2024年も終わりに近づき、新年を迎えるために慌ただしくなる年末年始に入ろうとしています。
今年は年末年始の休暇が長く、実家へ帰省しようと考えている方も多いのではないでしょうか。
年末年始は、家族や親戚が集まる機会です。
この機会を逃さずに将来のことを話してみるのはいかがでしょうか。
本記事は、年末年始に話しておきたい将来の相続についてご紹介します。
始まってから慌てないように手続きの期限を把握しておきましょう!
なぜ年末年始は相続の話のチャンスなの?

年末年始がなぜ相続の話(相談)をするチャンスなのでしょうか。
前述でも触れていますが、今年の年末年始の休暇は長いため実家に帰省しようと考える方も多いのではないでしょうか。
そのような家族が一同に集まる年末年始には、相続の話をするチャンスになりやすい状況になります。
また、年末年始はお盆などのご先祖様を供養する時期ではないため、将来の話を家族や親戚でしやすい機会となります。
このような理由から、年末年始は相続の話を広げやすい状況になります。
年末年始に何を話せばいいの?

とはいえ、年末年始は相続の話(相談)がしやすいとはいえ、何を話せばいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、年末年始だけに限らずせっかく家族が集まる際に話しておきたいこと・余裕がある場合に話したいことの2つに分けてご紹介します。
年末年始に話しておきたいこと
まず初めに、家族で集まる年末年始に話しておきたいことは以下の3つです。
- 財産の種類
- 借金の有無
- 相続人
上記の3つです。
詳しくご紹介します。
財産の種類
まずはどの財産が遺産とされるのかを把握しましょう。
相続が開始されると、あっという間に申告期限である10ヶ月を経過してしまいます。
事前に財産の種類がわかっていれば、スムーズに誰が引き継ぐのかを決める事ができます。
ある程度の財産の評価額などもわかればもっとスムーズに進みますが、そこまで聞けないという場合には、どの種類の財産があるのかを把握しましょう。
借金の有無
実は、相続時には借金やローンなどの負債も引き継ぐ可能性があります。
仮に負債を引き継ぐ事になった場合、相続人の代わりに財産を引き継ぐみなさんが返済義務を負う可能性が高くなります。
しかし、借金などは聞きにくい話題でもあるためしつこく問い詰めずに伺うことが重要になります。
相続人
亡くなった方の財産を引き継ぐのは、誰でも引き継ぐことは出来ません。
先程の財産と同じように、被相続人の死亡後、相続が開始されてから準備をしているとあまり時間はありません。
そのため、誰が相続人になるのかを把握しておきましょう。
本来であれば、戸籍謄本などを収集する必要はありますが、お正月は家族や親族が集まる場所であることやあくまで把握するだけでいいため「この人が相続人になるかもしれない」程度でいいでしょう。
余裕がある場合に準備したいもの
年末年始に話しておきたいことをご紹介しました。
ここでは、年末年始以降に余裕があった場合に準備しておくと良いものをご紹介します。
年末年始に直接は関係しないかもしれませんが、相続には直接関係しますのでなるべく早めに準備をしましょう。
- 財産目録
- 遺言書
- 家系図
財産目録
財産目録とは、(後の)被相続人が保有している財産の種類と評価額をまとめた資料です。
財産目録は相続時に必ず用意しなければならない書類ではありません。
しかし、作成しておくことで遺産の状況が把握しやすくなります。
年末年始などの家族が集まる機会を利用し、財産の棚卸しとして作成してみてもいいでしょう。
とはいえ、年末年始では財産の状況を把握するだけでも良いのでマストではないことも心に留めておきましょう。
遺言書
2つ目は遺言書です。
遺言書は相続人が準備するものではありませんが、遺言書は被相続人が家族に送る最後の手紙です。
遺産の状況だけではなく手紙としての役割(付言事項)もあります。
年末年始に家族で相続の話が進んだ場合には、作成しておくことが重要ということを伝えておきましょう。
実際に相続が開始された際には、遺言書は大きな効力を発揮します。
作成方法も法律で定められているため、不安な場合は専門家に相談をしながら作成することも合わせておすすめしておきましょう。
家系図
家系図が相続に関係ないように感じるかもしれませんが、準備しておくと手続きがスムーズに進みます。
相続では誰でも遺産を受け取れるわけではありません。
遺産を受け取れる人は法律で決まっており、基本的には直系卑属・尊属です。
年末年始などの家族が集結するタイミングで、家族や親のこれまでを聞いた際に家系図があるかどうか聞いてみましょう。
もし、家系図がない場合には、紙に書いてみてもいいでしょう。
意外とみなさんが知らない方が相続人になる可能性もあります。
年末年始の前に知っておくべき相続手続きの主な期限

