死亡退職金を受け取る場合には相続税に注意して!

死亡退職金は相続税の課税対象になる場合があります!

企業に勤めていた方が亡くなった場合、企業によっては「死亡退職金」を遺族に支給します。
死亡退職金は遺族の生活を保障するために支払われるものですが、受け取った死亡退職金に相続税はかかるのか、考えたことがない方が多いのではないでしょうか。
今回は死亡退職金の概要と、税金はかかるのか。受け取る際の手続きや必要な書類についてご紹介します。

死亡退職金とは?

死亡退職金とは、勤めていた方が亡くなったため、本来勤めていた方が受け取るはずだった退職金を代わりに遺族が受け取る退職金のことです。
会社によっては死亡手当金・功労金といった名前である場合もあります。
企業に勤めていた方の遺族の生活を保障するために企業から支給されます。
死亡退職金の支払いは任意ではなく、企業に支給する義務はありません。そのため被相続人の勤め先の就業規則に死亡退職金の規定があるかどうか確認が必要です。

支払は7日以内

遺族からの請求があった場合、企業は請求があった日から7日以内に死亡退職金を支払う必要があります。
死亡退職金をいつ受け取れるのかについて知りたい場合は、会社の就業規則によって決定されている場合もあるため、就業規則を確認しましょう。

一般的な退職金・弔慰金との違い

死亡退職金に似たものとして、一般的な退職金や弔慰金があります。
死亡退職金と一般的な退職金や弔慰金は支給される目的が異なります。

 退職金死亡退職金弔慰金
概要退職する際に、退職者に支給される金銭亡くなった方が受け取るはずだった退職金を遺族が受け取る故人を悼む気持ちを表す金銭
目的社員の離職を防ぐ遺族の生活を保障する故人を弔い遺族を慰める

受取人の種類は就業規則等で決まる

死亡退職金の受取人は、企業の就業規則などによって定められています。
受取人が明確に規定されている場合とされていない場合で、受け取り手続きや相続税の扱いが異なることがあります。
就業規則を事前に確認しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。

就業規則で定められている場合

企業の就業規則で死亡退職金の受取人が定められている場合、その規則に従って受取人が決まります。
この場合、死亡退職金は相続財産ではなく受取人固有の財産になるため、遺産分割の対象になりません。

就業規則で定められていない場合

もし就業規則で受取人が定められていない場合、法定相続人が受取人となります。
法定相続人の範囲は、配偶者・子ども・親・兄弟姉妹になります。
被相続人の配偶者は常に相続人となりますが、配偶者以外の人には優先順位があります。

常に相続人配偶者
第1順位子ども
第2順位
第3順位兄弟姉妹

子ども、親、兄弟姉妹の順で配偶者と一緒に相続人になります。
そのためもし被相続人に配偶者と子どもがいる場合、死亡退職金は配偶者と子どもが取得することになり、子どもよりも順位が下の親・兄弟姉妹は死亡退職金を含む相続財産を受け取ることはできません。
法定相続人のうち誰がどれだけ受け取るのかは、遺産分割協議で決めることになります。

受け取った退職金は相続財産となります

遺族が受け取った死亡退職金は、相続財産として相続税の課税対象になります。
具体的には本来の相続財産ではなく「みなし相続財産」という扱いになります。
みなし相続財産として扱われる理由は、死亡退職金は被相続人が亡くなった時点で所有している財産ではなく、被相続人が亡くなったために受け取ったお金であるためです。
本来相続財産は遺産分割の対象になりますが、死亡退職金は受取人固有の財産として扱われるため遺産分割の対象になりません。
しかし、相続がきっかけで受け取った財産ですので、税法上相続財産として相続税の対象になることに変わりはありません。
ただし詳しくは後述しますが、死亡退職金の全額が相続税の課税対象となるわけではなく、非課税枠を超えた部分が課税対象になります。

なぜ相続税が課税されるの?

