相続トラブルはお金だけではなく他人事じゃありません!
大切な家族が亡くなった後に「相続トラブル」で家族の関係が悪化してしまった。という話を聞いたことはありませんか?
「家族で仲が良いから大丈夫」・「遺産が多ければなりそう」という方もいらっしゃるかと思いますが、実は遺産の金額にはあまり関係がありません。
相続前は仲が良かった家族でも、相続トラブルをきっかけに絶縁状態になってしまったというケースも少なくありません。
この記事では、相続時にトラブルになりやすいケースとトラブルを予防・防止する方法なども合わせてご紹介しております。
トラブルは他人事ではありません
前述で少しご紹介しておりますが、相続トラブルは他人事ではありません。
「お金持ちの話。私たちには関係ない」などと思われるかもしれませんが、遺産だけではありません。
もちろん、遺産総額が多い場合トラブルに発展するケースもありますが、「お金持ちでなくても相続トラブルにはなる」ということです。
遺産総額1,000万円以下でトラブルになるケースもある
裁判所が公表している令和3年度の司法統計のデータによると、令和3年に新たに遺産分割に関する事例は13,447件に登ります。
その中でも遺産総額が1,000万円以下のトラブルは2,279件であり、全体の約17%を占めています。
また5,000万円以下の場合のトラブルは合計で3,037件となっており、全体の22%が5,000万円以下の相続で揉めているということになります。
つまり、遺産の総額が例え1,000万円以下でも多くの家庭でトラブルになっているということです。
裁判所 司法統計 家事令和3年度(https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/600/012600.pdf)
金額だけではなく財産への想いからトラブルになる
前述で実際のデータを参考にご紹介しましたが、遺産の金額が低い場合でも相続トラブルは起きています。
また、遺産の総額が少ない方がトラブルに成る可能性が高くなるとも言われています。
それは、少ない遺産だからこそ「もらえる分は全てもらいたい」という思いや、遺産に対する特別な想いからトラブルになりやすいこともあります。
例えば、被相続人の自宅不動産が遺産の場合、相続人のみなさまが育った家だったとします。
大切な家をそのままにしたいという方と、売却してお金に変換したいという相続人がいた場合には話が平行線になってしまい、トラブルに発展してしまうケースもあります。
また、後述でご紹介しますが、生前に贈与を受け取っていた場合や他の兄弟は海外留学の費用を工面してもらっていたなどの理由からもトラブルになります。
ここからは、遺産に関するトラブルから家族同士での間でトラブルになるケースを例題を出しながら詳しくご紹介します。
遺産に関するトラブル
まずは、遺産に関するトラブルです。
遺産に関するトラブルとは、被相続人の保有していた財産を巡るトラブルのことです。
遺産が不動産(土地・建物)しかない
1つ名は、遺産が不動産(土地・建物)しかないケースです。
ここでの不動産とは、戸建だけではなく、マンション・空き家・農家が保有する農地などの不動産も含みます。
土地や建物などの不動産は、相続財産の中でも「分割することが難しい財産」とも言われています。
現金や預金・証券などの財産は均等に分割しやすいですが、不動産は実際に分割することが難しく、大きい財産のため評価額が高額になりやすい財産です。
そのため、主な遺産が不動産の場合、不動産を取得する相続人とそれ以外を相続する相続人に分類されてしまいます。
適切な分割対策をしておけば防げますが、対策無しで相続手続きを行なう場合には、不動産を取得する人とその他を取得する人で、引き継ぐ財産の総額が異なるため、「不平等だ!」という理由で相続トラブルになる可能性も否定できません。
トラブル事例:分割しにくい不動産をどう分ける?
