相続における遺言書とは?|書き方や種類を解説!

遺言書は被相続人からの最後の手紙です。

相続財産を誰がどのくらい引き継ぐのかを決めるには遺言書もしくは遺産分割協議で配分を決定します。
遺言書をは民法で「誰に・どのくらい渡すか」を決める事ができると保証されている書類です。
この記事では遺言書とは何か。どんな種類があるのか。作成したいけど何をしたらいいのかわからない方はぜご一読ください!

遺言書とは?

そもそも遺言書とはどのような書類かご存じでしょうか。
「遺言」と混合されている方もいらっしゃいますが、違いは次のようになっています。

遺言生存している間に家族や大切な人に対して残す言葉
遺言書自身の相続に関して自らの意志を表示する書類

遺言書があれば、相続の際に預貯金や不動産などの分け方などを指定する事ができ、法定相続人以外の人に財産を渡す(遺贈)をする事ができます。
例えば息子の配偶者には、相続権はありませんが長年自分の世話をしてもらったので財産を分けてあげたい。孫に渡したいなどの場合に遺言書を活用すれば相続権がない方にも相続財産を分ける事ができます。

また遺言書には以下の種類があります。

  • 公正証書遺言
  • 自筆証書遺言
  • 秘密証書遺言

詳しくご紹介します。

公正証書遺言

公正証書遺言とは公証役場で作成する遺言書であり、公証人2名が立ち会いのもと作成します。
公正証書遺言はプロの証人のもと作成されているため、遺言書が無効になるというケースが起こりにくい事が大きなメリットです。
また、作成した遺言書は公証役場で保管されるため第三者による遺言書の改ざんなどが起こりにくいこともメリットと言えます。
しかし公証役場までの移動費や手数料・依頼する専門家によって別途報酬がある場合などの費用デメリットなどが挙げられます。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、被相続人が自ら作成する遺言書です。
公正証書遺言などの公証人が必要なく、費用もかかりません。内容の変更等が可能なためいつでも作成できる事が大きなメリットです。
ですが公正証書遺言のように保管してくれる場所はなく自ら保管しなければならないため、遺言書の存在を知らせていない場合は自らの意志が反映された遺産分割をすることができなくなります。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言書の内容を秘匿できる遺言書です。
自筆証書遺言と同じく自ら作成・保管をします。
秘密証書遺言は、公証人に秘密証書遺言だということを証明しなければなりません。遺言書の内容は作成した本人しか確認する事はできず公証人を含め相続人は相続が発生するまで遺言書の中身を知ることはできません。
そのため中身の改ざんを防げる事や相続時に誰が書いた遺言書かを確認する必要がないというメリットがあります。
一方で手数料がかかる事や遺言書の内容に不備があると無効になってしまい臨んだ遺産分割ができない可能性がありますので注意しましょう。

3つの遺言書にはそれぞれメリット・デメリットがありますので自分にあった作成方法で望んだ遺産の分配方法を選択しましょう。

遺言書があった場合の相続手続きは?

相続が発生し遺言書の存在が明らかになった場合の手続きをご存知でしょうか。

勝手に開封してはいけません!

遺言書の存在が相続時に判明した場合、勝手に開封してはいけません。
公正証書遺言の場合は公証役場に保管されているため勝手に開封される事はありません。
しかし自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は家庭裁判所にて検認(相続人立ち会いのもと内容を確認する)の手続きを取る必要があります。
検認なしに開封した場合は、刑事罰(罰金刑)が課されますので注意しましょう。

どんな手続きで中身が見れる?

遺言書がある場合は遺言書通りの内容で遺産を承認するのか放棄するのかなどの相続の手続きを行います。
基本的な流れは次のような流れで行います。

  1. 相続人の確定(戸籍謄本や家系図)
  2. 財産目録を作成(必須ではありません)
  3. 家庭裁判所に検認の申立手続きをする(自筆証書遺言・秘密証書遺言のみ)
  4. 遺産の承認・放棄を決める
  5. 準確定申告が必要な場合は行う
  6. 相続税の有無を確認し納税する

上記の流れで行います。
遺言書がない場合は遺産分割協議を行い遺産分割協議書の作成を行います。
相続の流れを詳しく知りたい方は相続の基本をご一読ください!