本来退職金は所得税がかかります。
しかし死亡退職金の場合、相続がきっかけで本来被相続人が受け取るはずだった退職金をその家族が受け取ることになるので、所得税ではなく相続税が課税されます。

死亡退職金の要件

相続人が受け取った死亡退職金の合計額が非課税枠を超えた場合、その超えた部分の金額が相続税の課税対象になります。
相続人以外が受け取った死亡退職金も課税対象です。
また死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金は相続税の課税対象になりますが、3年以降に受け取った場合は相続税ではなく所得税の課税対象になります。

死亡退職金に該当しないもの

死亡退職金が非課税枠の範囲内であれば、相続税は課税されません。

非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の数

例えば相続人が3人の場合、1,500万円が非課税になります。
この枠を超えた分が課税対象になります。

実際に受取人が取得した際の相続税の計算方法

受取人が死亡退職金を受け取る際の相続税の計算方法について簡単にご紹介します。
ただし、死亡退職金の全てが相続税の対象になるわけではありません。
今回は死亡退職金の課税対象額の算出方法に焦点を当てて説明します。
死亡退職金における課税額の計算は以下のように行います。

①各相続人が受け取った死亡退職金を合計する。
②死亡退職金の合計から非課税枠を差し引く。
③非課税限度枠を超えた場合、超えた額を各相続人に振り分け、それぞれの相続人の課税額を計算する。
④他の相続財産と合算して相続税を計算する

ここで求めた課税対象額はあくまで死亡退職金に対してのものになります。
実際は他にも相続財産があるため、他の相続財産に今回算出した死亡退職金の課税対象額を足した額が相続財産の課税対象額になります。
課税対象額が相続税の基礎控除額[3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数]を超えた場合に相続税が課税されます。

相続税の計算は複雑なため、税理士等の専門家に相談することをおすすめします。

死亡退職金を受取る時の手続き・必要書類

死亡退職金を受け取る際には、いくつかの手続きと必要書類があります。
手続きをスムーズに進めるために、事前に必要な情報を確認し、準備を整えておくことが大切です。
以下に手続きの流れと必要な書類について説明します。

手続きの流れ

手続きの流れとしては以下のようになります。

①被相続人が勤めていた企業に連絡し、死亡退職金支給申請書を受け取る
②必要書類を準備する
③企業の所定の部門に提出する

企業が書類を受理した後、書類に不備がなければ、指定された口座に死亡退職金が振り込まれます。

必要な書類(用紙)と提出先

死亡退職金を受け取るために必要な書類には、以下のようなものがあります。

必要な書類入手先
死亡退職金支給申請書被相続人の勤め先
被相続人の死亡診断書市区町村の役場
被相続人の戸籍謄本市区町村の役場
受取人の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)

これらの書類を揃えた上で、勤務先の人事部門や総務部門に提出します。

誰に相談するのがベスト?

死亡退職金の受け取りや相続に関する手続きは複雑で、多くの遺族にとって負担となります。
適切なアドバイスを受けることで、スムーズに手続きを進めることができます。
以下に、相談先としておすすめの選択肢を紹介します。

  • 相続ぽると
  • 各専門家

相続ぽると

死亡退職金に関する相続税の疑問や悩み、ございませんか。
「相続の専門家に相談したいけど、いきなり専門家に相談するのはハードルが高い」
「そもそもどの士業さんに相談すればいいんだろう」
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
相続ぽるとは相続の入口として皆さんにご利用いただいております。
まずはお客さまの現状について一緒に整理し、各家庭の状況に応じサポートを行い、必要であれば適切な専門家をご紹介します。
とりあえず死亡退職金について気軽に相談したいという方はぜひ相続ぽるとの無料相談をご利用ください。

各専門家

相続に関する具体的なアドバイスを求める場合は、相続の専門家に相談することが有効です。
以下のように、相続の専門家によって専門としている分野があります。

税理士相続税の計算・申告手続きのサポート
弁護士相続人間のトラブル解決・法的手続きのサポート
司法書士遺産分割協議書の作成・不動産登記の手続き代行
行政書士相続手続きの書類作成・車の名義変更

自身が抱える悩みに対し適切な専門家に相談することで、安心して相続手続きを進めることができます。

記事のまとめ

死亡退職金は、企業に勤めていた方が本来受け取るべき退職金を遺族が受け取るもので、相続財産として扱われます。
そのため、本記事でご紹介した条件を満たすと相続税の課税対象となります。
受取人は企業の就業規則で定められる場合が多く、そうでない場合は法定相続人が受け取ることになります。

死亡退職金を受け取る際には、必要な手続きや書類を準備し、企業に提出する必要があります。
手続きが複雑でわからない場合は、専門家に相談することをおすすめします。相続ぽるとや税理士、弁護士、司法書士などの専門家を活用することで、適切なアドバイスとサポートを得ることができます。