不動産の相続トラブルはどのようなトラブルなのでしょうか。
家族構成・遺産は以下のようなケースです。
被相続人 | 父 |
相続人 | 配偶者(母)・長男・長女 |
遺産 | 不動産(3,000万円)・現預金(500万円) |
今回は、遺言書がなく遺産分割協議を行なった場合を考えてみましょう。
長女と配偶者は、実家に住み続けること希望しているが長男がそれに反対し、売却を希望しています。
3名とも。共同名義(共有名義に)にする意思はなく誰かが引き継ぐことを望んでいます。
仮に、長女が引き継いで母と住む場合でも、長男を納得させるためには、代償分割などの方法がありますが、長女には長男に渡すだけのお金を持ち合わせていないため、遺産分割協議が行き詰まっています。
対策方法:話し合いと生命保険の活用
今回のようなケースでは、トラブルになる前に長女が少しずつ代償金を準備しておくことが重要です。
特定の遺産を相続人が引き継ぎ、不足分を支払うことで公平に分割することができます。
上記のケースのように、不動産の処分の方法で揉めている際には代償分割が活用されますが、代償分割を行なうためには、遺産を引き継ぐ相続人に資金力が必要です。
そのため、長女が少しずつ準備を初めておくことや、生命保険などを活用して代償金を被相続人が用意しておくなどの対策があります。
生命保険の受取人が1人に偏っている
2つ目は生命保険の受取人が1人に偏っているケースです。
生命保険は、受取人固有の財産と呼ばれる性質を持つため、相続財産には含まれません。
受取人固有の財産とは、基からその受取人である財産のことです。
生命保険の場合、保険金を受け取る人が契約時に決まっています。
そのため、基からその人が受け取ることになっている財産とカウントされるため、相続財産には含まれず遺産分割協議の対象財産でもなくなります。
ただし、相続によって資産が移動しているため相続税の課税対象財産には含まれます。
トラブル事例:1人の相続人に多額の保険金が!?
生命保険は、受取人固有の財産のため遺産分割協議の対象財産からは除外されます。
しかし、それがトラブルの原因になる可能性も十分にあります。
ここでは、以下の家族構成でトラブルになったケースをご紹介します。
被相続人 | 父 |
相続人 | 配偶者(母)・長男・長女 |
被相続人である父が亡くなり、相続が開始されました。
父は、今後の家族のサポート(主に配偶者の介護など)として長男を受取人とした1,500万円の生命保険に加入していました。
実際に、長男は保険金を受け取りましたが、配偶者と長女は保険金を受け取っていません。
保険金は、受取人固有の財産のため、遺産分割には含まれません。
つまり、配偶者・長女よりも多くの遺産を引き継ぐことが可能という状態になります。
配偶者と長女は、保険金を指定した過程を知らないため、「長男だけ贔屓している」ということで、トラブルに発展してしまいました。
このような場合には、保険金を平等に渡す、遺言書に長男が多く取得する理由などを記載しておくと良いでしょう。
不公平感を失くすだけでも、トラブルを防ぐことは可能です。
生前贈与が行われていた
生前贈与とは、生前の元気な間に贈与を行なうことです。
年間110万円以内であれば、贈与税が課税されず最も手軽に行える相続税対策の1つです。
この生前贈与を均等に行っていれば特に問題はありませんが、特定の相続人にのみ生前贈与を行っていた場合には、相続時にトラブルになる可能性があります。
例えば、2人兄弟の子どもがいた場合兄には生前贈与を行っていたが、弟にはしていなかった。
具体的なトラブルの内容は後述でご説明しますが、生前贈与分を弟が主張しているが兄は関係ないと主張して兄弟同士でトラブルになるケースです。
トラブル事例:兄弟で生前贈与に差があった!?
