株の名義変更はどうする?生前と相続での手続きの違いや手続きを紹介

株の名義変更をする際には評価方法に注意

新NISAや投資信託などにより、株などの金融商品を所有する人が増えています。
しかし、購入をして運用をする以外にも相続や贈与によって株を引き継ぐ可能性はあります。
株を相続・贈与によって取得した際には、名義変更が必要になります。
しかし、運用したことない方は仮に相続によって引き継ぐ・贈与によって受け取っても手続きがわからないのではないでしょうか。
また上場株式なのか非上場株式なのかでも手続きは変わります。
本記事では、株を相続・贈与などによって引き継いだ際の手続きについてご紹介します。
注意点やそれぞれの特徴・必要な書類なども合わせてご紹介しておりますので気になる方はぜひ一度ご参照ください。

相続や贈与によって手続きが必要になる

前述でご紹介しておりますが、株は主に2種類の引き継ぐ方法があります。
それは相続と生前贈与です。

相続

相続とは、亡くなった方の財産を「誰が・どのくらい・どの財産を引き継ぐのか」を決めます。
相続では、贈与と異なり誰でも被相続人の財産を引き継げるわけではありません。
法律で定められた相続財産を受取る権利(相続権)を有している人が相続人になることができ、被相続人の財産を引き継ぐことができます。
遺言書などの被相続人が財産のを引き継ぐ相続人を指定している場合と、相続人全員の話合いで決める遺産分割協議などによって決めます。
仮に、父が亡くなり相続財産の中に株式や投資信託などの財産が含まれているとします。
相続人が亡くなった父の株を引き継ぐ場合には「相続」によって引き継いだことになります。
その場合には、株の名義変更手続きを行わなければならず評価額によっては、「相続税」を納付しなければなりません。

生前贈与

生前贈与とは、相続と異なり株や投資信託などを保有している方が生前の元気な間に第三者に財産を渡す行為のことを生前贈与と言います。
生前贈与と贈与はほとんど同じ意味ですが、相続時に被相続人の死亡によって贈与を行う死因贈与なども贈与に含まれます。
今回は生前による財産の引き渡しの意味で贈与としてご紹介しております。
株式の贈与とは、父親が現在運用している株を、受贈者(財産を受取る人)が受け取ると「贈与」によって財産を取得したことになります。
贈与の場合でも、相続と同じように名義変更手続きを行う必要があります。
贈与の場合は、「贈与税」が課税され期限以内に納付手続きを行う必要があります。

相続・贈与でも名義変更は必ず行う

相続や贈与で株を引き継いだとしても名義変更手続きを行わなければなりません。
なぜならば、名義変更手続きを行わなければ株の管理・運用・処分をすることができないからです。
相続や贈与でも、名義変更を行わない限り株を保有しているのは、受け取った側ではありません。
前述の例を参考にする場合、名義変更を行わない限り株の持ち主(名義人)は父親となります。
所有者の名義を受け取った側に変更する手続きを行わない限り、売却することや配当金などの利益を受取ることはできません。
また名義変更を行わなければ第三者に勝手に名義変更をされて売却される可能性もあります。
相続・贈与ともに名義変更に関する期限はありませんが、早めに行いましょう。
仮に株や投資信託などの証券に関して知識や経験がない場合には、証券会社や証券に詳しい専門家(IFA)に相談することをおすすめします。

上場と非上場

株の中には、上場株式と非上場株式があります。
どちらの株なのかによって、名義変更に必要な書類が変更されます。

上場株式

上場株式とは、会社が発行しているの株式を証券取引所で証券会社を通して誰でも自由に売買できる株式(公開株式)のことです。
自社の株式を第三者が購入することで資金調達が行えます。

非上場株式

非上場株式とは、上場株式とは異なり証券取引所で売買がされていない株式(未公開株式)のことです。
証券取引所で購入することはできませんので、企業のオーナーや役員などが保有しています。

上場株式の生前贈与による名義変更手続き

まずは、保有している上場株式を贈与によって取得した場合の名義変更手続きについてご紹介します。
手続きの流れ・評価方法・名義変更の際に必要になる書類について詳しくご紹介します。

名義変更手続きの流れ

上場株式を贈与によって取得した場合の名義変更手続きの流れは以下のようになります。

贈与者と受贈者で贈与の約束する
贈与契約書を作成する
証券会社に株式を贈与する申立を行う
契約書などの必要証類を準備し証券会社に提出をする
証券会社が名義変更手続きを行う

