兄弟姉妹の相続人にはなれる?遺産の割合やトラブルを紹介

兄弟が亡くなっても遺産相続で財産を引き継ぐ可能性はあります。

自身の兄弟姉妹が亡くなった場合、自分には相続する権利はあるのかどうかお悩みではないでしょうか。
先にご紹介しますが、兄弟姉妹が亡くなった場合にはご自身も相続人になる可能性が十分にあります。
本記事では、兄弟姉妹が亡くなった際の相続の順位や割合・注意点やよく起きてしまうトラブルなどをご紹介します。

兄弟姉妹の法定相続の順位

冒頭で兄弟姉妹でも相続が発生した場合には遺産を引き継ぐ可能性がありますとご紹介しましたが、必ずしも遺産を引き継ぐわけではありません。
はじめに確認しなければならないのは、自身が法定相続人に含まれるのかどうかです。
遺言書などに記載をされている場合は、引き継ぐことはできますが遺言書が発見されない場合には法定相続人全員で話し合いを行い遺産分割協議を行います。
この遺産分割協議に参加することができるのは、法定相続人ですが民法では次のように法定相続人の順位が決められています。

第1位子または孫の直系卑属
第2位両親や祖父母などの直系尊属
第3位兄弟姉妹や甥姪などの姪孫

参照:e-Gov法令検索 民法第八百八十九条 直系尊属及び兄弟姉妹の相続権
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
(2024年4月28日 利用)

そして、相続において配偶者がいる場合には配偶者は必ず相続人となり財産を引き継ぐ権利があります。
原則相続は2人組ペアで行うため、配偶者と順位の高い順に引き継ぐ人が決まります。
そのため子どもや孫がいる場合には相続人にはなれず、両親がいる場合でも兄弟姉妹は財産を引き継ぐ権利を行使することはできません。
兄弟姉妹が相続人になる場合は、直系卑属・直系尊属どちらとも死亡している、もしくは子どもや孫がいない独身や未婚の被相続人の場合には兄弟姉妹や姪孫などが法定相続人として財産を引き継ぐ可能性があります。

兄弟姉妹の遺産分割の割合

兄弟姉妹が遺産を引き継ぐ場合には、どのくらいの割合を引き継ぐことができるのでしょうか。
遺言書がある場合には、原則その通りに遺産分割を進めますが遺言書がない場合には、民法に定められている各相続人の割合を参考にして遺産分割を行います。
民法には詳しく紹介されておりますが、抜粋をすると次のようになります。

  • 故人の配偶者がいる場合は4分の1
  • 兄弟姉妹のみの場合は全財産

この割合は1人あたりの割合なので、他の兄弟姉妹がいる場合には人数分を割って計算をします。

故人の配偶者がいる場合

故人(被相続人)の配偶者がいるが子どもや両親がいない場合には兄弟姉妹も遺産を引き継ぐ権利があります。
例えば3人兄弟の相続人が亡くなった場合、子どもや両親もいない場合の遺産を引き継ぐ割合は次のようになります。

配偶者4分の3
兄弟1人あたり8分の1

仮に遺産の合計が8,000万円だった場合上記の割合いを考慮すると次のようになります。

配偶者4分の3✕8,000万円=6,000万円
兄弟(1人あたり)8分の1✕8,000万円=1,000万円

今回の相続の場合は兄弟が2人いるのでそれぞれ1,000万円ずつ遺産を引き継ぐことになります。

兄弟姉妹のみの場合

被相続人に配偶者や子どもがおらず両親も既に亡くなっている場合には兄弟姉妹のみで全ての遺産を分けます。
先程の例を参考に3人兄弟の場合を考えてみましょう。
まずは、遺産を引き継ぐ割合です。

兄弟1人あたり2分の1

これがそれぞれの兄弟が引き継ぐ割合になります。
続いて財産の取得金額は以下のようになります。

兄弟1人あたり2分の1✕8,000万円=4,000万円

1人あたり4,000万円が兄弟が取得する金額になります。
ここから相続税の基礎控除を計算して、控除内であれば相続税の申告納付をしなくても問題ありませんが、控除枠を超過した場合には税金を管轄の税務署に申告納付しなければなりません。
また、相続税の申告納付が遅延してしまった・税金を少なく申請してしまったなどの場合には、追徴課税という別の税金を納付する必要があります。

また今回ご紹介しているのは遺言書がなく遺産分割を法定相続分で分ける場合の概算になります。
前述でもご紹介しておりますが、遺言書がある場合は原則その通りに分割をする必要がありますので、必ずしもこの通りに分割するわけではないことを念頭におき、不安な方は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺産相続での注意点

兄弟姉妹の遺産分割の順位と割合をご紹介しました。
ここからは兄弟姉妹が遺産を引き継ぐ場合に注意しなければならない点について5つご紹介します。
どれもトラブルに繋がりやすい注意点になります。

  1. 兄弟姉妹の場合は相続税が2割増
  2. 寄与分の主張
  3. 遺留分は認められない
  4. 相続手続きに非協力的
  5. 異父・異母兄弟の遺産を引き継ぐことがある