生前贈与はには、どのようなトラブルがあるのでしょうか。
被相続人 | 父 |
相続人 | 配偶者・長男・次男 |
例えば、長男は結婚をするため被相続人である父から500万円の贈与を受け取っていたと仮定します。
次男は結婚をしていないが、個人的な借金の返済があり被相続人から100万円を支援してもらっていました。
その結果、兄弟で生前贈与の金額に差があることになります。
このような状況では、相続時に長男が次男より400万円多くの遺産を引き継ぐことになります。
上記のように、同じ兄弟でも受けた生前贈与の金額によってトラブルになるケースは存在します。
このような場合には、遺産分割時に揉めないように遺言書を準備することや、家族内で長男に関する贈与の金額について話し合っておくことです。
状況を知らない場合、次男のように受けた生前贈与の金額に目がいってしまうのは、仕方ありません。
場合によっては、次男の遺留分を侵害する可能性もあるため、分割方法に問題がないか弁護士などの専門家に確認してもらうことをおすすめします。
家族との間でトラブルになるケース
遺産に関してトラブルになるケースをご紹介しました。
遺産が少なくてもトラブルになるケースは多いです。
ここでは、家族との間によってトラブルになる争族のケースをご紹介します。
既に相続人同士で仲が悪い
相続ではないトラブルで相続人同士(兄弟間など)の仲が悪い場合には、トラブルに発展しやすくなります。
さらに、前述でご紹介した遺産に関する想いの違いから相続人同士の話し合いに折り合いがつかずトラブルに発展してしまうケースです。
トラブル事例:遺産の分割方法が決まらない
遺産の分割方法がなかなか決まらない。ということは多くあります。
実際にトラブルになった家族のケースを見てみましょう。
被相続人 | 父 |
相続人 | 配偶者(母)・長男・次男 |
遺産 | 総額2,000万円程度(不動産と現金) |
父が亡くなり、遺言書が残されていなかったことから、相続人で遺産分割協議をする方向で進んでいました。
しかし、長男・次男には以前から不仲であり元々関係性が悪い状態でした。
長男は、「家業を継ぐのは自分なので、少しでも多く受け取るべき」、次男は「生前に父から遺産を多く残すと話していた」と主張しています。
母は、公平に分けることを望んでいますが、家業を継ぐ長男を支援したいと考えています。
この場合、遺産の分割方法に大きな影響を与えます。
例えば、不動産の処分に対する意見が以下のように分かれます。
相続人 | 主張 |
---|---|
母・長男 | 売却をして均等に分ける |
次男 | 高値がつくまで待ってから売却する |
配偶者は、広い不動産に1人で住んでいても管理が大変なため、売却したお金を活用し賃貸住宅を契約することを望み、家業を継ぐ長男の事業を支援するためにも売却を望んでいます。
しかし、次男は住み慣れた家を売ることに強く反対し、家をそのまま維持、高値がつくまでは誰かに住んでもらうべきだと主張しトラブルに発展してしまいます。
対策方法:弁護士への早めの相談
既に中が悪いというトラブルが起きている場合には、遺産の分割方法についてのトラブルに発展するケースが多くなります。
不仲であることを知っていた場合には、早めに弁護士に相談し遺言書を作成しておくことで、遺産分割のトラブルを回避することができます。
不平等な分割方法が指定された遺言書の内容
相続時に行なう手続きのはじめは、遺言書が残されているかどうかです。
原則、遺言書が残されていた場合には、その内容通りに遺産を分割します。
遺言書は、相続時に大きな効力を持つため、残されているかどうかで遺産の分割方法を決めるまでの時間に大きな差がでます。
遺言書の内容を確認した際に、不平等な遺産の分割方法が指定されていた場合には、取得する金額を巡って、相続人同士でトラブルに発展します。
トラブル事例:遺言書のその分割方法、遺留分を侵害している!