原則、上記のような流れで名義変更手続きを行います。

同じ証券会社の口座が必要

株を贈与する際には、証券口座に証券を移管します。
その際には、贈与者(証券を渡す側)と同じ会社の口座が必要になります。
口座の開設には手数料がかかる証券会社もありますので注意しましょう。

評価方法

株を贈与によって引き継いだ際には、贈与税が課税されます。
年間110万円であれば非課税で贈与税はかかりません。
しかし、株などの見えない財産を引き継ぐ際には受け取った株がいくらなのか。
評価額を計算しなければ、贈与税の申告を行うことができません。
上場株式を受け取った際の評価方法は以下の4つの価格の内最も低い金額で評価されます。

株式を贈与によって取得した日の終値
株式を贈与によって取得した月の終値の平均値
株式を贈与によって取得した前月の終値の平均値
株式を贈与によって取得した前々月の終値の平均値

上記のような終値を基準として計算をします。
株は常に価格が変動するため、このような措置が取られています。
仮に9月20日に贈与が開始された場合を考えてみましょう。

発生日終値
相続発生日(9月20日)4,516円
相続発生日の月の毎日の終値の平均額(2024年9月の平均額)3,822円
相続発生日の前月の毎日の終値の平均額(2024年8月の平均額)4,581円
相続発生日の前々月の毎日の終値の平均額(2024年7月の平均額)4,179円

上記の場合最も低い金額である3,822円が1株あたりの評価額になります。
1株あたりの評価額に受け取った株数をかけることで、贈与によって受け取った株の評価額を計算します。

参照:国税庁 No.4632 上場株式の評価
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4632.htm
(2024年5月23日 利用)

名義変更に必要な書類

上場株式の名義変更手続きに必要な書類は以下の通りです。

証券会社が発行する依頼書
贈与契約書
株主名簿登録申請書
身分証明書

上記でご紹介した書類はあくまで概要になります。
証券会社によって必要な書類は異なりますので、必ず証券会社に連絡をして必要な書類を伺いましよう。

非上場株式の生前贈与による名義変更手続き

非上場株式などの証券取引所で購入できない株を贈与によって引き継ぐ場合の名義変更手続きはどのように行うのでしょうか。
名義変更の手続きは、証券会社ではなく会社の株を発行している会社で行います。

名義変更手続きの流れ

証券会社ではなく発行会社で行う手続きは以下の通りです。

贈与契約書を作成する
株式会社に譲渡承認請求を行う
会社が譲渡承認を出した後に株主名簿を書き換える

非上場の株式には譲渡制限(多く取得すると会社への影響があるため)がついています。
名義変更もその会社の承認を受ける必要があります。
ご紹介した名義変更手続きはあくまで概要になりますので、気になる方は発行会社に問い合わせると良いでしょう。

評価方法

非上場株式の評価方法は、上場している株式とは異なる評価方法になります。
株式を発行した会社を総資産価額、従業員数および取引金額により大会社、中会社または小会社のいずれかに区分して、評価方法を変えています。

大会社

大会社は類似業種比準方式を活用します。
対象となる企業と類似の業種に属する他の企業の財務指標を比較し、その企業の価値を推定します。
配当金額・純資産額・利益金額などを比較して評価をします。

子会社

子会社は、純資産価額方式を活用します。
企業の資産の純価値に基づいて評価を算出します。

会社の資産と負債を評価し法人税などの税金を差し引くことで純資産の計算を行います。

中会社

中会社は、類似業種比準方式と純資産価額方式を併用して株式の評価をします。

あくまでご紹介したのは一般的な非上場株式の評価方法のため必ず専門家に相談しながら進めましょう。

名義変更に必要な書類

非上場株式を贈与する際に必要になる書類は以下の通りです。

贈与契約書
株式譲渡承諾書
株主名簿の変更申請書
身分証明書

実際に名義変更が完了した際には、譲渡証書が発行されこの証書には、贈与される株式の詳細と移転の条件が記載されています。

上場株式の相続による名義変更手続き

続いては株式を被相続人の死亡をもって相続で取得した際に必要になる名義変更手続きをご紹介します。
相続の名義変更も贈与と同じように上場株式の場合は証券会社を経由して名義変更手続きを行います。

名義変更手続きの流れ

相続によって株を取得した際の名義変更手続きの流れは以下の通りです。

被相続人が運用していた証券会社に連絡をする
必要に応じて相続人の口座を開設する
相続人が必要書類を準備する
証券会社に必要書類を提出する
証券会社が名義変更を行う

