税理士は相続税の申告だけが相談できるわけではありません!
大切なご家族が亡くなった場合には、様々な手続きが必要になります。
行政的な手続き(死亡届などの書類提出)から始まりますが、一般的に相続手続きと聞くと「相続税」に関する手続きではないでしょうか。
相続税の手続きを相談する場合には、税理士がおすすめと聞いたことがあるのではないでしょうか。
本記事では、税理士に相続相談をする場合に税理士に依頼できる内容から選ぶうえでのポイント・注意点などをご紹介します。
みなさまの相続税の手続を円滑に進めていくためには、どのように税理士を選ぶべきなのかをご紹介します。
税理士に依頼できる相続相談の内容

まず、相続税の申告手続きには税理士に相談するべきといいますが、税理士は相続税の申告だけを相談できるわけではありません。
初めに、税理士に相談できる内容を順番にご紹介します。
- 相続税の申告業務
- 遺産分割協議書の作成
- 準確定申告
- 節税対策
- 税務調査対策
①相続税の申告業務
冒頭や前述でもご紹介しておりますが、「税理士=相続税の手続きの相談」が可能です。
税理士は、税務に関する専門家です。
相続手続きを、代行可能な専門家は多く存在しますが、専門家の中でも唯一相続税の申告業務を相続人の代わりに行うことが可能です。
具体的には、税金の計算・申告代行・税務調査対策を行うことが可能です。
②遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書とは、遺言書(誰が・どの財産を・どのくらい引き継ぐのかが決められている書類)がない場合に、相続人全員で、話し合いをして分配先などを決める遺産分割協議の内容をまとめた書類のことです。
法定相続分以外の分割方法で、財産を分ける際にも協議書が必要になります。
この書類は、財産の名義変更や相続税の申告納付手続きなどのも必要になりますので、法律上は必須ではありませんが手続きをスムーズに進めるために作成をしましょう。
税理士は、申告手続きだけではなく、書類の作成も可能です。
弁護士を立てる場合は注意が必要
遺産をどのように分けるのかは、相続人1人1人で考え方が異なります。
そのため、中々意見がまとまらずに弁護士などの紛争解決に特化した専門家を通して、協議をする可能性があります。
そのような場合には、税理士に遺産分割協議書の作成を依頼することは、おすすめできません。
法律的な問題が絡む場合には、弁護士が介入することもありますので、税理士ではなく弁護士が作成するのが一般的です。
もちろん、紛争や法律に特化した税理士も存在しますので、「必ず弁護士でなければならない」というわけではありません。
③準確定申告
準確定申告とは、一定要件に該当する被相続人(収入や個人事業主等)の場合、被相続人の代わりに確定申告を行う準確定申告を行う必要があります。
この手続きは、所得税などの税金が関係してくるため、一般的に税理士に相談することが多いです。
準確定申告でも、申告手続きは相続人が行わなければならず、通常の確定申告に必要になる書類に合わせて、準確定申告で必要になる書類があります。
相続人も申告が必要な場合があります。
また、代わりに行う準確定申告以外にも不動産を売買した際には、相続人が確定申告を行う必要があります。
一口に確定申告と言っても、被相続人と相続人、2つの確定申告が必要になります。
準確定申告だけではなく、相続人が必要になる確定申告も税理士には相談することができます。
④節税対策
相続税対策と聞くと「節税対策」「なるべく納める金額を少なくしたい」と考える方は多いのではないでしょうか。
税理士は、税金などのお金に関わる専門家です。
そのため相続税をなるべく抑えられるように、税理士は対策を考えてくれます。
節税対策(各種特例などの優遇措置)はたくさんあり基本的に、要望があれば回答はしてくれますが、みなさまにとって最適であるかは、状況を見てみないとわからないことが多いです。
行き過ぎた節税対策をおすすめする税理士はいませんが、相続は他の専門家などとの協力が必要不可欠になり、複雑な手続きも必要になるので、適切な節税対策を教えてくれる専門家が少ないことも現状です。
⑤税務調査対策
