場合、親権者の同意が必要

未成年の孫であっても生前贈与を受けることは可能ですが、未成年は法律行為ができないため、親権者の同意が必要になります。
未成年の孫に贈与する際は、トラブルを避けるためにも贈与契約書を作成するのがおすすめです。
作成時は親権者の署名押印が必要になります。

贈与契約書とは

贈与契約は口頭で成立しますが、「言った言わない」が起こり、トラブルのもとになるおそれがあります。
このトラブルを防ぐのが贈与契約書です。
生前贈与を行ったという証拠としても役立つため、渡す金額にかかわらず作成することをおすすめします。

注意点③認知症と診断されると贈与が難しくなる

認知症になると、意思能力の低下とみなされ法律行為ができなくなります。
生前贈与は法律行為のため、認知症発症後の生前贈与は難しくなります。
他にも財産保護のため銀行での取引が制限される・保険契約の保険金・給付金の請求ができなくなるなど、認知症と診断されると困ることは多いです。
生前贈与は元気なうちから着手しましょう。

注意点④定期贈与と判断される可能性がある

暦年課税を選択した場合、気をつけなければならないのが定期贈与です。
毎年定額で贈与すると、税務署から定期贈与だと判断されることがあります。
定期贈与だとみなされると、数年間かけて渡した財産を一括で受け取ったものとして贈与税が課税されてしまいます。

例えば同じ1,000万円の贈与でも、1,000万円を1年で一括で贈与する場合と、100万円を10年かけて贈与する場合では、贈与税の基礎控除110万円の影響により手元に残る金額に大きく差が出ます。
これを防ぐため、定期贈与が発覚した場合、最初から1,000万円を一括で贈与されたとみなされ贈与税が課税されます。
もし贈与契約書に「100万円を10年かけて贈与します」と書いてしまうと、最初から1,000万円を贈与するつもりだったとみなされ課税対象になる危険性があります。

定期贈与とみなされることを防ぐために、以下のポイントを抑えておきましょう。

  • 生前贈与したら都度贈与契約書を作成する
  • 毎年、贈与で渡す金額を変える
  • 基礎控除枠110万円を少しだけ超えて贈与する
  • 贈与する時期をバラつかせる

「数年に渡って生前贈与をしたいけど、定期贈与にならないか不安」と悩んでいる方は、専門家に相談するのがおすすめです。

注意点⑤名義預金と判断される可能性がある

名義預金とは、口座の名義人と実際にお金を預金している人が違う口座のことをいいます。
以下のケースでは、名義預金とみなされる可能性が高いです。

  • 祖父が孫の名義で預金の積み立てを行っているが、孫や親権者が口座のことを知らない
  • 孫の年齢等を考慮して、預金通帳やカード・印鑑を渡さず祖父が管理している

名義預金と判断されないためにできること

孫名義の預金がある場合にやっておくべきことは以下の通りです。

  • 孫に口座の存在を伝え、通帳・カード・印鑑を渡す
  • 孫に口座に貯まったお金を入出金させる
  • 贈与契約書を作成する

これらに注意することで、名義預金と判断されにくくなります。

注意点⑥遺留分に気をつける

遺留分とは、相続人が最低限相続できる最小限の割合のことです。
生前贈与で孫だけに多くの財産を渡してしまうと、相続人の遺留分を残せなくなる可能性があります。
したがって、もし孫に生前贈与するのであれば、遺留分を侵害しない額の贈与に留めておくことが重要です。

遺留分に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

贈与の相談は相続ぽるとへ!

相続ぽるとでは、孫へ生前贈与する方法だけではなく「適切な相続の入り口」として皆様にご利用頂いております。
生前贈与の方法はさまざまあり、状況に合わせて使い分けることができれば大きな効果が期待できます。
そして各種制度を最大限に活かすためには、税理士等の頼れる専門家と一緒に生前贈与を進めていくことが大切です。
生前贈与についてもっと知りたい、他の相続対策のやり方を知りたいという方はお気軽にご相談ください。

記事のまとめ

生前贈与は、祖父母が孫のために財産を残す方法としても非常に有用です。
制度を有効活用することで、ほとんど非課税で財産を渡すことも可能です。
さらに生前贈与することで、将来相続が発生した際に相続人が支払うことになる税金を減らすことにもなります。
また、生前贈与が節税につながるのはもちろんですが、教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与は孫の就学や結婚といったライフイベントに関わるきっかけにもつながります。

生前対策は複雑で難しく、やらなきゃいけないと思ってもつい後回しにしてしまうかと思います。
しかし事前準備をしておけば、家族の将来についての不安を大幅に減らすことができます。
相続や贈与でお困りの方は、税理士等の専門家に相談しながら進めましょう。