相続開始から3ヶ月以内の手続きとは?|流れや必要なことを解説

相続手続きとは?

ご家族が亡くなり、死亡届や各資格停止手続きなど様々な手続きがありますが亡くなった後に重要なのが相続の手続きです。
亡くなった被相続人の遺産をどのくらい・誰が受取るのかを決めて相続税の計算などをしなければなりません。

本記事では、相続手続きとは何か。必要な手続きと必要な書類・費用をご紹介します。
相続手続きについてあまり知らない。必要書類や手続きや流れを知りたい方はぜひご参考ください。

相続手続きとは?

相続手続きとは先程も少しご紹介しましたが、遺産を誰がどのくらい受取るのかを決める手続きです。
必要に応じて相続人全員で話し合う事を求められる場合があります。
また、遺産を受取るのか放棄するのかなど相続手続きにはj早めに取り組んで老いたほうが良いことがたくさんあります。
簡単な流れは以下のような流れです。

  1. 相続人の確定
  2. 相続財産(遺産)の確認
  3. 遺産分割
  4. 遺産を承認するか放棄するのか
  5. 相続税の計算
  6. 必要に応じて相続税の申告・納付

以上のような流れになっています。

早めに取り組む手続き

相続手続きは期日が決まっている手続きが多く、期日を超えてしまうと超えた部分に応じて税い金を払わなくてはなりません。
まずは、相続が発生する前から始めておくべき手続きをご紹介します。

手続き①相続人の確認・確定

相続が発生してから相続人を把握すると時間がかかってしまいます。
いざ始まると遠方や海外に住んでいるなど、予想外のことが起きてしまうのも相続ではあります。
そのために必要なのは以下のとおりです。

  • 家系図や相続関係説明図を活用する
  • お盆や正月などを利用する

家系図や相続関係説明図を活用する

相続人を把握するためには、誰が相続人になるのかを知ることが大切です。
相続人の範囲は知っているけれども誰が該当するかはわからない。という場合には、家系図などを利用しましょう。
家系図は公的書類ではないため、手続きには利用できませんが相続関係説明図や法定相続情報一覧図などは手続きで利用できます。
それらの書類を作成するには、戸籍謄本や法務局の認証などの手続きや手数料などの費用が必要になります。
作成するまでに必要な書類や必要な手続きがいりますが、その分相続で活用できますので作成してみてはいかがでしょうか。

お盆や正月を利用する

お正月やお盆などは、将来的に相続人となる親戚が集まる重要な場です。
その場でコミニュケーションやその家庭の事情を把握していおくと後の手続きが必要になった場合でも柔軟に対応する事ができます。
話し合うことに必要な書類や手続はいりません。コミニュケーションと言っても相続の話だけではなく、他の事を話しても良いです。
お盆などの先祖や亡くなった方を供養する時節に集まる場合は、積極的にコミニュケーションを図ると良いでしょう。

手続き②相続財産の確認

早めに取り組んでおく手続きの2つ目は相続財産(遺産)の確認です。
遺産には様々なものが含まれますが、代表的な遺産は以下のとおりです。

  • 不動産(土地・建物)
  • 預金
  • 有価証券
  • 保険
  • 自動車
  • デジタル財産
  • 貴金属や宝石

さらに借金などの借入金もマイナスの財産として、遺産に含まれます。

少々厄介なのはビットコインに代表される仮想通貨・暗号資産などのデジタル財産の存在です。
被相続人のスマホやパソコンに管理アプリが入っている可能性が高いので、まずはアプリやメールで取引所を調べてお問い合わせをするのが良いでしょう。
その前に、スマホやPCのロックを攻略するという壁がありますので時間がかかる事が予想されます。
所有の有無に加え、ID・パスワードなどもできれば事前に知っておきたい情報です。