「相続で税務調査が入る可能性がある」と聞いたことがある方も多いではないでしょうか。
- 相続税が正しい金額で申告納付されているかどうか
- 適切な財産評価がされているのか
- 過去の申告内容の確認
- 生前贈与の可能性
- タンス預金などの遺産の確認
上記のようなことを目的に、必要に応じて税務調査を行うことがあります。
税理士には、税務調査対策をしてくれる税理士もいます。
一般的に、税理士に相談をし申告手続きなどの依頼をしておけば、不備のない申告書の作成が可能になるため税務調査の可能性を軽減することはできます。
仮に、税務調査が入った場合でも税理士が対応してくれることが多く、みなさまの不安を軽減することが可能です。
すぐに税務調査は来ない
税務調査は、相続手続きが終了した1年~3年などの期間をあけて行われることがありますので、いつ来るのかが読めません。
税務調査が不安な方は、初めから税理士に相談し依頼をしておくことで、スムーズに手続きを行えます。
依頼する場合に必要になる費用は?~相場はいくら?~

税理士には、様々な手続きの代行を依頼することが可能です。
しかし、実際に相談をして依頼をする場合には、どのくらいの金額になるのか知りたい方も多いのではないでしょうか。
ここでは実際に専門家である税理士に、相続相談をする場合に必要な費用の相場をご紹介します。
遺産総額の0.5%~1%が報酬費用の相場になります
かつては、税理士会が定める規程がありましたが、現在は依頼する際に必要な報酬は税理士が自由に決めることができます。
そのため税理士事務所ごとに報酬金額が異なるため、一概に相場をお伝えすることが難しい状況です。
「相場はいくらです!」とご紹介してしまうと、それを超える金額を提示された場合に、対応できない可能性もあります。
一般的には、遺産総額の0.5%~1%が報酬費用の目安とされています。
それに加えて、それぞれの状況に合わせて追加の費用が費用になります。
状況に合わせて追加の費用が発生する理由は、遺産の評価や計算などの、実務作業によって異なるため追加の費用が発生します。
実際に相談をする際には、以下の項目が合わさって報酬費用が確定します。
- 相談費用
- 調査費用
- 資料作成費用
- 申告手続き費用
上記以外にも、別途報酬費用がかかる税理士もあります。
相談費用
まずは、実際の申告手続きなどを依頼する前に行う相談にかかる費用です。
現在は、初回無料相談が一般的ですが初めから有料になっている税理士事務所もあります。
有料の場合は、1回の無料=金額ではなく、1時間=金額という時間制で設定されていることが多いです。
調査費用
ここでいう調査費用とは、相続人や遺産などの調査をする際に必要になる費用です。
それぞれ調査に必要になる金額は異なります。
例えば、相続人を調査する場合には戸籍謄本などを集めなければなりません。
発行するだけの費用だけであれば、費用が高くなる可能性は低いですが、それだけではなく実際に確定するにも時間がかかります。
また、遺産を調査する際には、遺産の種類だけではなく、それぞれの財産の評価額を算出しなければ相続税の計算や申告手続きを行うことはできません。
そのため、評価額を算出するための費用と遺産を調査するためにかかる実費の費用が必要になります。
資料作成費用
資料作成費用とは、遺産分割協議書や相続税の申告書などの実際の税務署などにていつする際に必要になる書類を作成する際に必要になる費用になります。
申告手続き費用
税理士に相談する中で多いのは、やはり相続税の申告納付手続きではないでしょうか。
税理士に申告納付手続きを依頼する場合、財産の評価・申告書の作成・申告の代行などを行ってもらうことが可能です。
追加で報酬が必要な場合がある
前述で税理士に支払う報酬金額は、「遺産総額の0.5%~1%」とご紹介しましたが、場合によっては別途で報酬が必要になるケースも存在します。
- 不動産(土地・建物)がある場合
- 相続人が多い場合
- 申告期限までの日が短い場合
上記のようなケースでは、財産の評価や相続人の確定に時間がかかります。
特に申告期限が近い場合には、早急に対応しなければなりませんので、その分上乗せで報酬が必要になるケースがあります。
相続に強い税理士事務所はどうやって探す?ポイントはある?