年末年始に話しておきたい相続についてご紹介しました。
ここからは年末年始に限らずに把握しておきたい、相続に関する主な手続きとその期限をご紹介します。
年末年始にあまり関係ないかもしれませんが、家族でなんとなく手続きの流れを把握しておくのも重要になります。
1.相続人の確認|なるべく早めに
1つ目は相続人の確認です。
前述で年末年始でははっきりとした相続人を決めなくてもいいとご紹介しましたが、実際に相続になった場合には誰が遺産を受け取る権利があるのかをはっきりさせなければ手続きを行うことは難しくなります。
確認方法
相続人を確定させるためには、亡くなった被相続人の戸籍謄本を活用しましょう。
事前に取得して家系図もしくは相続関係説明図などを作成しておくことでスムーズに進めることができます。
2.遺産の確認|なるべく早めに
2つ目は遺産の確認です。
こちらもなるべく早めに確認をしておきましょう。
年末年始ではある程度の遺産の種類を把握するだけで良いですが、相続人の確定と同じようにある程度の把握ではなく、しっかりと評価額を算出する必要があります。
遺産の評価額によって納付する税金が決まるため、評価額をしっかり確認しましょう。
確認方法
遺産の確認方法に関しては、相続人だけで探す場合と被相続人が元気な間に協力をして財産目録などを作成しておく。
上記の2種類があります。
財産目録を作成しておくことで、財産の評価額や数などを正確に把握することができます。
しかし、毎年毎年評価額などが変更されるため1年に1回のペースで見直しをすることをおすすめします。
財産目録の確認を年末年始に家族で行うと良いでしょう。
年末年始に家族だけで行うことも可能ですが、なるべく専門家に相談をしながら見直しを進めることをおすすめします。
3.遺言書の確認|なるべく早めに
3つ目は遺言書の確認です。
相続では、いくつかの遺産を分ける方法がありますが、基本的に遺言書があればその遺言書の内容通りに遺産を分割します。
遺言書は仮に後ほど出てきた場合でも、有効と認められた場合には遡って効力を発揮します。
年末年始に確認する必要はありませんが、可能な限り早めに確認をしましょう。
4.遺産分割協議|なるべく早めに
遺産分割協議は、遺言書がない場合に相続人全員で話し合って遺産の分配方法を決めます。
こちらも期限や申告などは決められていませんが、相続が開始された場合には早めに行うことをおすすめします。
また、相続人1人1人で考えからが異なるため、長い期間決まらないということもあります。
そのような場合には、弁護士事務所などの専門家に相談をすることをおすすめします。
5.放棄・承認の決定|期限:3ヶ月以内
年末年始で話しておいた方がいい内容の中に借金などの確認とご紹介しましたが、仮に借金が多い場合や自身では債務を負いたくない場合には、相続放棄もしくは限定承認を選ぶことができます。
相続放棄・限定承認に関しては民法で以下のように定められています。
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。 |
つまり、放棄をするのか承認するのかは、相続開始から3ヶ月以内に申述手続きを行う必要があります。
しかし、3ヶ月以内に手続きを行わない場合には、単純承認をしたことになるため、仮に借金やローンなどの負債が残っている場合には返済をする必要があります。
6.準確定申告|期限:4ヶ月以内
4つ目は、亡くなった被相続人に一定の収入がある場合に必要な準確定申告です。
準確定申告は、相続開始の4ヶ月以内に申告手続きを行う必要があります。
4ヶ月以内に申告手続きを行ない場合、延滞税や加算税などの追徴課税というペナルティが課される可能性がありますので注意しましょう。
7.税金の申告・納付|期限:10ヶ月以内
相続手続きといえば、相続税の申告・納付手続きではないでしょうか。
相続税の申告・納付は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内と期限が定められています。
相続税の申告を相続開始から10ヶ月の期限内に手続きを終了させない場合、高い追徴課税を納付することになります。
相続税には基礎控除枠と呼ばれる枠が存在し、控除枠を超えない限りは申告手続き・納税を行う必要はありません。
8.遺留分侵害額請求|期限:1年以内もしくは10年
遺留分とは、相続人が最低限財産を受け取れる権利のことですが、この権利の行使ついては、以下のように定められています。
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。 |
(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)
つまり、贈与があったことを知ってから1年と相続開始から10年が経過した場合には、権利を行使できなくなります。
遺留分侵害額請求は厳密にいうと期限ではなく時効と言われています。
自身が遺留分を侵害されているかどうかは専門家に相談をすることをおすすめします。
9.相続登記|期限:3年以内
相続登記とは、不動産を引き継いだ際に行われる所有権移転登記のことをいいます。
相続登記は、2024年4月1日から義務化され相続開始から3年以内に登記手続きをしないと、過料(行政上のペナルティ)に課されることがあります。
相続登記については、専門家である司法書士などの専門家に相談をすることをおすすめします。
話し合い次第で対策方法が変わってくる
相続手続きの期限についてご紹介しましたが、年末年始に家族で相談をしておくことで、手続き上のトラブルを回避する事ができます。
ですが相続に対し、「揉めるほどの財産はない・親もまだ健康」という理由から手続きしたほうがいいことはわかっていても先延ばしにしてしまうケースが多くあります。
ですが、相続はいつ起きてしまうか誰にも予測ができません。
昨日まで元気だった隣人が急にご逝去してしまった。なんていうケースもあります。
何かが起きてからの対策はほとんどが遅い
相続と聞くとどうしても手続きに関して目が向かってしまいますが、相続が開始されてからできる対策や被相続人が病気などのなにかあったときに始める対策は、ほとんど効果を期待できません。
ご両親や自身の体調変化をきっかけに対策を始める方もいらっしゃいますが、相続対策は基本的に「元気な間に家族と専門家で相談した上で行う」ことが良いとされています。
家族会議での切り出し方は?