①兄弟姉妹の場合は相続税が2割増

兄弟姉妹が財産を引き継いだ場合は、納付する相続税が2割増になります。
相続税は、配偶者や子ども・直系尊属以外の人が納める場合には2割増なると相続税法で定められています。
例えば孫に相続させる場合でも2割増の対象になりますので、兄弟姉妹だから不平等に徴収されるわけではありません。

2割増だけに限らず遺産を引き継いだ場合には、名義変更手続きを行う必要があり手続きにも費用がかかりますので注意しましょう。

②遺留分は認められない

相続では、遺言書などによって不平等な分割方法が指定されていた場合には最低限度の財産を受け取れる権利である遺留分を主張することができます。
遺留分が侵害されていた場合にはお金に換算をして請求をすることができます。
しかし、兄弟姉妹などの血縁関係はあるが遠い存在には遺言書で兄弟姉妹に対して不平等な内容が記載されていても、遺留分を主張することはできません。
そのため、配偶者と相続をすることになった場合、被相続人が兄弟姉妹に財産を引き継がせたないと考えて「全財産を妻に相続させる」という内容で記載されていても、兄弟姉妹には遺留分を請求する権利がありませんので、妻に全財産を引き継がせることができます。

③相続手続きに非協力的

遺言書がない相続の場合は、遺産分割協議を行わなければ誰が財産を引き継ぐのか確定しません。
そのため、子どもや孫などのいない夫婦の中で夫が配偶者に全財産を引き継がせたくても遺言書がない場合には、4分の1の財産を兄弟姉妹に渡す必要があります。
配偶者がどれだけ粘っても、兄弟姉妹が協力的でない限りは遺産分割協議は平行線のままで進みません。

④異父・異母兄弟の遺産を引き継ぐことがある

異父・異母兄弟が亡くなった場合でも遺産を引き継ぐ可能性があります。
故人に直系の子がいない場合、兄弟姉妹が次の順位で相続人となり得ます。ただし、異父母兄弟は全血の兄弟姉妹(同じ父母から生まれた兄弟姉妹)よりも相続の順位が低くなることが一般的です。
このため、遺産相続の際には異父母兄弟の権利も考慮されることが重要です。

⑤絶縁状態の場合は、専門家を通してのやり取りになる

兄弟姉妹間の仲が悪く絶縁状態であっても遺言がなく、兄弟姉妹が法定相続人となる場合には遺産分割協議を行う必要があります。
しかし絶縁状態などの場合には、弁護士などの専門家を通して分割協議の代理人として進めることも可能になります。

兄弟姉妹の遺産相続でおきる争族ケース

兄弟姉妹の遺産を引き継ぐ際の注意点をご紹介しましたが、先程の注意点とは他に実際に争族(法定相続人同士でもめること)になってしまうケースをご紹介します。

  1. 寄与分を主張された
  2. 遺言書に兄弟姉妹の名前がない
  3. 遺産が不動産しかない
  4. 代襲相続は1代のみにしか適用できない

寄与分を主張された

寄与分とは、被相続人の看護や生活の助けなどを行った人が法定相続分に加えて遺産を受け取れることを主張することができる権利のことを言います。
兄弟姉妹の誰かが、看護などの生活の助けを行っていた理由に寄与分を主張することがあります。
通常の相続分に加えて遺産を受け取りたいと主張する権利のため、他の兄弟たちと話し合いがつかなければ遺産分割協議がまとまらないトラブルがあります。
遺産分割協議がまとまらなければ調停や審判などの裁判所での手続きが必要になります。
調停や審判や主張を認めてもらうための資料などを準備しなければなりませんので注意しましょう。

遺産が不動産しかない

土地や建物などの不動産は分割することが難しい財産と言われています。
不動産は預貯金や証券などの財産と異なり現金のように分割をすることが難しいです。
現物分割や換価分割など様々な分割方法がありますが、現物分割の場合は1人だけしか財産を相続できないので他の兄弟姉妹から不満がでます。
換価分割は一度全て現金化することで分割を行いますが、すぐに買い手が見つかるわけではないので時間がかかります。

代襲相続は1代のみ

兄弟姉妹が既に他界している場合には、兄弟姉妹の子どもである甥姪(姪孫)が代わりに遺産を引き継ぐ代襲相続となります。
しかし甥や姪も既に亡くなっている場合には、その子どもが再度代襲相続を行うことはできませんので注意しましょう。

記事のまとめ

今回は、兄弟姉妹が相続人になる場合の割合や注意点・争族になってしまうケースなどをご紹介しました。
遺言書がない場合、一定要件を満たすことで兄弟姉妹も相続人になる可能性もありますが兄弟姉妹が相続人になる場合にはご紹介した注意点に気をつけなければなりません。
また、遺産を引き継いだとしても兄弟姉妹が相続税を納税する場合には、2割増で税金を納税しなければなりません。
また、放棄をした場合には遺言書に自身の承継先が記載されていても遺産を引き継ぐことはできませんので注意しましょう。
また兄弟姉妹の遺産相続に限らず相続には、トラブルになるケースが多くあります。
不安な方は無料面談で相談を行っている専門家に相談することをおすすめします。
相続ぽるとでも、初回無料相談をおこなっておりますのでお気軽にご相談ください。