認知症になったら困ることは?相続時の対策や制度を解説‼

認知症になると、日常生活以外で困ることがあります。

相続時に認知症の方が1人でもいらっしゃる場合、相続時に様々な困ることが起きてしまいます。
認知症はいつ発症してしまうのか誰にも把握することができません。
近年の相続対策を考えるときは、分割対策・納税資金対策・節税対策の従来の3本柱だけではなく4本目の柱として認知症対策が重要になります。
本記事は、認知症になってしまった場合に相続で困ることをご紹介します。さらに対策方法となる2つの制度をご紹介しておりますので、認知症対策を考えている・相続についてよく知りたい方はぜひご参照ください。

認知症になると困ることがあります

内閣府の調査によると「65歳以上の認知症高齢者数と有病率の将来推計についてみると、平成24(2012)年は認知症高齢者数が462万人と、65歳以上の高齢者の約7人に1人(有病率15.0%)であったが、37(2025)年には約5人に1人になるとの推計もある(図1-2-11)。」という結果が出ています。
2025年には5人に1人が認知症と診断されると言われています。

出典 「平成29年度版高齢社会白書 概要版」(内閣府)より(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/gaiyou/s1_2_3.html)(2023年9月12日に利用)

相続にも影響があります

実は認知症になってしまうと、日常生活だけではなく相続にも様々な影響があります。
認知症の場合には預金や不動産などの財産関係の困ることの他に、全員で話し合う遺産分割や財産の分け方を決めた遺言書などにも影響がある可能性があります。
今回は相続で困ることを中心にご紹介します。

認知症になってしまったら困ること

認知症になった場合に起きる困ることは、次のようなものがあります。

  1. 預金関連
  2. 不動産
  3. 贈与
  4. 保険
  5. 金融商品
  6. 遺言書
  7. 遺産分割

上記の事柄が認知症になった際に困る事と言われています。
現金・不動産・有価証券などの遺産の他にも遺産分割協議や遺言書などの相続手続きに関しても困ることがあります。

困ること①預金関連

認知症になってしまった場合、名義人の財産を保護するために銀行などの金融機関は一時的に取引を制限する口座凍結という措置を取ります。
口座凍結が起きてしまうと、引き出し・預け入れ・新しい口座開設や解約などが行えなくなります。
口座が凍結されるため、ライフラインを始めとした公共料金、家賃、食費、洋服などの生活費全般、その他に老人ホームの月額料、介護ヘルパー代、お薬などのこれまでだったら預金から引き出して支払えていたものが凍結により使えなくなり、ご家族の口座から捻出しなければなりません。

口座凍結についてはこちら‼〉〉

困ること②不動産

不動産も同様に認知症の方がいる場合、売買・貸借・改築や増築などの行為ができなくります。
例えば、介護施設に入居させるために不動産を売却して資金を用意したいと考えていても、名義人が認知症になってしまった場合には、売買する意思能力がないと判断されるため、資金を用意する事が難しくなる事があります。
「介護費用に充てるお金を捻出したい!」と考えていても、結果として家族がそのお金を用意しなくてはならなくなるケースも少なくありません。

困ること③贈与関連

意思能力が無いと生前に贈与したものが無効とされる場合があります。
生前贈与の準備をしていても、認知症による意思能力のない者の贈与は無効となってしまうため、家族間でトラブルになる可能性も考えられます。

困ること④保険

認知症になってしまった場合は、保険であっても契約の締結・解約・内容変更などの行為が行えません。
そうなると、生命保険を活用した相続対策が出来なくなるなどの不都合が生じることも考えられます。

困ること⑤金融商品

株や債券などの金融商品は、本人が認知症になった場合、資産運用のために購入・所有していたとしても、資産は売買できずに放置される事があります。
将来ご自身が介護施設に入所する時のために、投資信託等を利用して資産運用をしていたとしても、その途中で認知症を発症されると、運用していた資産を動かすことができなくなってしまいます。

困ること⑥遺言書

遺言書は相続において遺産の分割の仕方を、被相続人が決めることができ法的にも大きな効力を持っています。
しかし認知症になった後に作成した遺言書は、原則無効とされています。
遺言書は原則、被相続人(亡くなる方)が書かなければ効力がありません。
他人(家族)が代筆した遺言書や、口授(こう書いてほしい等)した内容の遺言書は基本的に無効扱いとなります。

困ること⑦遺産分割協議へ参加ができない

認知症になってしまうと相続時に相続人全員と話し合いが必要になる遺産分割協議が行えない可能性があります。
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行わなければなりませんが、認知症になってしまうと判断能力が低下するため、場合によっては少ない財産を引き継ぐ可能性が出てきてしまいます。
成年後見人などを家庭裁判所で選任することで遺産分割協議に参加し財産の分け方を決めることは可能ですが、単独で遺産分割協議に参加ができませんので注意しましょう。

認知症対策するためには何をしたらいいの?

