法務局での相続相談は個別の相談はできません!
遺産相続時に建物や土地などの不動産を引き継いだ場合には、登記手続きという不動産の名義変更手続を行なう必要があります。
登記を行なう際には、法務局で手続をする必要がありますが、必要書類や申請手続きの流れなどがわからない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
司法書士に相談をすることもできますが、「はじめから専門家は緊張する…」という方も多くいらっしゃいます。
今回は、法務局に相談ができるのかどうか・可能な場合の注意点や登記手続きに必要な情報をご紹介します。
法務局で登記の相談ができるのは本当?
法務局では、相続登記などの登記に関わる相談を行なうことができます。
直接あって相談する方法や電話で気軽に不明点を相談することが可能です。
しかし、直接法務局での相談は日常的に行われているわけではなく、定期的に開催がされています。
そのため、タイミングが良い場合にはすぐに予約を取ることが可能ですが、悪い場合には開催されるまで待つ、もしくはすぐに司法書士になどの専門家に相談しなければならない可能性があります。
詳しい開催状況に関しては、お住いの法務局のHPなどを確認することをおすすめします。
注意!手続きの代行や具体的な対策の場合は、専門家へ
ここで注意しなければならないのが、相談の内容についてです。
前述でご紹介しておりますが、法務局での相談は相続登記に関する司法書士などが行なうわけではありません。
そのため、具体的な手続きの代行や、不動産に関する対策などの相談を行なうことはできません。
法務局のHPでも以下のように記載がされています。
法務局ホームページに掲載されている申請書の様式等をご案内し、一般的な記載事項や添付書類について、説明しますが、個別の事案に沿ったアドバイス、申請書類の事前確認、登記原因の事実や法律行為の有効性の判断やアドバイスは行いません。 |
登記手続案内は、申請内容の整合性や登記の完了を保証するものではありません。 |
法務局での相談は、あくまで手続きの概要や流れなどを無料で相談できる場所の提供です。
そのため、相続登記に関して個別のアドバイスなど求めることはできませんので、ご注意下さい。
引用:東京法務局 登記手続のご案内 【注意事項】
(https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/category_00020.html)
はじめから相談すると代行依頼も可能
司法書士にはじめから相談をしておくことで、相続登記に関わらず様々な遺産相続についての相談を行なう事ができます。
遺産相続の相談ならば、弁護士に相談するべきという方もいらっしゃいます。
確かに、弁護士に相談をすることで全般の相談から対策までを依頼することができます。
しかし、弁護士は法律の専門家であり登記の専門家ではありません。
そのため、はじめから専門家への依頼を検討している場合には、弁護士ではなく司法書士への相談を検討することをおすすめします。
登記の流れと申請方法
法務局での相続登記に関する相談に関してご紹介しました。
ここでは相続登記に関する全体の流れと申請方法をご紹介します。
相続登記の全体の流れ
相続登記の全体の流れは、以下のような流れで行います。
上記のような流れで行います。
1.必要な書類を準備する
不動産だけではなく、相続財産を引き継ぐ場合には名義を変更する必要があります。
その場合には必要な書類を準備する必要があります。
登記に関わらず、遺産相続の名義変更時に必要になる書類は、遺産の分割方法によって必要になる書類が異なります。
具体的に必要な書類は後述で詳しく紹介しておりますので、気になる方はこちらをご参照ください。
2.登録免許税の計算をする
相続登記を行なう際には、登録免許税という登記に関する情報を登録するための必要が必要になります。
一般的には、不動産の評価額×0.4%で登録免許税の計算をすることができます。
3.法務局で申請を行う
相続する不動産に関する書類や登記申請書・登録免許税の収入印紙を揃えたあとに、不動産を管轄している住所の法務局で申請を行います。
ここで注意しなければならないのは、みなさまのお住いの法務局ではなく不動産が登記されている地域の法務局です。
ご自身の居住している地域の法務局で申請をすることはできませんので注意してください。
4.登記識別情報通知を受領し保管をする
必要な書類の提出が完了した後、約1週間~10日ほどに法務局より登記に関する連絡が届きます。
無事に登記が完了した場合には、登記室別情報通知や登記済証などの、登記が完了したことを証明する書類が送付されます。
