遺留分の生前対策してますか?相続トラブルを防ぐ4つの方法

遺留分の生前対策してますか?相続トラブルを防ぐ4つの方法

遺留分対策の目的は“もめない相続”。家族の関係を守る準備を!

相続をめぐるトラブルは何で起こるかわかりません。

その中でも、遺留分(いりゅうぶん)が原因となるケースは、少なくありません。

特に不動産や自営業の資産をもつ家族では、現金が足りずに支払いが難航することも…

今回の記事では、「遺留分とは」を簡単におさらいしたうえで、対策しないことで起こるトラブルとその対策方法をご紹介します。

遺留分とは?簡単ににおさらい!

そもそも遺留分とは、簡単にいうと、兄弟姉妹以外の相続人の最低限遺産を受け取る割合のことを遺留分といいます。

遺言書で相続人の受け取る財産が何もない場合や、割合が遺留分を下回っている場合、相続人は他の相続人に対して、遺留分侵害額に相当(不足している)する金銭の支払いを請求することができます。

遺留分の割合

遺留分にはそれぞれ割合があり、家族構成や相続人の数、続柄によって異なります

しかし、基本的には法定相続分の半分が割合となります。

相続人の構成法定相続分の割合遺留分の割合
配偶者と子ども(2名の場合)配偶者:1/2 子ども:1/4(1/2×子どもの数)配偶者:1/4 子ども:1/8
子どものみ1/21/4
配偶者と直系尊属(父母)配偶者:2/3 父母:1/3配偶者:2/6 父母:1/6
直系尊属のみ(父母)1/31/6
兄弟姉妹なしなし

例えば、配偶者と子ども2名、遺産総額が5,000万円だとします。

その場合、法定相続分と遺留分の割合は次のようになります。

相続人の構成法定相続分の割合遺留分の割合
配偶者2,500万円1,250万円
子ども子ども1名につき:1,250万円子ども1名につき:625万円

支払いは原則”一括”かつ現金のみ!

遺留分が侵害されている場合、相続人は他の相続人に対して遺留分侵害額請求を行うことで、不足分を請求することができます。

侵害額請求の場合、原則現金のみの支払いになります。

そのため、不動産や証券などで代替することができないためが対策が必要です。

遺留分対策をしないと困るケース4選!

遺留分対策をしないと困るケース4選!

「うちは家族仲いいし、相続時にお金でトラブルにはならない」

そう考えている相続人の方こそ、注意が必要なんです。

相続は何でトラブルになるか誰にもわかりません。

しっかりと対策をしない場合、意外な場面でトラブルが起きることがあります。

①不動産が中心の遺産で現金が少ない

「家だけは残せたけど、まさかトラブルになるなんて思ってなかった」

これは、相続相談で実際によくあるトラブルなんです。

自宅などの不動産がある場合、遺産の多くを占めている可能性が高いです。

しかし、遺留分侵害額請求をされた瞬間に、“支払いの現金が足りない”というトラブルに直面します。

「仲が良い」と対策や準備が不十分な結果、家族の間に亀裂が入りやすくなります。

家を長男に継がせたかったのに…

例えば、「自宅は妻、残りの財産は子どもたちで均等にわける」と思って遺言書を作成したとしても、子どもの誰かが遺留分侵害を主張すれば、妻が現金を用意して相続人である子どもに支払わなければなりません。

