タンス預金は見つかった場合に多くの税金を払わなければなりません
近年の低金利では「銀行などにお金を預けていてもお金が増えた感覚がない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
そんな中にいつでも使えるようにタンス預金を考えて行う方も多いと思われます。
自由に使えるお金があることにメリットはありますが、相続時までそれらを隠しているままだと相続人への影響が出ることをご存知でしょか。
本記事はタンス預金とは何か。という基本的なところから相続への影響・見つかった場合にどうなってしまうのかなどをご紹介します。
タンス預金とは
自宅で現金などを保管しておくことを総称してタンス預金といいます。
タンスだけではなく金庫や引き出しなどの自宅の中で保管する現金などを指します。
メリット
タンス預金を行うメリットは主に2つです。
- 自由に引き出しが可能になる。相続時に口座凍結されずに利用可能
- 銀行破綻時にも対応可能
自由に引き出しが可能になる。相続時に口座凍結されずに利用可能
自宅で現金を保管するということは、必要なときにすぐにお金を用意できることが大きなメリットです。
ATMなどでは手数料や行くまでに時間がかかるなどの時間とコストをかけずにいつでも必要なときに出すことが可能です。
また相続が発生すると銀行などの金融機関はなくなった方の財産を保護するために取引を一時的に停止させます。
破綻時にも対応可能
銀行が何かしらの理由により財施破綻をしてしまった場合預金保険制度に則り1,000万円までは保証されます。
1,000万円以上の現金を保管している場合は銀行が破綻した際に1,000万円しか残りませんが、タンス預金をしている場合は銀行が破綻した際にもお金の引き出しが容易になります。
デメリット
一方でタンス預金を行っていると次のようなデメリットが起きます
- インフレ時には価値が下がる
- 新紙幣や新硬貨が出た際
- 保管場所を忘れる
インフレ時には価値が下がる
これはタンス預金をしているからとは言えませんが、インフレ時には円の価値が下がるため購入したいモノに対しての支出が多くなります。
新紙幣・新硬貨が出た際
2024年には新紙幣が導入され2021年には新硬貨(500円)が導入されました。
新硬貨に対応していない自販機をお見かけする機会も多いと思います。
流通が可能な間は心配ありませんが使用できなくなってしまった場合にはタンス預金でいくらお金があったとしても使用する事ができなくなります。
保管場所を忘れる
高齢化により認知症などの方が増えている日本においてその方がタンス預金をしていた場合には保管場所を忘れてしまう事があります。
本人が見つけられない物を家族が見つけることはより困難になります。
タンス預金をするとおこるリスク
メリット・デメリットをご紹介してきましたがタンス預金はあまりしないほうが良いとされています。
デメリットでは大きな枠としてご説明しましたがここからは危険性が高いリスクを2つご紹介します。
盗難リスク
自宅で現金を保管している場合に、物盗りに遭った場合には盗難される危険性があります。
法務省の犯罪白書を見ても年々窃盗の件数や総額は減ってきているものの現金などを自宅で保管している場合は盗難に遭うリスクが高くなります。
出典:法務省 令和4年度版 犯罪白書 (https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/69/nfm/mokuji.html)
(2023/08/28 利用)
消失・紛失リスク
自宅で保管している場合には自然災害にも注意しなければなりません。
火災・風災・水災などの自然災害では自宅で保管している場合は消失や紛失する可能性があります。
火災保険などで盗難による被害に関して補償してくれる保険会社もありますが、全額補償されているわけではありませんので注意しましょう。
リスク対処するために一度相談しませんか?
タンス預金は税務署にバレる可能性がほとんど
税務署は、KSKシステム(国税総合管理システム)を利用し納税者に関する口座の入出金の記録を調査する事が可能です。
全国11箇所の国税局拠点と524の税務署(沖縄は国税事務所)をネットを介して繋がることで管理しています。
そのためいくら自宅で保管していようとも税務署がシステムを活用することで、預金からいくら出金しているのかを把握する事が可能です。
そのため相続においても、直前に複数回に分けて出金が行われていたなどという事が調査をすればわかってしまいます。
納税情報も見ることが可能です
国税局や税務署が活用するKSKシステムは、相続が発生した際に実際の財産額と申告された相続税に差がないかも調査する事ができます。
そのためタンス預金はバレないと思っていても過去の入出金と実際の申告額を調査することでタンス預金も同様にバレてしまいます。
見つかると相続へ影響する?
