生命保険はなぜ相続で有効?|活用方法や計算方法をご紹介

生命保険は活用次第で相続対策になります!

生命保険は相続税の課税対象財産になりますが、相続対策のために活用することが可能です。
生命保険を賢く正しく活用すれば相続対策や節税対策になりますが、その分注意点もあります。
本記事では生命保険はなぜ相続で有効だと言われているのか・活用方法や注意点、非課税枠の計算方法などをご紹介します。
生命保険の活用方法を知りたい・どんな場合に活用するのが良いのかなど基本なルールを知りたい方はぜひご参照ください!

相続税には基礎控除枠があります

相続税を申告する場合には非課税枠となる基礎控除枠があります。
基礎控除枠の計算は以下の通りです。
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

遺産総額が基礎控除枠を超えなければ相続税の申告が必要ありませんが超えてしまった場合には申告が必要となります。

基礎控除は法定相続人の数で異なります

ご紹介した基礎控除枠は、法定相続人の数により異なります。
法定相続人が2人の場合は4,200万円・3人の場合は4,800万円となります。
法定相続人の考え方や範囲はこちらの記事でご紹介しておりますので、ご参照ください!

生命保険の基本と受取人固有の財産

生命保険が有効と言われる理由をご紹介する前に生命保険の基本をご紹介します。
生命保険とは、契約者・被保険者・受取人の3つの役割があります。

契約者保険契約をし保険料を納付する人
被保険者保障を受ける人
受取人支払事由発生時に保険金を受け取る人

病気や怪我・事故、災害などのもしもの事が発生した際に受ける経済的損失を補填する役割を持つのが保険であり、生命保険は人に関わる病気や怪我などの「もしも」に対する保障です。

受取人固有の財産

遺産にはプラスの財産やマイナスの財産などを考えますが、生命保険や死亡退職金などの受取人が予め指定されている財産のことを受取人固有の財産といいます。
受取人固有の財産は、予め受取人が指定されているためもともと受取人の財産として扱われます。

生命保険が相続に有効な理由3選‼

生命保険の基本を理解した上で、相続でなぜ有効なのかを3つご紹介します。

①非課税となる控除枠がある

生命保険金や死亡退職金は相続税と同じように基礎控除と呼ばれる非課税枠があります。
後ほどご紹介しますが、非課税枠内であれば生命保険金や死亡退職金は相続財産に含まれません。
そのため現金などを多く持っている場合には遺産に含まれない節税効果があります。

非課税枠の計算方法

生命保険や死亡退職金の非課税枠の計算方法は以下の通りです。
500万円×法定相続人の数
この非課税枠はどんな場合でも適用されるわけではなく、被相続人が保険料を支払っている事が条件です。

参照:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm
(2023/08/25 利用)

②受取人固有の財産のため相続財産ではない

先程生命保険や死亡退職金は、受取人固有の財産としてもともと受取人のモノとして扱うとご紹介しました。
そのため遺産分割協議などの財産を分ける際には、生命保険金や死亡退職金は財産として扱われません。
一方で、被相続人の死亡などの理由により発生するお金のため相続税の計算には持ち戻して計算をします。
しかし、受け取った保険金が非課税枠である500万円×法定相続人の数を超えなければ持ち戻す必要がありません。

③納税資金・代償金となる

生命保険が相続で有効であるのは、受取人固有の財産として扱われる以外に保険会社に保険金請求をすれば素早く受取人に保険金が支払われることです。
相続が発生すると金融機関は亡くなった方の財産を保護する目的で、取引を一時的に停止させる口座凍結などの措置を取ります。
生命保険を活用すれば素早く保険金を活用する事が可能です。葬儀費用などの急に必要になる資金に充てることも可能ですが、納税資金や代償金としても活用する事が可能です。

納税資金としての生命保険

相続において遺産に不動産が多く現金が少ない。などのケースがあります。
この場合例え不動産の評価額が低くても現金が少ない場合、相続税を収めるための資金を用意するのが難しい場合があります。
相続税は原則一括納税となっています。物納や分割などの方法や不動産の売却などを行わなければなりません。
そのような場合に、生命保険を活用します。受取人が手続きを行い受け取ればその財産の使い道は自由なためそのまま納税資金に充てる事が可能です。

代償金としての生命保険

遺産分割の方法は大きく分けて3つあります。

現物分割財産をそのまま分ける方法
換価分割全ての財産を売却し現金にして分ける方法
代償分割特定の相続人が大きな財産を受取る代わりに、代償金を支払う方法

代償分割とは、相続財産をある特定の相続人が受取る代わりに代償金を他の相続人に支払う分割方法を指します。
代償分割を行えば不動産の共有を防ぐ事が可能になりますが、同時に財産を受取る相続人は代償金を用意しなければならず自費で捻出しなければなりません。
そのような場合に生命保険を活用することで死亡保険金を代償金として確実に準備する事が可能です。
受取人が手続きを行い受け取ればその財産の使い道は自由なため代償金に充てる事が可能です。
生命保険を活用し代償金を用意する場合には、必ず遺産分割協議書に記載をしましょう。 遺産分割協議書に記載をしない場合、贈与とみなされる可能性があります‼

生命保険活用の注意点

生命保険は上手に活用する事ができれば大きな節税や納税資金効果が期待できますが、注意しなければならない注意点があります。
今回は生命保険を活用する際に注意すべきポイントを4つご紹介します。