結果的に不動産を売るしか無くなったが、今度は妻の居住用の資金が足りない。という新たなトラブルに発展してしまうことも少なくありません。

②再婚や内縁関係など家族構成が複雑化

再婚や内縁関係、認知などがある場合、遺留分の対策をしておかないとトラブルに発生します。

これは、誰が悪いわけでもなく、きちんと状況を整理して対策を行わなかった結果、誰もしあわせにならないような状況をつくってしまいます。

前妻との子どもは知っていたけど…

前妻との間に子どもがいた場合、前妻の子どもには相続人としての権利が発生します。

配偶者が、知っていても知らなくても前妻との子どもには関係がないため、いきなり「遺留分の請求をします。」という内容証明が届くことも…

この場合、配偶者に関係のない前妻の子どもに対して配偶者を含めた相続人は、前妻との子どもに対して遺留分の不足分を支払う必要があります。

③財産を渡したくない相続人がいる

被相続人の中には、「この人にだけは遺産を渡したくない」と思うこともあるかもしれません。

しかし、遺留分は法律で定められた権利のため請求されれば対応する義務があります。

遺言書を作成する際に、「渡したくない!」という気持ちだけで作成してしまうと、結果的に家族に金銭・精神的な負担を残すことにつながります。

縁を切ったはずなのに…

例えば、父と次男の関係は、長い間ギクシャクしており、「二度と関わるな!」と言い合い、絶縁状態。

父はその後、遺言書に「次男には相続財産を渡さない」と明記していました。

しかし、父が亡くなったあと次男から家族宛に「遺留分を請求する」という内容証明が。

残りの相続人は「絶縁状態だったし遺言書にも明記されている」と混乱状態に。

仮に絶縁状態でも、法的な関係性が証明されれば相続人としての権利が発生します。

感情のまま対策をしなかった結果、家族に再びわだかまりができてしまうというケースに発展します。

④特定の相続人に遺産を渡したい

親としては「できるだけ平等に相続財産を分けたい」と思うことは当然のことです。

しかし、「介護をしてくれた」、「家の面倒を見てくれた」など、特定の相続人に対して他よりも多く渡したいと考えるケースも珍しくありません

しかし、相続時に特定の相続人に多くの財産を渡すと、他の相続人から遺留分を請求されるリスクが高くなってしまいます。

そばにいてくれた長女に渡したい

長年、自分の生活ではなく父の介護を優先してくれた長女に

「一番そばにいてくれたから少しでも多く」と遺言書を作成しました。

しかし、父が亡くなった後弟や妹から「介護はありがたかったけど、分割の方法がおかしいから、遺留分を侵害されたので請求をします」と主張。

想いを実現するためには、気持ちだけでは足りません。

しっかりと対策をして、納得できる形に整えることが何よりの方法なんです。

遺留分の侵害を主張されないために生前にできる対策

遺留分の侵害を主張されないために生前にできる対策

いくら、仲が良くても、対策が不十分な場合、金銭的・精神的な負担を家族に与えてしまう可能性は0ではありません

ここからは、生前に被相続人ができる遺留分侵害額請求で、家族がトラブルにならない対策方法を5つ紹介します。

対策①生前贈与で事前に渡していく

生前に贈与をすることも、大切な対策の1つです。

生前の元気なうちから、相続人に非課税枠の中で贈与していけば、相続財産も少しずつ減り特定の相続人へ財産を渡すことも可能になります。

また、生前贈与でトラブルになりやすい特別受益に関しても、相続開始10年以上前の贈与では遺留分の計算から外れます。

対策②養子縁組を行う

養子縁組を行うことも対策の1つです。

養子縁組によって、相続人を増やすと1名あたりの遺留分の割合も減ります

例えば、子どもが2名の場合の遺留分は1/8ですが、養子縁組で相続人を1名増やすと、子どもの遺留分の割合が1/12となるため、遺留分の対策としても利用できる制度です。

養子縁組が無効になるケースも!?

遺留分対策として有効的な手段ですが、親子関係を結ぶ意思がない場合や遺留分対策、遺産を受け取るためというケースでは、養子縁組が無効になる可能性があります。

養子縁組は、役所の書類提出で受理されてしまうので高齢の被相続人の養子縁組には、認知症などの判断能力等も問われることになるため、対策としては必ず専門家に相談しながら進めましょう。

対策③生命保険の活用

遺留分のトラブルで揉めるのは「支払い用の現金がない」というのが大きいです。

そこで、有効的な対策方法が生命保険です。

生命保険の保険金は「受取人固有の財産」と言われており、「保険金の受取人が元々所有していた財産」として扱われるため相続財産としてカウントされません

遺留分を支払う側の相続人を生命保険の受取人にしておくと受取人固有の財産として現金を確保できるため、スムーズに遺留分に対応できます。

ただし、保険金の金額や家族構成によっては、特別受益として扱われる場合もあるため、
どの方法が適切かは状況によって異なります。必ず専門家に相談して判断しましょう。

対策④専門家に相談して遺言書を作成する

正しい形式で作成された遺言書であれば、遺留分の対策として大きく効果があります。

遺言書は法的にも大きな効力があり、遺言書がある場合は原則記載内容通りに、遺産分割をしなければなりません。

相続財産や対策方法などもしっかり記載しておけば、遺留分に関するトラブルを未然に防ぐ事ができます

付言事項に記載するのも対策の一つ

遺言書には、付言事項と言い「被相続人からの最後のメッセージ」として法的拘束力はない文書を残すことができます。

付言事項に「遺留分の侵害額請求はできるだけしないでほしい」と記載することもできる対策の1つです。

とはいえ、付言事項に法的拘束力はないため、侵害額請求をされた場合には対応しなければならない点に注意してください。

信頼できる専門家を選ぶ4つの方法

信頼できる専門家を選ぶ4つの方法

遺留分によって起こるトラブルと生前からできる対策方法をご紹介してきましたが、どれも相続人・被相続人個人で対策できる範囲ではないですよね。

信頼できる専門家に相談することになりますが、信頼できる専門家を選ぶにはどうしたらいいのでしょうか

1.資格よりも連携体制があるかどうか

「弁護士に任せればOK!」とよく見るかと思いますが、資格だけで判断するのはおすすめできません。

例えば、弁護士に生前対策として生命保険の契約を行うことはできません。

保険の募集人には、遺産分割の話し合いの参加などはできません。

相続の事前対策で大事なのは、「どの資格を持っているか」も重要ですが、

弁護士・税理士・司法書士・行政書士・FP(保険だけではなく証券)などの各専門家同士の連携体制があるかどうかです。

HPや初回無料相談などを通じて、専門家同士の連携があるかどうかを確認しておくといいでしょう。

2.初回面談で結論を出さない専門家

初回面談で対策方法の結論を出さないのも、見分けるポイントです。

「すぐに遺言書を作成しましょう」や「生前贈与を今すぐ始めるべきです」など即答で回答する専門家よりも、家族関係や残したい想いなどを時間をかけて聞いてくれる専門家のほうが信頼できるのではないでしょうか。

初回面談では、専門性はもちろん、こちらの話をどれだけ聞いてくれるのかなども見てみるといいでしょう。

3.自分が話しやすいかどうか

相談するご自身が、本音を話せない相手では生前対策がうまくいきません。

遺留分侵害額請求の対策や相続全般の対策などは、家族構成・財産の種類と金額など他の人には言いにくいような話をしなければなりません。

少しでも話しにくいと思った専門家の場合は、迷わずに他の専門家を探してもいいかもしれません

記事のまとめ|対策しないと家族が困るかも!

記事のまとめ|対策しないと家族が困るかも!

遺留分に関するトラブルは、「現金がないこともそうですが、事前対策が不十分なせいで高い侵害額請求を受けた」というケースも多くあります。

対策方法はいくつもあり、今回紹介した保険・養子縁組・生前贈与・遺言書は、あくまで一般的な遺留分の対策方法で、「自分の家庭ではどれが適切な対策か」を知ることが重要です。

相続に関する相談は、早い段階で専門家に相談しておくとできる対策も増えるため、少しでも不安に感じた場合には、早めに専門家に相談してみましょう。