困ることを通してお伝えした通り、認知症になると生活費などの身近な所や遺産分割協議などの相続に関わる場面で、困ってしまう場面があります。
そんな認知症への対策としては、2つの方法があります。

  1. 成年後見制度
  2. 家族信託

それぞれの制度を順番にご紹介します。

対策①成年後見制度

認知症の方だけではなく知的障害者など判断能力が低下すると自身の財産管理・契約行為、相続における遺産分割協議などの様々な行為が難しくなります。
提案された契約が自分にとって必要か不要かの判断が難しくなるため、契約をしてしまったり、遺産を売却してしまったりなど財産を減らしたり失ったりするようなケースがあります。
このようなリスクから高齢者を保護・支援するのが「成年後見制度」です。

家庭裁判所の選任によって選ばれた後見人が認知症をはじめとした高齢者を支援します。
認知症のほか、知的障害、精神障害、病気や事故により脳に障害を負った人などもこの制度の対象になります。

後見人になれる人

成年後見人になれる人には、原則資格などは必要ありません。
任意後見制度などのようにあ内容によって支援が必要な人を最大限に支援できる人を選任します。
そのため親族などが後見人として選任される可能性もありますが、法律や福祉に詳しい専門家や福祉関係の公益法人などが選ばれることもあります。

成年後見人の役割

成年後見人には主に3つの役割があり、財産管理・身上監護・家庭裁判所への報告があります。
特に身上監護といい、被成年後見人の生活を維持・健康や安全のために支援を行うことは他の制度ではできないような支援の内容です。

また成年後見人を選任することで遺産分割協議に参加することや本人に代わり遺産分割協議書の手続きなどを行うことが可能になります。

対策②家族信託

家族信託とは、財産を持っている人が、目的(老後の生活・介護等に必要なお金の管理等)に従って、その保有する不動産・預貯金等の資産を信頼できる家族に託し、その管理・処分を任せる仕組みの事です。
後見人制度では、仮に認知症になってしまった後でも家庭裁判所に申立を行えば、制度を利用できますが、家族信託は信託契約であるため、認知症になった後に家族信託を結ぶことはできませんので注意しましょう。
後見人制度では、毎年の家裁への報告義務や、生前贈与などができない反面、家族信託では、財産を持っている人の意思に沿って行うことができます。

しかし、身上監護権があるなどの成年後見制度のメリット・デメリット。家族信託のメリット・デメリットなどがありますので、どちらが自分に合っているかを見極めるには、専門家にご相談する事をオススメします!

相続ぽるとのオリジナル家族信託~しあわせトラスト~

私たちはお理事ある家族信託~しあわせトラスト~を
家族信託を身近なものにするため資産額にもよりますが、一般的に数十万円から百万円前後にもなる信託組成の費用ですが、信託する財産が不動産だけの「オウチだけ信託」、現預金だけの「オカネだけ信託」という49,000円~始められるシンプルプランと、様々なご希望に柔軟に対応できる「オマカセ信託」をご提供しております‼
ご家庭に合った、誰もが利用しやすいサービスとしてお届けしていきます。
無料で資料もプレゼントしておりますので気になる方はぜひ一度ご参照ください。

相続の相談は相続ぽるとへご相談ください!

相続ぽるとでは、認知症に対する相談だけではなく、「相続の適切な入り口」としてみなさまにご利用頂いております。
必要に応じて専門家をご紹介し、ご家庭にあった相続の最適化をご提案しております。
両親や自分自身の相続の相談をしたいけど、誰に相談していいか・どんな手続きが必要なのかわからない。お困りの方は、相続ぽるとまでお気軽にご相談ください。

記事のまとめ

今回は、認知症になってしまった場合の困り事と解決方法を記事でご紹介しました。認知症になってしまうと日常生活だけではなく相続時に大きな影響を与えます。
それらに対策するためには成年後見制度や家族信託などの制度を活用しなければなりません。
健康な状態であれば、成年後見制度や家族信託を利用し、相続時に認知症の方がいても困ることにならないよう未然に防ぐことができます。
しかし制度を利用していなければ十分に効果を得られないため、気になる方は司法書士や税理士などの相続に強い専門家などと協力して進める事をおすすめします。