財産目録の作成

相続財産などを把握するには、財産目録を作成することが大切です。
必ず作成しなければならない書類ではありませんが、作成しておくとのちの遺産分割などで財産がどのくらいあるのかを把握しやすくなります。
作成方法などの形式は決まっていませんが、不安な場合は専門家に相談することをおすすめします。
自分で作成することも可能ですが、被相続人に作成してもらうことで見落としがなくなりますので被相続人に作成してもらうと良いでしょう。

遺産分割の手続き

相続が実際に発生し相続人の確定まで行うことができたら、次はどのように分けるかを決める遺産分割に入ります。
遺産分割は遺言書ある場合とない場合で手続きが異なります。

遺言書がある場合の手続き

遺言書がある場合は基本的に遺言書に書かれている内容で分割をします。
遺言書は相続で大きな効力をもつ書類のため、書類の形式や作成方法などが決められています。
もし形式や方法に不備があればその遺言書は無効扱いになりますので注意しましょう。
遺言書には3つの種類があり、公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言の種類があります。
どの遺言書にも作成方法がありますので、注意しながら遺言書を作成しましょう。(遺言書によって費用が必要になります。)
また、相続開始後に遺言書が見つかった場合は家庭裁判所にて検認(裁判所での確認)が必要です。
勝手に開封すると、罰金が課される場合がありますので注意しましょう。

遺言書があっても遺産分割協議が可能です。

基本的には遺言書があった場合には、そのとおりに分割しますが内容に不満がある場合、相続人全員の同意が必要ですが遺産分割協議が可能です。
しかし遺贈などの第三者に財産が渡る旨の記載がある遺言書の場合は、遺贈に寄って財産を受取る人の権利を守るため、分割協議ができませんので注意しましょう。

遺言書がない場合の手続き|遺産分割協議

遺言書がない場合には、相続人全員で話し合って分割方法を決める遺産分割協議を行います。
遺産分割協議は原則相続人全員で話し合いをします。
預金や不動産などのプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も分け方を決めなければなりません。
遺産分割協議がまとまった場合は、遺産分割協議書という書類を作成します。
仮に遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所が介入する遺産分割調停。調停でも決まらない場合には裁判所が分配方法を決める遺産分割審判が行われます。

遺産分割協議が完了したら遺産分割協議書を作成

財産の分け方が決まった場合には、同意を得た事を証明する遺産分割協議書を作成します。

諸々の手続き

ここからは各項目ごとに必要な手続きや書類をご紹介します。

銀行などの預貯金の手続き

多くの方が、預貯金などの銀行口座をお持ちだと思います。
銀行などの金融機関等は、被相続人の死亡を確認するとその方の財産を守る必要があるので銀行口座を凍結します。
凍結されると取引が一時的にできなくなりますが解除手続きをすることで再度銀行での取引が可能です。
一般的に遺言書がある場合とない場合で必要な書類や手続が異なります。

遺言書がある場合の手続き

遺言書がある場合の必要書類は次の通りです。

相続届
遺言書
相続関係を証明する戸籍謄本など
印鑑証明証

遺言書がない場合の手続き

遺言書がない場合の必要書類は次の通りです。

相続届
相続人全員の同意を得た遺産分割協議書
相続関係を証明する戸籍謄本など
相続人全員の印鑑証明証

株式等の有価証券の手続き

株式などの有価証券等も銀行口座と同じ金融機関に含まれますので銀行口座と同じく証券口座などは凍結されます。

不動産の手続き

不動産を相続した場合には、「不動産の所有権移転登記」の中の相続登記手続きを行わなければなりません。
相続登記とは、被相続人が所有していた不動産の名義を相続人の名義にする変更する手続きです。
不動産の相続登記には、3つの種類があり「遺言書による登記」「遺産分割による登記」「法定相続分による登記」の3つがありパターンごとに必要な書類に差があります。
不動産の登記には、様々な費用がかかります。司法書士などの専門家に手続きを依頼する場合は報酬費用がかかります。
その他にも登録免許税などの費用もかかります。

生命保険受取の手続き

被相続人が生命保険に加入していた場合は、受取人はすみやかに保険会社に連絡をしましょう。
生命保険会社より必要な書類手順書の案内と請求書が送付されます。
受取人が請求手続きを行います。

相続財産を受取るか放棄か|3ヶ月以内!