死亡保険金は関係性により税金が異なります

生命保険は先程大きな効果が期待できるとご紹介しましたが、誰が保険料を支払い、誰に補償をかけているのか。
誰が保険金を受け取るのかなどにより、死亡保険金にかかる税金の課税制度が変わります。

①契約者・被保険者が同一の生命保険の税金

契約者(保険料支払い者)・被保険者(補償を受ける人)が同一人物であり受取人が異なる場合には、相続税が課税されます。
この場合は、受取人が法定相続人の場合は非課税が適用され、それ以外の場合は適用されませんので注意しましょう。

②契約者・受取人が同一の生命保険の税金

契約者・受取人が同一の場合は所得税が課税されます。
夫が契約者・妻が被保険者・子供が契約者の場合は所得税が課税されます。

③契約者・被保険者・受取人が全て異なる生命保険の税金

上記のように全て異なる保険契約については、贈与税が課税されます。
例えば、夫が契約者・妻が被保険者・子供が受取人の場合は贈与税が課税されます。

図に表すと以下の表になります。

契約形態契約者被保険者受取人税金の種類
法定相続人orそれ以外※1相続税
所得税
子供贈与税
※1 契約者・被保険者が同一で法定相続人以外の人が受取る場合には相続税の課税対象になりますが、生命保険の非課税枠が適用できません。

このように誰が契約者・被保険者・保険金受取人かにより税金の種類が変わります。
相続税を考える場合には、非課税枠である500万円×法定相続人の控除枠を活用できる①の生命保険契約を締結する事をおすすめします。

代償金は贈与税が課税される可能性があります

先程、遺産分割の方法の一つである代償分割の代償金には生命保険契約が有効とご紹介しました。
しかし代償金を用意する前に注意しなければならない事があり、それは代償金が贈与税の課税対象になる可能性があることです。
例えば相続人が2名(B・C)。自宅2,000万円・現金1,000万円・生命保険5,000万円の場合を考えてみましょう。
Bが生命保険5,000万円。Cをが自宅2,000万円・現金1,000万円を相続ました。
BとCで公平に財産を分けるために、BからCに対し1,000万円を支払った。


一見何の問題もないように思えますが、BからCへ支払った1,000万円が贈与とみなされる可能性があります。
それはBが相続財産を受け取っておらず生命保険のみ受け取っているからです。
死亡保険金や死亡退職金は受取人固有の財産であり遺産の対象とはならずBの元々持っている財産とカウントされます。
このような場合、財産を受取る代わりに代償金を用意する代償分割の構造が成り立ちません。

こうならないためには?

このような状況にならないためには、代償金を支払う人も財産を受取る事・代償金が遺産を計算した総額を超えない事。
この2点を考慮し死亡保険金などの生命保険の契約を締結しなければなりません。

想定される活用事例

生命保険は相続の様々な場面で活用する事が可能なモノです。
ここからは相続で想定される生命保険の活用事例をご紹介します。

ケース1:葬儀費用が必要に!

大切なご家族が亡くなると、年金や健康保険などの手続きを行わなければなりませんが葬儀の手配も行う必要があります。そして葬儀費用を負担するのは相続人であるご家族です。
受け取った香典等で補填することも可能ですが、規模ややり方により百万円単位のまとまった費用が必要になるケースもあります。そうしたケースを補うために生命保険を活用可能です。
何度もお伝えしていますが、死亡保険金は請求後素早くに受け取ることができます。そのお金を葬儀費用に充てることで不足分を補う事が可能です。

ケース2:面倒を見てくれた人に渡したい

老後の自分の面倒を見てくれていた相続人に感謝の気持ちとして財産を渡したい。という方も多いのではないでしょうか。
そのような場合でも生命保険は有効です。
生命保険などの死亡保険金や死亡退職金は受取人固有の財産のため、遺産分割の対象財産ではなく法定相続人の最低限の受け取り分である遺留分にも当てはまりません。
特定の相続人に対して財産を残したい場合には、生命保険を活用しましょう。

ケース3:代償金を支払えるようにしたい!

代償分割を選択した場合は代償金を用意しなければなりません。と前述でご紹介しました。
代償金は代償分割で財産を受け取った人が自費で用意しなければなりません。
一般的に代償金は一括払いとなります。分割払いも可能ですが支払い遅延などが起きてしまうことや支払わないなどのトラブルに発展する可能性があります。
そのような場合には生命保険を活用すればトラブルを未然に防ぐことが可能です。
相続財産を受取る人を、死亡保険金受取人にした生命保険契約を締結します。
そうすることで確実に代償金を用意することが可能であり、遺産分割の対象財産にもならないため相続財産が減ります。

代償金として生命保険を活用したい場合は、契約者・被保険者・保険金受取人以外にも相続税や贈与税などの税金関係も注意しなければなりませんので、FPなどの専門家に相談しましょう。

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相続ぽるとでは生命保険の活用による相続対策だけではなく「適切な相続の入り口」としてご利用頂いております。
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そう感じる方もいらっしゃいますが、実はそのような方が相続や認知症で困ってしまうケースが多くあります。
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記事のまとめ

今回は相続における生命保険の活用方法をご紹介しました。
生命保険を活用することで、相続財産を減らせることやすぐにお金が必要な場合に備えることが可能です。
一方で遺産には含まれないが相続税の計算には持ち戻す必要があることや課税される税金などが契約形態により変わるため、有効に活用したい場合には専門家に相談することをおすすめします。