遺産分割協議を行う必要性
タンス預金の存在を知らずに相続が発生し相続税まで納税したのにも関わらずタンス預金等が発覚し被相続人の財産であると調査で判明した場合には遺産分割協議書を当時の相続人で再度行わなければならなくなります。
タンス預金自体に時効はありませんが相続ではあります。
タンス預金には時効という概念がありませんが、相続税はタンス預金の存在を知らなかったなどの場合は5年間。悪意を持って行った場合には7年間とされています。
そのため相続対策としてタンス預金を行った場合には、5年~7年程度税務署に怯えることになります。
発覚した場合はペナルティーがあります
実際に相続が開始され相続税の計算や申告・納付を行ったとしてもタンス預金は遺産分割をしなければなりません。
そして相続税を申告・納付したとしても追徴課税と呼ばれるペナルティがあります。
相続において追徴課税は以下のような課税がされます。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 延滞税
- 重加算税
過少申告加算税
過少申告加算税とは、一度相続税を申告・納付したが税務調査により更生申告が来た場合や税務調査が始まるまでに修正をしなかったなどの場合に課税されます。
税率は、追加する財産の5~15%程度を乗じた金額が課税されます。
無申告加算税
無申告加算税とは、期限内に相続税の申告を行わなかった場合に課税されます。
税率はいつ申告するかにより税率が変動します。
期限を過ぎた後に気がつき自ら申告した場合は5%・税務調査の前後の場合は額に応じて15~20%が課税されます。
延滞税
延滞税とは、相続税の申告期限である10ヵ月以内に申告はしたが納税資金がない場合に課税されます。
一般的に2ヵ月以内なら年2.4%、2ヵ月以降は年8.7%が課税されます。
納付する日が2ヵ月を超過するかにより税率が大きく変わるため注意しましょう。
重加算税
重加算税とは、追徴課税の中でも最も重いペナルティーです。
相続税を払いたくない・タンス預金はバレない・親の財産が多く基礎控除枠を超えてしまったから少しでも相続税を減らしたいなど隠蔽工作や脱税のために行った場合に課税されます。
税率は最大で40%。それにプラスして延滞税が課税されるため50%近く多くの税金を納付しなければなりません。
追徴課税の一覧は以下の通りです。
延滞税 | 2.4%~8.7% |
過少申告加算税 | 5%~15%(時期や金額により変動) |
無申告加算税 | 5%~20%(時期や金額により変動) |
重加算税 | 最大40% |
タンス預金にならないために必要な対策方法は?
相続時にタンス預金で困らないために必要な対策は銀行に預けることです。
タンス預金は自由度が高いのが利点ですが、バレないなどの理由から行う相続税対策のためであれば不向きです。
また何度もお伝えしていますが、税務署は現金などの入出金を調査する事ができます。
相続の相談は相続ぽるとへ!
相続ぽるとは「適切な相続の入り口」としてみなさまにご利用いただいております。
タンス預金がある場合は、専門家である税理士に依頼することをおすすめしますが相続対策として考えているのであればその他の専門家と協力しなければならない場合が多くあります。
その場合、各専門家とみなさまが交互に連携を取らなければなりません。
私たち相続ぽるとでは、必要に応じて専門家をお繋ぎしご家庭に合った相続の最適化を実現します。
タンス預金のような難しい話だけではなく全体的に何をしたらいいのかわからない。相続対策関連を知りたいという方はお気軽にご相談ください。
記事のまとめ
今回はタンス預金と相続における影響をご紹介しました。
タンス預金は相続対策としては不向きであり知らなければ税金を収めるのは相続人です。一定期間の時効金がありますがその間に税務署が調査し発覚した場合には追徴課税となります。
子や孫のために財産を残したい場合は、生前贈与などの制度を活用して贈与していくことをおすすめします。