相続が開始されてから遺産分割などの様々な手続きが必要ですが、相続開始を知ってから3ヶ月の期限以内に財産を受取る(承認)のか、拒否する(放棄)のかを決めて手続きをしないといけません。
承認するにも放棄するにも手続きが必要になります。

受け取る場合|単純承認・限定承認

財産を受取る場合には2つの方法があり、単純承認・限定承認といいます。

単純承認

単純承認とは、無条件で財産を受取ることをいいます。
この場合には提出書類や手続は不要です。
相続開始から3ヶ月間で何もしなければ単純承認となります。

限定承認

限定承認とは、マイナスの財産がある場合に、相続財産の範囲内でマイナスの財産を精算する方法です。
財産にあまりが出ればその財産は受取る事が可能です。

限定承認は、相続人全員で行わなければならず1人でも単純承認をすれば限定承認は行うことができません。
限定承認に必要な書類は以下の通りです。

  • 相続財産(マイナスも含む)の確認
  • 申述書の作成
  • 財産目録の作成

また手続きには以下のような手続きが必要になります。

  • 作成した申述書を家庭裁判所に提出
  • 財産管理人の選任
  • 申述書受理の審判
  • 債権申出の公告
  • 鑑定人選任の申出
  • 請求した債権者への弁済
  • 余った財産の処理

限定承認は手続きが複雑なため利用するケースが少ないと言われています。
一方で限定承認を選んだほうが良いパターンがありますので、詳しく知りたい方は専門家に相談すると良いでしょう。

放棄する場合|相続放棄

相続財産を受け取らずに一切の相続人としての権利を放棄することを相続放棄と言います。
放棄の対象となるのは非相続の全財産であり、プラスの財産・マイナスの財産が含まれます。
そのため、プラスの財産は受取るがマイナスの財産は受け取りません。ということはできません。

必要な書類

相続を放棄したい人は相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出します。
主な提出書類は以下の書類です。

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 死亡の記載のある戸籍謄本(配偶者・子の場合)
  • 被代襲者の死亡記載のある戸籍(孫やひ孫の場合)
  • 被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本(父母・祖父母の場合)
  • 子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  • 直系尊属に死亡している方(相続人より下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合,父母))がいらっしゃる場合,その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  • 直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(兄弟姉妹の場合)
  • 被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(甥姪の場合)

引用 裁判所 相続の放棄の申述(https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html)(2023年8月21日利用)

自分自身で手続きを行う事も可能ですが、書類を揃える手間と時間が惜しい方は司法書士や弁護士などの専門家に依頼をしましょう。

相続財産の内、債務が多いと「財産=借金」という事になり、財産を相続した人は借金を返済する義務を背負う事となります。もし、借金が大幅にプラスの財産を上回っているのであれば、相続放棄という選択肢があります。借金も多いけれどプラスの財産の範囲内で弁済できそうな場合や、不動産(自宅)等の相続がある場合は限定承認が向いています。

相続財産の内、プラスが多く、遺言書がないと遺産分割協議を行いますが、これは相続者全員で財産をどのように分けるのかの意見を一致させる作業です。
相続人の中に長年一緒に住んでいる人がいる場合や被相続者の介護をしていた人がいる場合等、法定相続分の権利を主張し合っていては収まらないケースが多いと思われます。
相続人それぞれが自分の取り分ばかりを考えず、家族の形に合った財産の分け方を提案できると争続にはならないで済みます。

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記事のまとめ

今回は、相続手続きについてご紹介しました。
葬儀や死亡届など亡くなった方の悲しみに対し手続きは容赦がありません。
相続手続きは期限が決まっている手続きが多く遅れてしまうと税金が課税されます。
手続きを代行してくれる場合もありますが基本的には相続人が力を合わせて行わなければなりません。
相続について不安がある方は専門家に相談することをおすすめします。