まず初めにお伝えしておく必要があります。
それは「全ての税理士が相続に強いわけではない」ということです。
税理士にも強い分野と苦手な分野がそれぞれあります。
一口に税金に詳しい税理士と言っても「法人税」や「確定申告」などの様々な分野があります。
そこで、相続に強い税理士に依頼する場合にはどのような選び方をすれば良いのでしょうか。
安心して相続税の申告手続きなどを依頼できる、税理士の選び方を見てみましょう。
①相続人に寄り添えるのか
まず税理士だけではなく相続に強い専門家を選ぶ場合に重要な点は「いかにみなさまの心に寄り添えるのか」です。
相続は、お金ではなく「大切な家族を亡くしたことによる手続き」です。
もちろん、相続税の計算や申告手続きを行うことも重要ですが、全てを機械のように対応されてしまうと、相談したいことができない場合があります。
そのため、相続手続きに強いだけではなく、みなさまの不安に寄り添える専門家を選ぶべきです。
②相談実績を公表している
続いては相続相談の実績を公表している税理士です。
ホームページなどで相談実績を掲載している税理士は、相続に強い可能性が高いです。
しかし、相続のどの分野の相談実績が多いのかで判断することも可能です。
③業務内容に相続に関する記述があるかどうかを見る
前述で、ホームページに相談実績を掲載している税理士は相続に強いとご紹介しましたが、それだけでは安心できません。
- 相続全般に強いのか
- 申告手続きの実績が多いのか
- 相続税対策に強いのか
- 遺産分割協議書の作成なのか
相続のどの分野に精通しているのかは、税理士ごとに異なります。
そのため、税理士の紹介だけではなく業務内容に相続のどんな分野に強いのかを見ておくと、皆様の要望に沿った選び方が可能になります。
④他の専門家との繋がりがあるのか
相続は、税金の申告や書類の作成など様々な業務が複雑に絡んできます。
そのため、その他の専門家(弁護士・司法書士・行政書士)など幅広く繋がりのある税理士を選ぶことが重要になります。
他の専門家を紹介してくれる場合がありますので、専門家同士の繋がりが多い税理士を探すと良いでしょう。
⑤報酬金額が適切なのか
税理士の報酬は自由化されているため、税理士で報酬金額が異なります。
基本的には、遺産総額の0.5%~1%が報酬金額となりますが、前述でご紹介した「不動産の有無」「申告期限までの日数」などが追加で必要になることもあります。
追加で必要な費用も、税理士が決めるため一概に報酬金額だけでは決められません。
適切であるかを確認して依頼をする場合には、初回無料相談を行っている税理士も多くオンラインでも対応してくれる税理士も増えてきています。
同じ条件で複数の見積もりを出してみて検討するのも良いでしょう。
ご紹介した相続に強い専門家を探すためのポイントはあくまで概要です。
上記のポイントを抑えておければ必ず安心できるわけではありません。
税理士の話や説明方法・後述するサービスの詳細など、相続に強い専門家を探すためにはまだまだ、ポイントはあります。
注意点

税理士の選び方をご紹介しましたが、これらのポイントを踏まえた上で注意しなければならない点もあります。
注意点は以下の3点に注意しましょう。
①「安い」だけでは安心できません
記事をここまで読んでいただいた方は、ご存知かと思いますが税理士にも得意不得意があります。
なるべく費用は安く済ませたい気持ちもよくわかりますが、お金だけで判断してしまうと「申告手続きだけ行われて、相談してほしいことに乗ってくれない」などのみなさまの不安に繋がります。
費用を抑える考え方は、間違いではありませんが安いだけでは本当に安心することができませんので注意してください。
専門性と質の確保ができない
相談費用や申告手続きなどの報酬が、安い場合相続に関する専門知識や経験が不足している場合があります。
相続税の申告は複雑で専門性が高いため、専門知識と豊富な経験が求められます。
また高い専門性を持つ税理士は、より正確で効果的な相続税対策や申告を提供することができます。
報酬が安価な税理士はその分、サービスの質が低い可能性があります。
申告ミスと税務調査対応力の低さ
相続税の申告は、正確な知識と手続きが必要になります。