特に登記識別情報通知は、一度しか発行されず再発行などの手続きは受けつけておりませんので、大切に保管をしましょう。
ここからは、相続登記を行なう際の申請方法をご紹介します。
主な申請方法は以下の3つです。
申請方法①法務局の窓口
法務局の窓口は当たり前ですが、相続登記の申請を行なうことができます。
必要な書類を法務局の窓口に提出することで、申請を受け付けてもらいます。
前述でご紹介しておりますが、登記が完了するまでには1週間~10日ほどの時間がかかります。
そのため、その場ですぐに申請結果がわかるわけではありませんので注意してください。
申請方法②郵送
郵送でも相続登記の申請を行なうことができます。
封をする封筒などの形式には特に決まりはありません。
しかし、登記申請を郵送で行なう場合には、書留郵便で送る必要があります。
これは、安全に送付物を届けるためです。
登記申請をする際には、法的な書類や個人情報などの情報が記入されています。
仮に第三者に不正に扱われることや紛失などが起こらないように、書留で送る必要があります。
登記の結果に左右するわけではありませんので、遠方に住まわれている方の場合は郵送を活用するといいでしょう。
申請方法③オンライン
実は、オンラインでも書類の準備が整えば法務局に行かなくても登記申請を行なうことが可能です。
しかし、申請を行なう場合には事前にソフトのダウンロードが必要になります。
さらに戸籍謄本などの相続登記を行なう際に必要な書類は、電子書類として発行することができません。
そのため、オンラインで申請をした後に、前述でご紹介した郵送などで不足している書類を送付しなければなりません。
上記のようなデメリットもありますが、書面で申請を行なうよりかは少しだけ手続きに必要な手数料が安くなることや、オンライン申請にもメリットはあります。
ご自身にはどのような方法が良いかは、司法書士をはじめとした専門家に相談することをおすすめします。
相続登記のにかかる費用は?
前述で相続登記を法務局で申請するには、登録免許税などの税金が必要なことをご紹介しております。
具体的な計算や登録免許税以外の費用が必要になります。
登録免許税
前述でご紹介しておりますが、相続登記を申請をする場合には登録免許税の納付が必要になります。
この税金は、現金で納付するのではなく収入印紙として納めます。
必要書類の発行費用
相続登記を行なう際には、単に申請書と登録免許税の収入印紙を送付するだけでは、相続登記は完了しません。
相続登記を行なう際には、様々な書類が必要になり法務局ではなく市役所で発行しなければならない書類もあります。
ここでは、相続登記に必要な書類の発行費用の相場をご紹介します。
相続登記を行なう際の書類は、遺産の分割方法によって異なることをご存知ですか?
- 遺言書による遺産分割
- 遺産分割協議による分割
- 法定相続分による分割
上記の3つに分けることができ、それぞれ法務局に提出しなければならない書類が異なります。
遺言書による遺産分割の場合
遺言書による遺産分割を行なう際に、法務局へ提出する書類と発行費用は以下の通りです。
必要書類 | 発行費用 |
---|---|
登記申請書 | 法務局の窓口または法務局のHP |
遺言書 | ー |
検認済証明書 | 300円~500円程度 |
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの記載) | 750円 |
被相続人の除籍謄本 | 750円 |
被相続人の改製原戸籍 | 750円 |
被相続人の住民票除票または戸籍附票 | 200円~500円 |
相続人の戸籍謄本 | 750円 |
住民票 | 200円~300円 |
固定資産税課税明細書 | 毎年5月に送付されているもの |
遺産分割協議による分割の場合
遺言書がなく、相続人で遺産の分割方法を決める遺産分割協議を行った場合に必要な書類は以下の通りです。
必要書類 | 発行費用 |
---|---|
登記申請書 | 法務局の窓口または法務局のHP |
遺産分割協議書 | ー |
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの記載があるもの) | 750円 |
被相続人の除籍謄本 | 750円 |
被相続人の改製原戸籍 | 750円 |
被相続人の住民票除票または戸籍附票 | 200円~500円 |
相続人全員の戸籍謄本 | 750円 |
不動産を引き継ぐ相続人の住民票 | 200円~300円 |
相続人全員の印鑑証明書 | 200円~500円 |
固定資産税課税明細書 | 毎年5月に送付されているもの |
法定相続分による分割の場合
