相続財産とは?遺産の確認方法や範囲を徹底解説!

相続財産の把握は相続対策の第一歩です

相続財産とはどんな財産なのかご存知でしょうか。
相続が起こると様々な手続きをしなければならない場合がありますが、相続財産の調べ方などを知っておくことで将来の相続において有効活用することができます。
本記事では相続財産とは何か。どんな財産が相続財産なのか。相続されない財産などはあるのかなど、相続財産に焦点を当てて詳しくご紹介します。
相続財産とは何かを知りたい。調べ方や活用方法などを知りたい方はぜひご参考ください。

相続財産とは?|概要をおさらい

相続財産とは、相続人が所有していた財産のことをいいます。
相続財産のほかに、遺産という言葉がありますがどちらも相続人が所有していた財産を意味するため遺産と同様に捉えて頂いて問題ありません。
相続財産には、プラスの財産・マイナスの財産と2つの種類がありどちらか一方を選択するのではなく財産を受取ることは、プラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐことを意味します。

民法上のプラスの財産とは

民法上では相続財産を次のように示しています。
「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」

出典:e-GOV 法令検索 民法第八百九十六条 (https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)(2023年8月7日 利用)

先程、相続財産にはプラスの財産とマイナスの財産があるとご紹介しましたが、
プラスの財産とは、「経済的に価値がある財産」の事を指します。

プラスの財産は大きく分けて3つに分類する事ができます。

①動産

動産とは、後述する土地および土地に定着している建物以外の財産を動産と言います。
動産の範囲は、以下のような財産です。

現金・預貯金普通預金・定期預金など
有価証券株式・債券・投資信託など
車両自動車・自転車・バイクなど
その他宝石・骨董品・美術品

②不動産

不動産とは先程ご紹介した土地および土地に定着している建物の事を不動産と言います。
具体的には、住宅・農地・店舗などの不動産を指します。

③権利

ここでいう権利とは、以下のような権利のことです。

電話加入権
ゴルフ会員権
著作権
慰謝料請求権
損害賠償請求権
借地権
借家権

プラスの財産とは、積極性財産と呼ばれます。
ご紹介したように現金や不動産などの形のわかる財産以外にも電話加入権や著作権などの形が見えない財産も含まれます。

民法上のマイナスの財産とは

相続財産とは、被相続人の財産に属した一切の権利義務を継承するとご紹介しました。
そのためプラスの財産とは逆にマイナスの財産と言われる財産も受け継がなくてはなりません。
マイナスの財産は以下のような財産をさします。

負債借金・買掛金・ローン・小切手等
税金所得税や住民税・固定資産税などの未払いの税金
その他家賃・公共料金・医療費などの未払い分

マイナスの財産は消極的財産といい、主に支払債務などが多いです。

マイナスが多い場合は限定承認か相続放棄

相続財産を受け継ぐ方法は3つあり、単純承認・限定承認・相続放棄の3つです。
相続財産がマイナスが多い場合は、マイナスの財産の債務をプラスの財産で精算し残った財産を分ける限定承認か、相続人としての一切の権利を放棄する相続放棄を選びましょう。
しかしこの手続きは、相続開始から3ヶ月以内で決めなければなりませんので注意が必要です。

みなし相続財産とは?

みなし相続財産とは、本来であれば相続財産とはならないものの、被相続人の死亡を持って財産が移転することから相続税の計算をする際に相続財産としてみなされる財産をみなし相続財産といいます。
みなし相続財産とは以下のような財産です。

生命保険・損害保険などの死亡保険金
死亡退職金
暦年課税制度により受け取った贈与財産(最大7年前の財産まで計算)

みなし相続財産(死亡保険金や死亡退職金)は、相続財産と違い被相続人の死亡をもって財産の移転があります。
この財産には、年金や保険金などを受取る「定期金の権利」・解約返戻金や満期保険金などを受取る「生命保険契約に関する権利」・債務免除などの権利なども財産として引き継ぎます。

遺産分割の対象にならないものあります

被相続人の死亡により相続が始まり、遺言書がない場合には遺産分割協議を行います。
その際に、遺産分割の対象とはならない相続財産があります。

遺産分割の対象とならない相続財産

相続財産とならない財産は以下の財産です。

死亡退職金や死亡保険金などの受取人固有の財産
香典や弔慰金などの祭儀費用の一部となる財産
仏壇仏具・神棚・墓石などの祭祀財産
身元保証人や国家資格保有などの地位
生活保護受給資格

地位や資格・一身専属権などは、相続財産には含まれません。
また国などから支給される弔慰金や個人や法人を問わずに受取る香典も膨大な葬儀費用の一部になる時があるため相続財産には含まれません。

課税対象となる相続財産とは?

相続が開始されて10ヶ月以内に相続税の申告と納付を必要であればしなければなりません。
基礎控除と呼ばれる非課税枠【3,000万円+(600万円×法定相続人の数)】があり相続税を計算した際に、非課税枠を超えなければ相続税の申告・納付をしなくても良いです。

課税対象となる財産とは

相続財産の中には、相続税の課税対象となる財産と課税対象とならない財産があります。

被相続人の死亡時の財産と贈与財産が課税対象となります。

課税対象とならない財産とは?