一概には言えませんが、報酬費用が低い専門家は、細かい部分までしっかりと確認しない場合があり、申告ミスのリスクが高まります。
相続税の申告ミスがあると、後々税務調査で問題となり、追徴課税やペナルティが発生することがあります。
また税務調査に強くない税理士に依頼する場合、対応力が不足していることが多く、税務当局とのトラブルが発生するリスクが高まります。
②サービスの詳細
多くの場合、相続に強い税理士に相談する内容は、相続税の申告手続きが一般的です。
その他にも、申告書の作成や税務署対応などの様々なサービスが存在します。
報酬金額の内訳の中に、そのようなサービスが掲載されているのかを必ず確認してください。
サービスの詳細や契約内容を事前に把握しておかなければ、「これは別途費用が必要です。」と言われることも少なくありません。
口コミや検索などで、費用や得意としている分野を掲載している税理士事務所などもありますので、活用してみましょう。
追加報酬の条件は必ず確認する
追加で報酬が必要になるケースは、どの税理士でもあります。
そのため、追加報酬が発生する条件などを事前に捉えておきましょう。
特に税務調査に関しては、相続後ある程度の期間が経過した後に連絡がくるため、ミス無く対応してくれるのかどうか・流れは何をしたらいいのか・連絡のタイミングや対応の料金などを依頼の事前に確認しておくと良いでしょう。
継続的なサポートの欠如がある可能性
場合によっては、申告後のアフターケアや継続的なサポートが不十分なことがあります。
相続に関連する問題は申告後も発生することがあるため、継続的なサポートや税務・相続に関する情報を共有してくれる税理士を選びましょう。
③法律への理解
税理士は税金に関する専門家です。
相続は、相続税だけではなく贈与税や譲渡所得税などの様々な税法の解釈と、実務にどう影響するのかを深く理解しておかねければなりません。
信頼できる税理士に依頼したい場合には、最新の税法に関する情報について、発信しているSNSやブログ記事などを見てみると良いでしょう。
相続相談で税理士を選ぶ際には、単に費用の安さだけでなく、専門知識、経験、サービスの質、対応力など総合的な観点から、判断しなければならない点に注意しましょう。
連絡の窓口を1つにする方法があります。
税理士に相続相談をすることで、申告手続きなどを代行してくれます。
しかし、何度もご紹介しておりますが、相続は相続税の申告だけではなく遺産分割協議や不動産・預貯金などの名義変更や相続税だけではない申告期限なども数多く存在します。
そのような場合には、税理士だけではなく他の専門家の協力が必要になります。
税理士が紹介をしてくれる場合もありますが、初めの連絡はみなさまが行わなければならない可能性もあります。
相続ぽるとで連絡の1本化が可能

私たち相続ぽるとでは、相続税の申告手続き以外にも名義変更・相続対策など「躓きやすい相続の入口案内」としてみなさまにご利用いただいております。
みなさまのお悩みや不安・相談に合わせて、適切かつ相続に強い、信頼できる専門家を必要に応じてご紹介しております。
様々な連絡を私たちにいただくことで、私たちが入口となり各種専門家へ橋渡しを行います。
税理士の他にも弁護士・司法書士・行政書士など、相続に関わりのある手続きをすべて1本化することが可能です。
ご連絡の窓口を1つにすることで、みなさまの負担を減らすことが可能になります。
また、ご紹介する専門家は無理な提案や対策などを一切行いませんのでご安心ください。
記事のまとめ
今回は、相続時に税理士に相談できること・費用・選び方のポイント・注意点を順番にご紹介しました。
税理士は申告手続きだけではなく、遺産分割協議書の作成や節税対策・準確定申告など書類作成から実際の手続きまで依頼することができます。
また、相続に関わる専門家の中で唯一相続税の申告手続きの代行を依頼することができるなど、税理士に相続相談をすることで多くのメリットを得ることができます。
また、相続に強い税理士に依頼する場合には、報酬だけではなく、専門知識・経験・サービスの質、対応力などのことも考慮しなければなりません。
税理士によって依頼できる内容が異なりますので、初回無料相談などを活用してみなさまの悩みに合わせた強い税理士を探すことをおすすめします。