中には被相続人がどの証券会社の株を運用していたのかわからない場合もあります。
その際には、証券保管振替機構(通称:ほふり)に問い合わせをすることで、被相続人が運用していた証券を知ることができます。

評価方法

上場株式を相続によって引き継いだ際には、相続税が課税されます。
相続税の計算をするためには、引き継いだ株式の評価額を算出しなければなりません。
相続によって株を取得した際の評価方法は、贈与と同じように以下の評価額の中で最も低い金額が1株あたりの評価額になります。

株式を相続によって取得した日の終値
株式を相続によって取得した月の終値の平均値
株式を相続によって取得した前月の終値の平均値
株式を相続によって取得した前々月の終値の平均値

1株あたりの評価額が算出された場合には、相続で取得した株数をかけて評価額を計算します。

名義変更に必要な書類

相続によって株を引き継いだ際の名義変更に必要な書類は以下の通りです。

株式名義書換請求書
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの記載があるもの)
相続人全員の戸籍謄本
遺言書または遺産分割協議書の写し
遺産分割協議の場合は、相続人全員の印鑑証明書

名義変更に必要な書類は証券会社によって異なりますので、相続が発生した場合には証券会社に必ず連絡を取り必要な書類を準備しましょう。
また、相続人や被相続人の戸籍謄本や印鑑証明書などは発行から何ヶ月以内と期限が決まっている書類もありますので合わせて注意しましょう。

非上場株式の相続による名義変更手続き

相続によって非上場株式を引き継ぐ場合には、どのような手続きが必要になるのでしょうか。
相続でも贈与のときと同じように、証券会社ではなく発行会社で名義変更の手続きを行う必要があります。

名義変更手続きの流れ

名義を変更する場合には、発行会社で手続きを行いますが手続きの流れは以下の通りです。

遺言書または遺産分割協議により、誰が引き継ぐのかを決める
必要書類を準備し発行会社に提出する

贈与の時とは異なり、相続によって引き継ぐ場合には贈与契約書などの作成は必要ありません。
しかし、誰が被相続人の株を引き継ぐかを決めなければ手続きを行うことはできませんので早めに行いましょう。

評価方法

相続による株の評価方法は、贈与の時の評価方法と変わりません。
会社を区分しそれぞれにあった評価方法を算出します。

名義変更に必要な書類

相続で株を引き継ぐ際の必要な書類は以下の通りです。

株式譲渡承諾書
株主名簿の変更届
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの記載があるもの)
相続人全員の戸籍当方本
遺言書または遺産分割協議書の写し
遺産分割協議の場合は、相続人全員の印鑑証明書

上場株式と同様に、相続で引き継ぐ際には、被相続人との続柄を証明するための書類や誰が引き継ぐのかを明確に記載された書類が必要になります。

手続きをする際の注意点

相続・贈与によって株を運用する場合の名義変更の流れや書類などをご紹介しました。
ここからは名義変更手続きを行う際に注意しなければならないことをご紹介します。

贈与の場合は認知症に注意

贈与を行う場合には、認知症に注意しましょう。
認知症の方は、判断能力が低下されていると判断されているため、法律行為の内容が無効になる可能性があります。
贈与は渡す意思と受取る意思を表示することで成立する契約行為(法律行為)です。
そのため認知症になってしまっている場合には、株の生前贈与は難しくなりますので注意しましょう。

贈与税・相続税の申告期限に注意

前述で贈与・相続によって株を受け取った際には名義変更の期日はないとご紹介しました。
確かに名義変更の期日はありませんが、財産が移転したことによる税金の納付には申告期限があります。

贈与税

贈与は、年間で110万円以内であれば課税されませんが110万円を超える場合には贈与税が課税されます。
贈与税は、財産を受け取った年の翌年の2月1日~3月15日までの間に納付しなければなりません。

相続税

相続税には基礎控除枠が設けられています。

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

上記の基礎控除枠を超えない限りは相続税は課税されません。
しかし、基礎控除を超過してしまった場合には相続税が課税されます。
相続税は、相続が開始された日から10ヶ月以内に申告納付をしなければなりません。
具体的な計算方法や手続き方法に関しては、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

記事のまとめ

証券(株)などの目に見えない財産でも名義変更は必ず必要になります。
名義変更を行わなければ、管理・運用・処分(売却)をすることができなくなります。
また、相続や贈与などの財産移転が起きる際には名義変更に加えて税金の納付手続きなども必要になります。
上場株式であれば、証券会社に連絡をすることで手続きを行えますが非上場株式の場合は、評価方法が難しいため専門の税理士などに相談することが大切です。

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