相続税の課税対象にならない財産とは、どんな財産でしょうか。
大きく分けると2つに分類する事ができます。

  • 生命保険や死亡退職金
  • 祭祀財産と寄付した財産

生命保険や死亡退職金

生命保険や死亡退職金は、相続税を計算する際に計算対象の財産になるものの相続財産として遺産分割の対象財産とはならないとご紹介しました。
生命保険や死亡退職金には非課税枠という控除枠があり、それを超えない場合は相続税の計算にもち戻す必要がありません。

種類計算方法
生命保険500万円×法定相続人の数まで非課税
死亡退職金500万円×法定相続人の数まで非課税

非課税枠の適用範囲内であれば、相続税の計算の際に上乗せされることはありません。

祭祀財産や寄付金

祭祀財産や寄付金などは相続税の対象となる相続財産ではありません。

墓地や墓石、仏壇・仏具などの祭祀財産は、法律上の特別な取り決めにより

日本の相続税法において、祭祀財産とは「神社又は寺院のために供えられ、又は儀式に用いられる財産」であると規定されており、相続税の課税対象から除外されています。

これは、日本の憲法における宗教の自由を保障する観点から、神社や寺院がその活動を維持するために必要な財産を、相続税の課税対象から除外することが望ましいと判断されたためです。

また、生前に購入することで、相続財産そのものを減らし節税になるなどの効果があります。

相続財産を確認する手続き方法とは?

相続財産を確認する方法は、被相続人に作成してもらう財産目録です。

財産目録とは?

財産目録とは、その時点において被相続人が保有している範囲の全ての財産を種類ごとに詳細をまとめた一覧のようなものです。
財産目録を作成しておくことで、後にご紹介する遺産分割協議などで使用できるなどの様々なメリットがあります。
その他でも被相続人が財産を分け方を決めることができる遺言書の作成などもスムーズに行うことが可能です。
財産目録は相続において必ず作成しなければならないものではありませんが、作成していくことで相続人・被相続人両方にメリットがあります。

財産目録の注意

財産目録はあくまで死亡する前において、一定の時期の財産を把握するためのものです。
そのため、毎年財産の金額に変動がなくても財産目録を被相続人に作成してもらう事をおすすめします。
また財産目録には決まった形式がありませんので、作成方法などを知りたい方h専門家のサイトにてダウンロードをするか相談することをおすすめします。

遺産分割協議に役に立ちます

先程もご紹介しましたが、財産目録を作成すると遺産分割協議にて役に立ちます。

遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、相続が発生し遺言書がない場合に相続人(遺族)全員で財産の分け方を決めるものです。
遺産分割協議では「誰が・どの財産を・どのくらい受取るのか」を相続人全員で話しあうものです。
遺産分割協議は遺言書がない場合に行うものですが、遺言書の内容に不満があれば相続人全員の同意があれば遺産分割位協議をすることが可能です。
遺産分割協議では、どの財産が・どのくらいあるのかを明確にしておくことで財産を探す手間が省け円滑に遺産分割協議を行う事ができます。

遺産分割協議が進んだ場合には、遺産分割協議書を作成し財産を遺産分割協議書通りに分けていきます。

決まらない場合は裁判所に相談しましょう。

とはいえ、財産をどのようにわけたらいいのかは相続人によって考え方が異なります。
遺産分割協議でまとまらない場合には、家庭裁判所が介入する遺産分割調停。遺産分割調停でもまとまらない場合には、家庭裁判所が財産の訳分を決める遺産分割審判が行われます。
また特定の相続人に対し、なるべく財産を相続させたくないなどの要望がある場合には、遺留分に気をつけて遺言書を作成することをおすすめします。

相続の問い合わせは相続ぽるとへ!

相続ぽるとは「相続の適切な入り口」として皆様にご利用頂いております。
相続財産を把握しておくことは、将来起こる相続に備えるためには必要なことです。
そのためには財産目録を作成することが必要です。作成方法などに形式はありませんが作成しておくことで遺産分割や遺言書などにメリットがあります。
相続財産以外にも相続に関連する漠然とした不安を解消したい・相続対策を知りたいという方は、お気軽にご相談ください。

記事のまとめ

「相続財産」とは、相続する財産のことであり、相続が発生した時点で、被相続人が所有していたプラスの財産・マイナスの財産の両方を受け継ぎます。
相続財産に含めるもの、含めないもの、課税対象となる財産・ならない財産を確認し、財産目録としてまとめることで、相続手続きをスムーズにすすめることができます。
また3ヶ月以内に、放棄するのかを決めなくてはならず、時間はあっという間に過ぎてしまいます。
早い段階から相続財産を把握する事は、円滑な手続きを行う上で重要です。
財産を把握する事以外にも、早ければ早いほどたくさんの対策が打てるようになります。
財産把握以外の対策方法や、相続での不安がある方は、お気軽にご相談ください。