法定相続分で遺産を分割する場合に法務局に提出する書類は以下の通りです。
必要書類 | 発行費用 |
---|---|
登記申請書 | 法務局の窓口または法務局のHP |
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの記載があるもの) | 750円 |
被相続人の除籍謄本 | 750円 |
被相続人の改製原戸籍 | 750円 |
被相続人の住民票除票または戸籍附票 | 200円~500円 |
相続人全員の戸籍謄本 | 750円 |
相続人全員の住民票 | 200円~300円 |
固定資産税課税明細書 | 毎年5月に送付されているもの |
共通してご紹介しておりますが、戸籍謄本などの書類は、全国一律で発行費用(手数料)が決まっています。
しかし、住民票などの費用は各自治体によって異なりますので、費用に関しては市役所の窓口などで相談することをおすすめします。
今回ご紹介した3つの不動産の分割方法による法務局に提出するための書類は、あくまで一般的な書類です。
そのため、家族構成や誰が相続人になるのかで法務局に提出する書類は異なります。
不安な方は、法務局または司法書士などの登記に関する専門家に相談することをおすすめします。
参照:法務局 相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等
(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001393744.pdf)
法務局での遺産相続の相談をする際の注意点
相続登記に関する様々な情報をご紹介してきましたが、実際に法務局に相談を行なう際にはどのようなことに注意しなければならないのでしょうか。
ここでは、法務局へ相談する際に注意するべき点を4つご紹介します。
相談時の注意点は、以下の通りです。
順番に詳しくご紹介します。
1.法務局での相談が可能なのは開庁している平日のみ!
法務局は、法務省の下部組織である政府機関(国の機関)です。
そのため、開庁可能な時間は平日のみになります。
相談を行なう際には、平日しかできないため、平日に仕事がある方は、時間内に相談するか休暇を取る必要があります。
2.手続きの流れは知れるが、代行は受け付けていない
法務局で相談が可能なのは、あくまで一般的な手続きの流れなどです。
司法書士のように手続きの代行などを相談することはできません。
そのため、手続きを依頼したい場合には法務局への相談ではなく、司法書士や専門的な弁護士に相談することをおすすめします。
3.何度も足を運ぶ可能性がある
法務局に申請のための書類を提出した後、書類に不備がある場合には申請するために何度も法務局へ足を運ぶ必要があります。
特に、自分たちで手続きを行なう場合には定期的に開催される相談会に何度も足を運ばなければ手続きが難しい可能性があります。
4.専門家に相談する可能性も含めて検討する
前述でご紹介しておりますが、法務局で相談が可能なことは一般的な手続きの流れなどが中心になります。
そのため、ご自身で手続きに迷われた際に、司法書士や弁護士などの専門家に相談することも踏まえて、法務局の相談会に参加することをおすすめします。
特に、遺言書がなく、遺産分割協議を行なう場合には。不動産の分割方法について家族で揉める可能性があります。
そのような観点からも、専門家に相談することを踏まえて相談することをおすすめします。
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司法書士でも相談が可能!
何度がご紹介しておりますが、司法書士は登記に関する専門家です。
そのため、法務局での相談結果に満足がいかない場合には、司法書士への相談をおすすめします。
司法書士は、法務局とは異なり個別の不動産に関する相談や登記に関する依頼をすることができます。
また、司法書士は弁護士ほどではありませんが一般的な法務知識も持っています。
そのため、遺産(不動産など)の分割方法などの相談もすることができます。
記事のまとめ
今回は、不動産登記に関して法務局で相談が可能であることから、登記の申請方法や費用・書類など相続登記に関しての情報をお伝えしました。
法務局に相談をする際の注意点などは、必ず対策しなければならないわけではありませんが、事前に準備をしておくことで、相談がスムーズになります。
しかし法務局での相談は、一般的な回答しか得られない可能性があります。
遺産相続では、不動産の手続きだけが問題になるわけではありません。
遺産の分割方法などで揉めることもありますので、全体的な相談をご検討の方は、相続ぽるとのしあわせ相続診断をおすすめします。