とはいえ、年末年始に家族で集まったらどう相談・話を開始したらいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
年末年始の家族団らんの中を割く可能性もあります。
唐突に話をしたら「まだ元気だ!」「そんなに遺産がいるのか‼」などの反感を買ってしまう可能性も十分にあります。
ここでからは実際にどんな話から切り出したらいいのか・年末年始の切り出し方のポイントをご紹介します。
3つのステップ
年末年始で相続の話を切り出す際には、以下の3つのステップを意識しましょう。
- いきなり本題に入らない
- 今後の生活を聞いてみる
- ライフイベントを予告する
1.いきなり本題に入らない
まず1つ目は、いきなり本題から開始しないことです。
今年の年末年始は長いため滞在する時期も長い方もいらっしゃると思います。
そのため、いきなり相続の話や遺産の話をされてしまうと、家族の反感を買う可能性が高くなってしまいます。
せっかくの年末年始ならば、この1年間をどう過ごしてきたのか・ご自身や子供の事柄などを中心に話を切り出してみましょう。
2.今後の生活を聞いてみる
1年を振り返られる年末年始から話していく中で「いまなら切り出せる!」と思ったとしても一度我慢してください。
ご自身の体調のことなどを伝えたあとに、相続ではなく人生の先輩に相談する気持ちでご両親の「これまで」を聞きましょう。
中には「健康に自信があるからまだまだ働く‼」や「まだ考えていない」「不安だからこんな事をしている」などのその人の考えを知ることができます。
それを聞くだけでも、今後の対応や話し方が変わるため、年末年始に話しておいて良かったと思えるでしょう。
3.ライフイベントを予告する
お子さんがいらっしゃる場合には、同時にライフイベント(入学・卒業・就職)を告知してみましょう。
ライフイベントは年末年始などのように、人生の節目です。
そのようなイベントがある場合には、軽く話してみるといいでしょう。
重要なのは年末年始だからと言って急がないこと
そして最も重要なことは、年末年始だからと急がないことです。
たしかに年末年始やお盆・夏休みは家族が揃って話をすることができるチャンスです。
しかし、焦ってしまうといきなり相続の話をしてしまい、家族の関係性が悪化してしまう可能性があります。
年末年始などは、あくまでチャンスなだけであり必ず年末年始に相続の話(相談)をしなければならないわけではありません。
年末年始などのイベントは将来話しやすくするための地盤を整えるという意味で捉えて話すといいでしょう。
年末年始に向けて準備が不安な方はしあわせ相続診断を!

年末年始に向けて様々な準備が必要であることをご紹介しましたが、とはいえ不安がのこてしまう方も多いです。
そのような場合には、しあわせ相続診断をご利用ください。
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記事のまとめ
今回は年末年始に相続の話のチャンスとして、最低限話しておきたいことから手続きの期限をご紹介しました。
前述でもご紹介しましたが、必ず年末年始に相続の話をしなくてはならないわけではありません。
もし年末年始に相続の話をしようと考えている場合には、一度専門家に相談をしてみるといいでしょう。
弁護士や司法書士にも相談ができますが、少しハードルが高いと感じられたらしあわせ相続診断をご利用ください。
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