株式の相続手続きをご紹介!評価方法やその後の活用方法も
株式や投資信託を行っていた方が亡くなった場合には、その証券なども遺産としてカウントされます。
その際には、名義変更の手続きを行わなければなりません。
しかし、株式や投資信託などの運用などを行っていなかった方が、相続時にいきなり引き継いだ場合、手続きをどのようにすれば良いのかわからない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、株式などの証券を相続時に引き継いだ場合に、必要になる手続きをご紹介します。
手続き以外にも、分割・評価方法・口座の確認などもご紹介しておりますので、気になる方はぜひご参照ください。
株式を相続した時の手続きの流れ
株式を相続時に引き継いだ場合には、10ヶ月以内に相続税の申告納付手続きを行う必要があります。
ここではまず、相続が発生した際の手続きの流れをご紹介します。
- 遺言書を確認する
- 相続人・遺産の調査を行う
- 遺産分割協議を行う
- 相続税の申告をする
- 名義変更を行う
- 運用・売却・譲渡を行う
①遺言書を確認する
相続が開始された場合には、まずはじめに遺言書の確認を行いましょう。
遺言書が存在している場合には、原則その内容通りに遺産分割を行います。
そのため、相続が開始されたらまず初めに、遺言書の有無を確認しましょう。
遺言書には、3つの種類がありそれぞれ確認方法や保管場所が異なります。
公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
---|---|---|---|
保管場所 | 公証役場 | 自宅または法務局 | 自宅 |
それぞれの遺言書によって、勝手に開封していいかが決まっております。
自筆証書遺言や秘密証書遺言は、保管が本人の自宅のため、内容と存在を確認する検認手続きを、家庭裁判所で行う必要がありますので、注意しましょう。
②相続人・遺産の調査を行う
遺言書の確認と同時に、相続人と遺産の調査を行いましょう。
相続では「誰が・どの遺産を・どのくらい引き継ぐのか」を決める必要があります。
相続人の調査
相続人を調査する場合には、亡くなった被相続人の戸籍謄本等を活用し確認をしましょう。
相続人が決定しなければ、後述でご紹介する遺産分割協議のやり直しが起こる可能性があります。
遺産の調査
遺産を調査するには、財産によって確認方法が異なります。
ここでは、一般的な遺産の調査方法をご紹介します。
遺産 | 確認方法 |
---|---|
預貯金 | 銀行残高証明書を発行して確認 |
株式 | 証券保管振替機構で確認し、 証券会社で残高証明書を発行 |
不動産 | 登記簿謄本などで確認 |
株式の確認方法や手続きは、後述で詳しくご紹介します。
③遺産分割協議を行う
遺言書がない場合には、相続人全員で話し合いを行う遺産分割協議を行います。
この話し合いを行わない場合には、法定相続分で分割することになります。
遺産分割協議の話し合いの結果、相続人全員の合意が取る事ができれば、遺産分割協議書を作成します。
④相続税の申告手続きをする
遺産分割協議や遺言書などで、「誰が・どの遺産を・どのくらい引き継ぐのか」が決まった場合には、相続税の計算を行い、申告納付手続きを行います。
相続税には、基礎控除枠が設定されており【3,000万円+(600万円✕法定相続人の数)】で計算することができ、計算の結果、基礎控除内であれば申告手続きをする必要はありません。
相続税の申告は、「相続開始から10ヶ月以内」の期間以内に税務署に申告手続きを行う必要があります。
相続税の申告納付手続きに関しては、税理士をはじめとした税務に精通する専門家へ相談しましょう。
⑤名義変更を行う
一般的に、株式を含めた名義変更手続きに関しては、相続税の申告納付手続きの前に行うと様々なサイトで紹介されております。
しかし実務的には相続税の申告納付手続きの後に株式などの財産の名義変更手続きを行います。
株式の名義変更手続きの流れ
株式の名義変更手続きを行う際には、以下のような流れで名義変更を行います。
- 証券会社に連絡をし、必要書類を確認する
- 証券会社指定の名義変更依頼書を作成する
- その他の書類を準備する
- 証券会社に必要書類を提出する
上記のような流れで、株式や証券の名義変更を行います。
基本的に口座が開設されている証券会社に確認をすることで、手続き方法等を知ることができます。
口座が開設されている会社がわからない場合には、後述する証券保管振替機構に問い合わせを行いましょう。
⑥運用・売却・譲渡などの手続きを行う
名義変更手続きが終了した後には、証券などの株式は相続人が自由に運用・処分をすることができます。
株式などの証券は、次のように管理・処分の手続きをすることができます。
- 運用
- 売却
- 譲渡
それぞれかんたんにご紹介します。
活用方法 | 簡単なご紹介 |
---|---|
運用 | 引き続き証券口座で運用をする |
売却 | 株式を売却して現金にする |
譲渡 | 市場価格に基づいて売買する |
株式の分割方法
株式を相続する際には、3つの分割方法がありそれぞれ手続きなどが異なります。
株式の分割方法は、以下の3つです。
- 現物分割
- 換価分割
- 代償分割
上記の中で分割方法を選び、相続人同士でどのように・どれくらい株式を引き継ぐのかを決めます。