遺言書を作成しておけば、自由に分割方法を決めることができますが、遺留分となる最低限受け取れる割合を侵害しないように注意しましょう。
以下の事例では、遺言書を作成したはいいが、遺留分を侵害している事例になります。
被相続人 | 父 |
相続人 | 配偶者・長男・長女 |
遺産 | 4,500万円 |
被相続人である父は、遺産相続時に家族でトラブルにならないように遺言書を作成していました。
しかし、相続時に開封をした結果、「配偶者へ1,000万円・長男へ3,500万円・長女に500万円相続する」旨の記載がされていました。
長男も分割方法を知りませんでしたが、配偶者と長女は「長男だけ多く取りすぎている」と不満が溢れてしました。
遺留分の侵害は、遺言書で指定されていても犯すことはできません。
このケースでご紹介している場合の遺留分は以下のようになります。
法定相続分 | 遺留分 | |
---|---|---|
母 | 4,500万円 × 1/2 = 2,250万円 | 2,250万円 × 1/2 = 1,125万円 |
長男 | 4,500万円 × 1/4 = 1,125万円 | 1,125万円 × 1/2 = 562万5千円 |
長女 | 4,500万円 × 1/4 = 1,125万円 | 1,125万円 × 1/2 = 562万5千円 |
つまり、母は125万円・長女は62万5千円分の遺留分を侵害されています。
この分割方法でも問題ないと相続人全員が納得していれば問題はありませんが、あまりにも長男が多く取得しすぎてしまうと、仮に長男が知らなくても遺留分を請求される可能性があります。
対策方法:弁護士・司法書士に相談
遺留分などの割合を知らずに、自由に遺言書を作成してしまうと今回のようなトラブルに発展します。
弁護士や司法書士や遺留分を正しく把握しているため、作成する遺言書が遺留分を侵害していないかをチェックしてもらうことができます。
相談費用などはかかりますが、トラブルを回避するためにも、なるべく専門家へ相談をしましょう。
特定の相続人だけ遺産をもらう
現在の相続は、各相続人が取得できる財産の割合などが決められていますが、旧民法の制度では長男が全ての財産を取得する家督相続という制度がありました。
そのため、長男がいる場合には例え配偶者でも遺産を取得することができません。
現在の民法では、長男が相続時に特別扱いされるような内容ではなく、自由に遺産の分割方法を決めることができます。
ですが、現在でも家督相続のように長男が全ての財産を受け取るべきと考え、他の相続人に遺産を渡さないというケースでトラブルになることもあります。
被相続人の介護を行っていた
被相続人の体調によっては、介護が必要な方もいらっしゃいます。
日頃から介護を行っていた相続人には、寄与分と呼ばれる法定相続分よりも少しだけ多く遺産を引き継ぐことができます。
しかし、他の相続人が介護の寄与分を認めずに、相続人同士でトラブルになるケースも存在します。
トラブル事例:介護をしていたから多く遺産をもらう権利がある!
介護をしていた事巡って、家族間でトラブルになるケースも往々にしてあります。
以下の家族構成でも、介護をめぐるトラブルがありました。
被相続人 | 父 |
相続人 | 配偶者・長男・長女 |
父が亡くなるまでに、長女が率先をして介護にあたっていました。
配偶者である母も高齢であることから1人で介護の負担を負っていました。
長男は、長女が率先して介護を行っていることを知ってはいたが遠方に住んでいるため、長女の支援をすることができませんでした。
父が亡くなり、相続が開始されたあと、長女と配偶者である母が介護に関することでトラブルになりました。
3人の意見は以下の通りです。
相続人 | 主張 |
---|---|
長女 | 父の介護をしていたので、少し多くもらうべき |
配偶者 | 介護は感謝しているが、公平に分けるためにも法定相続分で分けるべき |
長男 | 長女に多く渡すことは了承しているが、金額次第 |
介護を行なうために、仕事も退職し多大な労力と時間をかけて、貢献に応じた遺産の取り分を長女は主張しているが、介護に関して感謝はしているが公平を求める母は法定相続分で分けるべきだと主張し、言い争いなどのトラブルに発展します。
対策方法:弁護士などの専門家への相談
介護などの寄与分を主張するケースでは、介護の貢献度を目に見える形で明確にしない限り、トラブルは延々と継続してしまいます。
弁護士などの専門家に相談しながら、どうすれば寄与分が認められるかを話合うと同時に、事前に遺産についての話し合いをしておくことをおすすめします。
また、軽度の介護であり、判断能力がはっきりしている場合には遺言書を作成することをおすすめします。
弁護士や司法書士に相談しながら、兄弟間や親子間でトラブルにならないような分割方法を検討しておくと良いでしょう。
認知症の方がいる
認知症の方がいる場合には、注意が必要です。
認知症は、判断能力(一定の行為を行った結果を判断できる能力)が低下していると診断されます。
原則、認知症の方が行った行為については無効になります。
そのため、認知症の被相続人が作成した遺言書は無効になり、認知症の相続人がいる場合には、成年後見制度などを活用し、代理人を選任しなければならなくなります。
トラブル事例:遺産分割協議ができない!?
