相続対策の公正証書遺言を作成する際の費用は?

公正証書遺言は費用がかかるが有効的対策になる

相続時には、様々な手続きを行う必要がありますが、まずはじめに行うべきは「遺言書が残されているかどうか」です。

作成してるか・未作成かでは相続手続きに大きな影響を与えます。

相続手続きに大きな影響を与える、遺言書にはいくつか種類があり種類によって作成する際の費用が異なります。

その中でも費用がかかるのは公正証書遺言と呼ばれる遺言書です。

本記事では、公正証書遺言という公証役場で作成する遺言書を中心に、作成費用の相場などをご紹介します。

公正証書とはどんな意味なのかなども合わせてご紹介しておりますので、公正証書化した遺言書を検討している方は、ぜひ一度ご参照ください。

公正証書遺言を含めた種類をおさらい

冒頭で遺言書は作成する種類によって、費用が異なるとご紹介しました。

遺言書には3つの種類があり、それぞれ作成するメリットやデメリットなどが異なります。

まずは、簡単に3つの種類をご紹介します。

  • 公正証書遺言
  • 自筆証書遺言
  • 秘密証書遺言

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証役場で作成する遺言書です。

公証役場の公証人が作成する遺言書で、法的拘束力が高く無効になりにくい遺言書です。

公正証書とは、公証人が様々な法律に則り作成する公文書(職務上作成した文書の事)のことを言います。

遺言書を公正証書化することで、強い証明力(法律に則っているので拘束力が高い)を持ちます。

公正証書遺言は、公証人と証人2名の立会のもと作成されます。

相続開始時に、相続人同士で遺言書によるトラブルに発展してしまった場合でも、公正証書化されているものであれば、有効とみなされる可能性が高くなります。

さらに、公正証書遺言は作成後は公証役場で保管がされます。

そのため、後述の種類の遺言書よりも改ざん・捏造・書き換えをされるトラブルを防止することができます。

公正証書化するには費用が必要

公正証書は、公務員などが職務上作成する文書のため作成するにあたり、費用(手数料)が必要になります。

具体的な手数料に関しては、後述で詳しくご紹介しております。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、公正証書と異なり遺産を残す人が自筆で作成する遺言書です。

自身で作成をして保管するため、専門家へのアドバイスなどを省けば基本的には、作成費用(手数料)は発生しません。

作成の費用(手数料)がかからず、自身で作成するため気軽に作成することができる遺言書です。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、自身で作成した自筆証書遺言の存在を公証役場で記録してもらう遺言書です。
自身で作成するため、費用は基本的にかかりません。

どれが良いかはわからない

公正証書遺言を作成することで、法的に拘束力のある遺言書を作成することが可能です。

しかし、全ての方が公正証書遺言を作成したほうが良いのかは、家庭の状況によって異なります。

「私にはどの遺言書が合っているの?」という方は、一度「弁護士をはじめとした専門家に相談するかしないか」を相談できる、しあわせ相続診断をおすすめします。

公正証書遺言を作成する際の費用相場

公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言の3つの遺言書をご紹介しましたが、それぞれメリット・デメリットとなる部分が存在します。