今回は、配偶者・長男・長女の相続人と仮定した場合の分割方法をご紹介します。
①現物分割
現物分割とは、遺産をそのまま分割する方法を指します。
例えば、3つの銘柄の株式を所有していた場合に、それぞれ1銘柄を一人一人に分割する方法です。
株式は、不動産などの分割しにくい財産とは異なり分割しやすい財産のため、株式の場合は現物分割をするのが一般的です。
注意点
株式の現物分割は、銘柄ごとに分割することができます。
そのため、公平に分けているように感じますが、株式の評価額が全て同じ金額であることは少ないです。
今回のように3銘柄を1人ずつ分割する場合、どの銘柄も同じ金額であれば、不満はでませんが、評価額が異なる場合には、他の相続人から不満がでる可能性がありますので、注意しましょう。
②換価分割
換価分割とは、全ての財産を売却して現金に換えてから相続人で公平に分ける分割方法です。
売却をすることで、全ての財産を公平に分けることが可能です。
相続人が株式投資などを行っていない場合には、換価分割を選択すると良いでしょう。
注意点
株式を換価分割を行う際には、名義変更と売却益の譲渡所得税に注意しましょう。
株式を全て売却する場合、代表相続人が一度で行うことがあります。
その場合には、遺産分割協議書などに「代表相続人が売却し相続人で分配する」などの記載を必ずしておきましょう。
この手続きを行わなければ、税務署に対して特定の相続人が引き継ぎだと解釈されます。
また、換価分割で株式を売却する場合、売却益にかかる譲渡所得税に注意しましょう。
相続税と譲渡所得税は、考え方が異なるため証券口座の会社や専門家などに相談をすることをおすすめします。
③代償分割
代償分割とは、特定の相続人が財産を引き継ぎ、他の相続人の不足分を金銭として支払う分割方法です。
不動産など、分割が難しい財産の場合に活用します。
株式の相続時の評価と確認方法
株式などを含めた有価証券・投資信託は、常に価格が変動します。
価格が変動する株式を、相続時にはどのように評価するのでしょうか。
相続は、原則発生した日、つまり死亡時の価格が財産の評価額になります。
しかし、株式・投資信託などの価格が変動する財産では、日によって異なるため他の財産と同様に公平に評価をすることができません。
そこで、株式などの証券については、上場株式と非上場株式で評価方法が異なります。
ここでは、上場株式・非上場株式の評価額の手続き方法と、株式がどれだけ保有しているのかの確認手続き方法をご紹介します。
上場株式の評価
上場株式とは、証券取引所で自由に売買などを行える株式の事をいいます。
「一部上場」などと聞いたことがあるのではないでしょうか。
一般的な株式の相続手続きの場合、上場株式を指します。
上場株式の、相続時の評価方法は次の4つの価格の中で、最も低い金額を上場株式の評価額とすることができます。
- 相続発生時(死亡日)の終値
- 相続発生月の平均終値
- 相続発生時の前月の平均終値
- 相続発生時の前々月の平均終値
上場株式の価格が決定した場合には、証券会社に口座の残高証明書の発行を依頼します。
非上場株式の評価
非上場株式とは、証券取引所に上場されていない株式のことを指します。
非上場株式は、一般的に公開市場で取引されることはありません。
一般的に売買などができない非上場株式の場合は、次のような評価方法で算出します。
- 類似業種比準方式
- 純資産価額方式
- 配当還元方式
非上場株式は会社の経営権などが含まれていますので、制限がかけられています。
非上場株式の評価方法は、評価が難しいため税理士などに相談をしましょう。
確認手続きの方法
株式を運用しているかどうかは、相続時にわからない可能性があります。
ほとんどの株式は、電子で取り扱われており、証券会社の口座で手続きを踏むことで確認することができます。
ここでは、相続時に株式を確認する方法をご紹介します。
口座の確認手続き
前述で株式は証券会社の口座で手続きをすれば確認することができるとご紹介しました。
しかし、どの証券会社の口座で運用をしていたかわからない場合があります。
そのような場合には、証券保管振替機構(通称ほふり)で、手続きを行うことで、取り扱っている証券会社と口座を確認することができます。
証券会社と口座を確認する場合には、開示請求手続きを行う必要がありますが、手続きに必要な書類は以下の通りです。
書類 |
---|
開示請求書 |
被相続人の戸籍謄本 |
被相続人の住民票除票 |
相続人の本人確認書類 |
相続人の住民票 |
印鑑証明書 |
上記の書類を準備し、証券保管振替機構に提出することで、取り扱っていた会社と口座を知ることができます。
しかし、会社と口座の開示請求手続きを行う場合には、費用がかかります。
費用は1件につき、6,050円の請求費用が必要になります。
ただしここでわかるのは、あくまで取り扱っている証券会社と口座だけです。
口座に入っている保有口数などを把握するためには、後述でご紹介する方法で確認しましょう。
参照:証券保管振替機構 必要書類
(https://www.jasdec.com/procedure/shareholders/disclosure/direct/honnin/)
口座の保有口数の確認手続き
証券保管振替機構で、開示請求手続きを行い証券会社や取り扱っている開設口座を把握することができます。