認知症になると遺産相続時にはどんなトラブルが見られるのでしょうか。
下記の家族を参考にし考えてみましょう。
被相続人 | 父 |
相続人 | 配偶者・長男・次男 |
父の相続が開始され、遺言書が発見できなかったため遺産分割協議で遺産の分割方法を決めることになりました。
しかし、配偶者が以前から認知症を患っており判断能力が低下していると医者から診察を受けていました。
一般的には、配偶者と兄弟の3人で話し合いをすることで、遺産の分配方法を決めることができますが、母のように1人でも認知症の方がいる場合には、遺産分割協議を執り行うことすらできません。
前述でご紹介しておりますが、認知症を患った方が行った法律行為に関しては無効になります。
そのため、成年後見制度などを活用し配偶者の代理人を立てない限りは、遺産相続の手続を行なうこともできません。
対策方法:遺言書と家族信託の活用
今回のようなケースでは遺言書を作成するなど、遺産分割協議を行わなくてもいい仕組みを作っておくと良いでしょう。
弁護士などの専門家に事前に被相続人が相談をしておくことで、対策を十分に考えることができます。
さらに、遺産分割協議以外のトラブルを回避したい場合には、家族信託を組成しておくと良いでしょう。
家族信託では、受託者が遺産を管理することができるため、被相続人が認知症などになっても遺産を柔軟に動かすことができます。
前妻と間に子どもがいる
前妻との間に子どもがいる場合には、相続分の割合に注意が必要になります。
異母兄弟の場合、父親は同じのため相続権は前妻の子どもにもあります。
しかし、前妻の子どもがいることを伝えていなかった場合やいきなり異母兄弟が現れても、相続トラブルに繋がる可能性が高くなります。
トラブル事例:父の相続には私も遺産をもらう権利がある!?
父に離婚歴があり、前妻との間に子どもいると以下のようなトラブルに発展します。
家族構成は以下の通りです。
被相続人 | 父 |
相続人 | 長男・長女 |
母は既に他界しており、長男と長女が相続人となりました。
2人の間で、遺産の分割方法には合意をしており、手続きを始めようとした際に、元配偶者の子どもが、介入してきました。
前述でご紹介しているように、異母兄弟でも父親の相続時には、遺産を受け取る権利があります。
そのため、長男と長女で決めた遺産分割の話は無くなり、3人で話し合いを行なうことになりました。
対策方法:専門家と事前の共有が必要
今回のような事例で、生前にできるトラブル対策は、専門家への相談と相続人への事前の共有です。
遺言書を作成することでも対策をすることは可能ですが、遺言書でいきなり知らない相続人が介入するとなると話し合いを行なうのはハードルが高いです。
そのため、父から事前に相続人に話をして面識を合わせておく必要があります。
また、相続人の調査なども不十分であったため、前妻の子どもがいることを把握できませんでした。
弁護士に相続人や遺産の調査を依頼しておくことで、「知らない相続人がいる」というケースを回避することができます。
相続に関する揉め事を予防・防止する方法
相続時にトラブルになりやすいケースを2つのパターンからご紹介しました。
実際には、お金に関するトラブルよりも家族関係によるトラブルの方が起きやすい現状です。
ここでは、前述でご紹介したようなトラブルにならないためにできる予防・防止する方法をご紹介します。
あくまで一般的な予防・防止方法のため全てのみなさまに当てはまるわけではないことをご了承ください。
専門家に相談する
まず1つ目は、専門家を活用しましょう。
相続では、トラブルにならないための対策の他にも実際の相続時の手続きなどがあります。
全ての手続をご自身で行なうことも可能ですが、なるべく専門家に依頼することをおすすめします。
特に財産の評価額の算出には、固定資産税評価通知や、残高証明書などの書類を準備しなければなりません。
さらにトラブルの対策を行なう場合には、事前に財産を把握しなければなりません。
対策方法によって相談する専門家が異なりますので各専門家の特徴を把握しておきましょう