遺言書関係で起こる相続トラブル

相続のトラブルには様々な原因がありますが、遺言書が原因でトラブルになることがあります。
トラブル次第では遺言書自体が無効になってしまうケースもあります。

無効になる場合とは?

遺言書が無効になってしまうと、被相続人の意志が反映されていない分配になってしまいます。
今回は遺言書が無効になってしまうケースをご紹介します。

偽造の場合

遺言書を偽造した場合は、遺言書は無効となります。

認知症の場合

認知症になってしまった場合、意思決定能力が無いと判断されます。
この場合「法律行為の当事者が意思表示をした際に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効となる。」と民法第3条第二項で定められています。
遺言書の作成は法律行為(意思能力が必要)になるため、認知症の方が作成した遺言書は効果がなく無効となります。
また、他人が認知症の方に対して有利な遺言書を作成させた場合でも無効になります。

意思能力により遺言書が無効になるケースをもっと知りたい方はこちらを御覧ください!
実際にあった事例をご紹介しております!

作成方法

効果を最大限に発揮できる遺言書を作成するためには、作成方法に気をつけなければなりません。
公正証書遺言は裁判官などプロが作成するため不備がある確率が低くなります。
ここでは民法に定められている作成の手続きとポイントをご紹介します。

ポイント①PCなど作成しない

近年ITの進歩などが著しく上昇していますが、遺言書はPCなどで作成しても効力を有しませんので直筆で作成しましょう。

ポイント②財産目録などは全てのページに自署・押印を行う

財産目録を作成する場合には、必ず直筆でなければならないというわけではありません。
そのためPCなどで作成しても構いませんが、作成した目録を添付する場合には毎葉の裏表に自署と押印をしなければなりません。

ポイント③途中で変更した場合には押印が必要

自筆証書遺言などは作成と保管が自ら行うため内容を変更することがいつでも可能です。
遺産の内容が変更した場合や新たに発覚した場合・書き間違いなどがある場合にはどの部分で加筆・変更しているのかを明確にした上で作成者の自署・押印が必要になります。

e-gov 法令検索より参照
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

注意点

遺言書を作成する時には注意しなければならない点があります!

遺留分の侵害

遺言書は財産を持っている人の意志が優先される書類です。
そのためある程度の遺産分割の方法は指定ができますが、遺留分には注意しましょう。
遺留分とは、相続人などに対し遺言書を活用しても一定の割合の財産を受け取れる権利のことです。
これは遺言書を活用したとしても侵すことのできない相続人の権利です。
遺留分は財産の割合のため相続人によって受け取れる割合が異なります。
遺留分は法定相続分の2分の1または3分の1と定められています。
また兄弟姉妹に遺留分はありませんので注意しましょう!
遺留分について詳しく知りたい方は、こちらで詳しく紹介しておりますのでご一読ください!

相続人全員の合意があれば遺産分割ができます

遺言書で決められた遺産分割の分配に納得ができない場合には、相続人全員の同意があれば遺言書と異なる遺産分割を行う事ができます。

ですが一定の条件がある場合には相続人全員の同意があっても遺産分割協議をすることができません。
同意があっても遺産分割が行えない場合は次表の通りです。

遺贈されたものがいる遺贈を受け取った受贈者の権利を保護するため、全員の同意があっても行えません。
遺産分割が禁止されている遺言書によって遺産分割を禁止する事ができます。この場合禁止にできるのは最大で5年間です。

ご相談は相続ぽるとに!

相続ぽるとでは、相続のわからないをなくし適切な相続の入り口としてご利用いただいております。
遺留分などに気をつけた有効な遺言書の作り方を詳しく知りたい。遺言書の手続きをもう少し詳しく知りたい。相続に係る莫大な不安を相談をしたい。という方はお気軽にご相談ください。

記事のまとめ

今回は相続における遺言書に関してご紹介しました。
気をつけなければならない点が多い書類ですが、適切な対策を行えば被相続人の意志が最大限に考慮された遺産分割ができます。
しかし遺留分侵害への注意や開封するために必要な手続きなどをしなければなりません。
不安な方はぜひ一度相続ぽるとまでご相談ください。