活用しなきゃ損!小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例を活用すれば土地の評価が下げられます!

相続において、不動産を相続した際には、土地の大きさにより課税される税金が増えてしまうのではないかと気になる方も多いのではないでしょうか。
そのような場合に土地にかかる税金を大幅に減らす事ができる小規模宅地等の特例をご存知でしょうか。
この小規模宅地等の特例を活用することで、土地にかかる税金を減らす事が可能です。
本記事では、小規模宅地等の特例についてご紹介します。
小規模宅地等の特例とは何か。適用できるケースはどんなケースなのかを詳しくご紹介します。

小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例とは、都市化計画法に基づいて、一定の要件を満たした小規模な土地について宅地取得税や固定資産税の減税措置が適用される制度の事をいいます。
一言で表すと「土地の評価を下げることで、課税される税金を大きく減らせる制度」です。
土地などの大きな財産を相続した場合に、小規模宅地等の特例が活用できれば大幅な節税効果が期待できます。

参照:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
(2023/08/23 利用)

どんな節税効果が期待できるの?

小規模宅地等の特例とは、土地に課税される税金を減らす制度とご紹介しましたが、具体的にはどのような節税効果が期待できるのでしょうか。

引き継いだ土地の評価額の引き下げ

小規模宅地等の特例での効果で、最も魅力的な効果は、土地の評価額の引き下げです。
土地の評価額を最大80%減らせる事が可能です。
小規模宅地等の特例を活用することで、土地の評価が低くなるため相続税の課税対象額が低くなり支払う税金も減額されます。
例えば、土地の評価額が6,000万円の土地を相続し小規模宅地等の特例にて80%評価が引き下げられた場合、その土地の評価額は1,200万円となります。

引き下げられる割合

小規模宅地等の特例で下げられる割合は、利用している区分や面積によって異なりますが、最大で80%の割合で減額されます。
分けた区分や面積によって、一定の割合が減税されます。

対象の土地とは?

小規模宅地等の特例を活用できる土地とは、3つの種類に分類する事が可能です。
対象となる土地は以下の通りです。

  • 特定住居用宅地
  • 特定事業用宅地等
  • 貸付事業用宅地等

特定居住用宅地

特定住居用宅地とは、被相続人の自宅などの土地を指します。
330㎡までは、80%評価を引き下げる事が可能です。

適用要件 

  • 生計を共にしていた親族が住んでいた土地を、被相続人の配偶者が相続する
  • 生計を共にしていた親族が、土地に住み続ける
  • 同居の親族が、土地に住み続ける

特定事業用宅地等

特定事業用宅地等とは、事業用に供されていた宅地をいいます。
400㎡までは、80%評価を引き下げる事が可能です。
例えば、事務所や倉庫、個人商店などの、自分の土地の上にある名義の建物で事業を行っている土地の場合に対象となります。

適用要件

  • 相続税の申告期限まで、事業を継続している
  • 相続発生3年前よりも前から、事業を営んでいる

貸付事業用宅地

貸付事業用宅地等とは、賃貸物件に供されていた宅地を指します。
200㎡までは、50%評価を引き下げる事が可能です。
マンションやアパート、駐車場や駐輪場などが対象となります。
一方で長期間空き家になっている家や、家族に対して低賃料で貸付をしていた場合などに関しては、対象外になる可能性があるので注意しましょう。

適用要件

  • 相続税の申告期限まで、相続人が不動産貸付事業を継続している。
  • 相続開始前から、不動産貸付事業を営んでいる。

小規模宅地等の特例の手続きとは

実際に小規模宅地等の特例が適用可能な場合、どのような申告手続きが必要になるのでしょうか。
小規模宅地等の特例とは、あくまで特例のため適用可能な場合に自動的に適用されるのではなく管轄税務署へ申告をしなくてはなりません。

必要書類とは

小規模宅地等の特例を活用する場合に必要な書類は適用される土地により異なります。
共通して申告に必要な書類とは、以下の書類です。

遺言書または遺産分割協議書の写し
法定相続情報一覧図のような相続人と被相続人の関係がわかる図式
被相続人の戸籍謄本
相続人全員の印鑑証明書
相続税の申告書

法定相続情報一覧図は、法務局の認証を得た公的書類となるため作成するためにも別途申告が必要になりますので注意しましょう。

特定住居用宅地に必要な申告書類とは?

特定住居用宅地に必要な申告書類は以下のとおりです。

相続が発生した後に作成された住民票の写し
相続が発生した後に作成された戸籍附票の写し(同居していない親族の場合)
相続する家屋の登記事項説明書(同居していない親族の場合)

特定事業用宅地等に必要な申告書類とは?