家族で話し合いを行なう
相続トラブルを防止するためには、ただ単に対策をしておけば良いわけではありません。
その相続に関わる相続人たち(家族・親族・親戚)ときちんと話し合うことが重要になります。
場合によっては、親子だけではなく皆様から見て叔父や叔母なども相続に介入する可能性があります。
被相続人の分割方法の考え方や想いを伝えておかなければ、自身に都合の良い遺産分割のみを求められます。
どう切り出す?
相続の話は例え中のいい家族でも切り出しにくい話です。
いきなり「相続についてなんだけど」と言われても、被相続人の良い気はしません。
まずは、年末年始等の実家で家族が集まる機会を利用し、家族とのコミュニケーションを行いましょう。
必ず相続の話をしなければいけないわけではありません。
争いを解決するためではなく、コミュニケーションを取ることが重要です。
切り出し方がわからないという方は、こちらをご参照下さい。
遺言書を作成する
遺言書を作成しておくことは、相続トラブルを予防・防止するためには必須です。
ですが、前述でご紹介しているようにあまりに不平等な分割方法を指定した遺言書の作成は、遺言書を巡ってトラブルになる可能性があります。
分割方法や、遺産の内容についても考慮をして作成することをおすすめします。
公正証書遺言がおすすめ
遺言書にはいくつか種類がありますが、書式などが明確に決められており書式からいつ出した作成方法だと、遺言書は無効とされてしまいます。
さらに、中には自身で保管する遺言書も存在しているため、内容ん改ざんなどを行われる可能性も否定できません。
遺言書が無効にならず、なおかつ改ざん等がされないためには、法的な拘束力が強い公正証書遺言の作成をおすすめします。
生前贈与を行なう
生前贈与は、最も手軽にできる税金対策です。
財産を少しずつ相続人に渡していくことで、将来的な財産が減り相続税の節税効果を期待できます。
ですが、相続人たちに公平に行わなければ返ってトラブルになる可能性があることを認識しておきましょう。
また、暦年課税制度(暦年贈与)を活用する場合には、持戻期間(一定期間の贈与は、贈与ではなく相続で引き継いだものとしてカウントする)がありますので注意して下さい。
家族信託を活用する
家族信託とは、認知症対策や相続対策などに活用する仕組みです。
被相続人の財産の「財産を保有する権利」と「管理・運用・処分する権利」の2つに分割し、後者を信頼できる家族し信じて託す制度です。
この制度を活用することで、認知症になっても財産の移動を自由に行うことが可能になります。
相続の専門家に相談するメリット
前述で、遺産相続の手続きはご自身で行えるとご紹介しました。
相続人どうしのトラブルや遺産に関するトラブルが特段ない場合には、専門家に依頼をしなくても、遺産相続の手続きを行なうことは可能です。
ここでは、遺産相続の手続きを専門家に依頼する場合のメリットをご紹介します。
適切な対策が可能
まず1つ目は適切な対策をすることが可能になるという点です。
「あの時対策していればトラブルにならなかった」などの理由で後悔する相続人さまたちが多くいます。
トラブルを防止し、かつ対策を行なうためにはご自身ではなく専門家に依頼をすることで、みなさまだけの相続トラブルを防止できる対策を考えることが可能になります。
負担の軽減
相続は、トラブルへの対策をした=完了ではありません。
遺産を引き継ぐ際には、名義変更が必要になり遺言書がない場合には、相続人全員で分割方法を話し合う遺産分割協議を行なう必要があります。
さらに相続税の計算や、場合によっては家庭裁判所での手続きが必要な場面があります。
相続前と相続後で手続きをする必要があり、どこでトラブルが起きるのかわかりません。
専門家(特に弁護士)に相談をしておくことで、手続の代行を依頼することができます。
弁護士や司法書士などの手続代行を依頼することで、みなさまの手続きや心の負担wの軽減することが専門家にはできます。
相続トラブルはどこに相談するべき?