前述でもご紹介しておりますが、開示請求手続きだけでは、証券口座で管理している保有口数を把握することはできません。
保有口数を確認するには、証券会社に残高証明書を発行してもらうことで口座で運用している、株式を把握することができます。
ここでは、口座の保有口数(残高証明書)を証券会社で、確認する際に必要になる手続き書類をご紹介します。
書類 |
---|
証券会社が指定する残高証明書発行依頼書 |
被相続人の戸籍謄本 |
相続人の本人確認書類 |
相続人の住民票 |
印鑑証明書 |
証券会社に、上記の書類を提出すると1~2週間で証券口座の残高証明書を受取ることができます。
今回は、手続きの方法を中心にご紹介しましたが、戸籍謄本などを収集する際には、発行手数料が必要になりますので、注意しましょう。
相続手続き後の株の活用方法と注意点
名義変更手続きを行った後、株式や投資信託は新しくなった名義人が自由に運用・売却をすることができます。
前述でご紹介しましたが、ここでは具体的に株式の活用方法と注意点をご紹介します。
①運用を継続し配当金を受取る
1つ目は、名義変更手続きの後、口座に移管したまま運用を続ける方法です。
運用をすることで、配当金などを受取ることができます。
②売却をする
2つ目は、名義変更手続きの後売却を行う方法です。
株式や投資信託などは、新NISAなどの影響で多くの方が利用するようになりましたが、経験がない人は売却を検討する方も多いのではないでしょうか。
名義変更の手続きが完了している場合には、好きなタイミングで売却をしてもかまいません。
その場合には、売却のタイミング・運用益にかかる譲渡所得税・取得費に注意しましょう。
税金に注意
前述でご紹介しておりますが、株式・投資信託などを売却する場合には、注意が必要です。
ここでは、株式を売却する場合に注意しなければならない点について、ご紹介します。
- 売却には税金が課税される
- 譲渡所得税と取得費
1.売却には税金が課税される
株式を売却をする場合、運用益には譲渡所得税が課税されます。
売却で得た運用益は、[売却代金ー手数料ー取得費]で計算することができます。
算出された運用益には、譲渡所得税が課税され税率は、20,315%と決まっております。
この譲渡所得税は、売却時に利益が出ていなければ課税はされません。
譲渡所得税が課税される場合には、確定申告の手続きを行う期限内に申告を行いましょう。
2.譲渡所得税と取得費
株式を売却する場合には、株主である被相続人が上場株式を購入した際の、購入代金を差し引く必要があります。
しかし、相続などの株主が亡くなっている場合には、取得費がわからない場合があります。
そのような場合には、売却代金の5%が取得費となります。
【注意】株式の相続には時効があります
相続時には様々な、手続きを行う必要があります。
相続税の申告期限は、相続開始から10ヶ月以内に行う必要がありますが、その他にも手続きを行う必要があります。
その手続きの中には、期限や時効が存在する手続きがあります。
- 相続税の時効は5年
- 配当金の時効は3年~5年
相続税の時効は5年
相続税は、基本的に10ヶ月以内に行わなければ追徴課税という別の税金を納付する必要があります。
しかし、相続開始から5年が経過した場合には、申告期限の時効が成立するため相続税を納付せずに済みます。
例えば、相続開始から5年以上経過した後に、上場会社の株式や株券などが見つかった場合には、相続税の申告は必要ありません。
黙っていればいいというわけではない
「相続税の時効は5年」と決められていますが、時効があるなら申告をしなくていい。ということではありません。
税務署は、相続税の申告が適切にされていない場合は、通知や督促などを行い申告を促します。
それでも申告をしない場合には、財産の差し押さえなどが実行されます。
差し押さえが行われると、財産を自由に動かすなどのことができなくなりますので注意してください。
配当金の時効は3年~5年
実は、配当金の受領にも時効が存在します。
相続する株式に未受領の配当金があった場合には、発行会社に連絡を取り相続手続きを行います。
未受領の配当金に関しては、ほとんどの場合、特別口座で保管され、口座は信託銀行が管理しています。
相続時には、名義変更手続きと同時に配当金の手続きを信託銀行で行います。
しかし、配当金の手続きは時効が存在しており、期限を過ぎるといくら配当金があった場合でも、手続きをすることができなくなってしまいます。
ほとんどの上場会社では、配当金の相続手続きを3~5年と決めているため、上場株式の未受領の配当金があった場合には、名義変更と伴に手続きを行いましょう。
手続きはどこに相談すれば良い?
株式の相続手続きや評価方法・活用方法などをご紹介してきました。
ですが、実際に手続きを相談する場合には、どこに相談すれば良いのでしょうか。
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記事のまとめ
今回は、相続時に上場株式がある場合の相続手続きから、証券会社・口座・保有数などを把握する手続き方法などをご紹介しました。
株式は、他の相続財産と異なり発見・評価方法などが異なります。
そのため、株式や投資信託などを行っていることを事前に知っていた場合には、早めに証
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