特定事業用宅地等に必要な申告書類は、個人経営のお店などの場合は特に必要ありません。
一方で株式会社などの法人の場合は、特定同族会社事業用宅地とされ以下の書類が申告書類として追加されます。

対象法人の定款の写し
対象法人の登記事項説明書
対象法人の株主名簿

貸付事業用宅地等に必要な申告書類とは?

貸付事業用宅地等の場合は、特定事業用宅地と同じように基本的にはひつようありません。

確定申告書
賃貸契約書

しかし、貸付をしていた事を証明する書類が必要になる可能性があるため上記書類を申告時に添付する事をおすすめします。

申告期限

小規模宅地等の特例を適用する場合は相続税の申告期限であえる相続発生時から10ヶ月以内に申告しましょう。
事情により10ヶ月を過ぎてしまった場合には、相続人を決めて「申告期限の3年以内の分割見込書」を税務署に提出すれば、小規模宅地等の特例が適用できる可能になります。

小規模宅地等の特例を適用する上での注意点とは

小規模宅地等の特例とは最大で80%、相続税の評価額が下げることのできる小規模宅地等の特例ですが、注意点もいくつかあります。

減額適用は相続財産の合計ではありません!

節税対策として小規模宅地等の特例を利用することができますが、あくまでも「土地の評価金額を最大80%下げる仕組み」であるため、「相続財産の合計金額が80%減額されるわけではない」という部分に注意しましょう。
また土地に建てている建物に関しても、減額の対象外なので注意しましょう。

適用面積を超えた場合

適用可能な面積を超えた土地を相続する場合は、適用される面積まで小規模宅地等の特例が適用され、残りの面積は適用されません。

相続時精算課税制度を活用して土地を贈与している場合

相続時精算課税制度を利用し、土地を贈与している場合は、小規模宅地等の特例を活用することはできません。
小規模宅地等の特例は、相続や遺贈により土地を取得していることが必要です。
相続時精算課税制度とは生前贈与の際の贈与税の課税制度の一つであり、贈与によって受け取った相続財産をすべて合計し、2,500万円のまでが非課税になります。
2,500万円を超える金額の場合は、一律20%の課税がされます。
そのため贈与にてすでに土地を取得していることになるため、小規模宅地等の特例の適用要件ではなくなってしまいます。

被相続人が老人ホームに入居していた場合

被相続人が老人ホームに入居している場合も注意が必要です。
通常の適用要件に加え、老人ホームに入居している場合の条件は以下の通りです。

  • 要介護認定を受けている
  • 老人ホームの届出を都道府県知事に行っている事
  • 自宅を賃貸物件として貸付事業を行っていない事

以上のような条件が加わります。
その他にも注意しなければならない点があるため、専門家に相談しましょう。

住宅には適用できない

小規模宅地等の特例とは、居住用住宅の土地・貸宅地の土地・事業用の土地など居住などの建物ではなく土地にかかる評価を引き下げる制度です。
そのため活用することができれば大きな期待ができます。
とはいえ、小規模宅地等の特例の適用範囲内に自分が入っているのか確認することは難しいです。
そのような場合は、専門家に相談しながら確認していく事をおすすめします。

同居していない家でも活用できる家なき子特例

小規模宅地等の特例と同じように土地の評価額を下げることが可能な制度があります。
それは家なき子特例です。

家なき子特例とは?

家なき子特例とは、小規模宅地の特例の一つであり、同居をしていなくても活用できる制度です。
小規模宅地等の特例と同じように土地にかかる相続税の減税効果が期待できます。
とはいえ、小規模宅地等の特例と同じ適用要件ではなく、以下の要件を満たさなければなりません。

  • 被相続人に配偶者や同居の相続人がいない
  • 相続開始前の3年間、持ち家に住んだことがない
  • 相続した宅地を、相続申告までの10か月間所有
  • 相続開始時に居住している家屋を、これまで一度も所有したことがない

以上の要件に加えて、適用できる土地が330㎡のみです。
小規模宅地等の特例の特定居住用宅地と同じ範囲です。

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記事のまとめ

今回は小規模宅地等の特例とは何か。適用できる要件や土地とはをご紹介しました。
小規模宅地等の特例を、賢く活用すれば相続税の節税は大いに期待できます。
とは言え、対象は土地であり居住用の住宅などは適用になりません。居住している建物の評価を下げる方法もありますので、専門家に相談しながら進める事をおすすめします。