相続のトラブル事例や対策方法などをご紹介しましたが、遺産相続に関するトラブルはいつどこで起きるか誰にも予想をすることができません。
そのようなトラブルを起こさないためにもどこに相談すれば良いのでしょうか。
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弁護士が最も広範囲の相談が可能
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相続トラブルは様々な法律が複雑に絡み合うことがあります。
弁護士に相談をすることで、寄与分や遺言書の正しい解釈の仕方を把握することができます。
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多くの手続を弁護士に依頼することが可能になります。
また、相続トラブルが激化すると遺産分割調停や審判・訴訟にまで発展する可能性があります。
費用は高額になる可能性がありますが、弁護士に依頼をしておけば、その対応なども依頼することが可能です。
弁護士をはじめとした専門家に相談できること
弁護士をはじめとして相続時には多くの専門家の協力が必要になります。
ここでは、弁護士・司法書士・税理士・行政書士に相談ができる遺産相続のケースをご紹介します。
弁護士 | 司法書士 | 税理士 | 行政書士 | |
---|---|---|---|---|
生前贈与に関する相談 | ◯ | △ | ◯ | ✕ |
相続税対策に関する相談 | ◯ | △ | ◯ | ✕ |
遺産分割の悩み | ◯ | ◯ | ✕ | ✕ |
遺言書の作成サポート | ◯ | ◯ | ✕ | △ |
相続人・遺産の調査 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
遺言書の検認手続き | ◯ | ✕ | ✕ | ✕ |
遺産分割協議書の作成 | ◯ | △ | ✕ | ◯ |
相続放棄の申述書の作成 | ◯ | △ | ✕ | ✕ |
相続税の計算・申告納付 | △ | ✕ | ◯ | ✕ |
銀行預金の名義変更 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
不動産の相続登記 | ✕ | ◯ | ✕ | ✕ |
自動車の名義変更 | ✕ | ✕ | ✕ | ◯ |
ご紹介したケースのように、専門家によって相談する内容に対応できるかどうかが異なります。
兄弟間や親子間のトラブルの場合は、弁護士に相談することで対応してもらえますが、不動産や税金に関しての相談はあまりおすすめできません。
そのため、相談したい内容や遺産の種類・抱えているトラブルやケースによって相談先を変えることや連携をしてもらうことをおすすめします。
記事のまとめ
今回は、遺産相続時にトラブルになってしまうケースと対策歩方法、相談先をご紹介しました。
いくら仲の良い兄弟や親子でも分割をはじめとしたトラブルになります。
ご紹介したケースはあくまで一般的なトラブルになるため、みなさまが必ずご紹介した事例やトラブルになるわけではありません。
しかし、ケースごとの適切な対策をしておけなければ、トラブルに成る可能性があります。
そのため、少しでも相続に関して不安がある方は早めに専門家に相談しましょう。