ここからは、弁護士などの専門家に公正証書遺言を作成代行を依頼する際の費用の項目とそれぞれの相場をご紹介します。

あくまで相場費用のため、「必ずご紹介した金額で作成できるわけではない」という点に注意してください。

相談費用

弁護士や司法書士などに、遺言書の作成に関する相談を行う際には相談費用が必要になります。

多くの弁護士事務所や司法書士事務所では、初回相談無料などのキャンペーンを行っております。

初回無料相談などを行っていない、弁護士事務所や司法書士事務所では、「1回の相談で〇〇円」という場合や[30分〇〇円(自動経過)]という形の2つの種類があります。

回数で費用が決まっている場合と、時間で費用が決まっている場合があります。

公証人手数料令

前述で、公正証書遺言を作成する場合には公証人へ、作成の手数料を支払う必要があります。

この手数料は、公証人手数料令という法律で定められており、相続時に分割する遺産の総額によって、支払う費用が異なります。

遺産の金額手数料令
100万円以下のもの5,000円
100万円を超え200万円以下のもの7,000円
200万円を超え500万円以下のもの1万1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの1万7,000円
1,000万円を超え3,000万円以下のもの2万3,000円
3,000万円を超え5,000万円以下のもの2万9,000円
5,000万円を超え1億円以下のもの4万3,000円
1億円を超え3億円以下のもの4万3,000円に5,000万円超過ごとに1万3,000円を加算した金額
3億円を超え10億円以下のもの9万5,000円に5,000万円超過ごとに1万1,000円を加算した金額
10億円を超えるもの24万9,000円に5,000万円超過ごとに8,000円を加算した金額

参照:e-GOV 法令検索 公証人手数料令 別表(第九条、第十七条、第十九条関係)
https://laws.e-gov.go.jp/law/405CO0000000224

証人への日当費用

証人とは、公証人と似ていますが役割が異なります。

証人は、公正証書遺言を作成する際に被相続人が自らの意思で公正証書遺言を作成したことを確認する人です。

証人がいることで、作成された公正証書遺言は文書の信頼性が保証されます。

公正証書にする場合には、証人が2名必要です。

この、証人は基本的には誰でもなることができます。

ただし推定相続人(相続権を所有している人)や未成年者、被相続人の配偶者などは証人になることはできません。

証人には、日当をお支払いする必要があり、依頼する証人との関係性によって費用が異なります。

弁護士・司法書士・行政書士などの専門家の場合の費用

公正証書遺言の証人には、弁護士や司法書士・行政書士などの士業の専門家を選ぶことができます。

証人だけを依頼することも可能ですが、一般的には公正証書遺言作成サポートの費用の中に、証人になった場合の費用も含まれています。

  • 弁護士には15万円~30万円
  • 司法書士は5万円~20万円
  • 行政書士には5万円~10万円程度の費用が必要になります。

費用だけでみると、行政書士に依頼するのが最も費用を抑えることができますが、弁護士

依頼をすることで、その他の相続に関する相談を行うことができます。

公正証書遺言の証人が誰が良いかは、各専門家が行っている初回無料相談なども活用し、

用を比べてみると良いでしょう。

知り合いに依頼する場合の費用

被相続人の知り合いに証人の依頼をすることも可能です。

証人には、被相続人と利害関係者となる人物はなることはできませんが、信頼できる知り合いであれば利害関係とは言えないため、証人とすることが可能です。

知り合いのため、無償で引き受けてくれる方もいらっしゃいます。

ただし、お礼として費用を支払うことは決して悪いことではありませんので、場合によってお支払すると良いでしょう。

公証役場で紹介してもらう場合の費用

専門家や知り合いを証人にできない場合には、公証役場でも証人を紹介してくれます。

公証役場で紹介してもらう証人は、必ず専門家とは言えませんが利害関係はまったくないため、依頼をすることが可能です。

しかし、公証役場で紹介をしてもらう場合には、1名につき6,000円~7,000円程度の費用が必要になります。

証人の種類日当の費用相場
弁護士・司法書士・行政書士などの専門家5万円~30万円程度(専門家によって異なる)
知り合いに依頼する5,000円~数万円程度
公証役場で、証人を紹介してもらった場合1名につき6,000円~7,000円

公正証書遺言に関連する書類の発行費用

公正証書遺言を作成する際には、様々な書類が必要になります。

ここでは、一般的に公正証書遺言を作成する際に必要になる書類とそれぞれの発行費用をご紹介します。

書類名発行費用(手数料)
被相続人の戸籍謄本450円
遺産を分ける相続人との関係性(続柄)がわかる戸籍謄本450円
相続人の住民票の写し200円~300円程度
印鑑証明書200円~300円程度
証人の本人確認書類
執行者の本人確認書類
財産の評価額が分かる書類金額とが不明な場合は、手数料を支払って取得する
遺言書の内容を記したメモ

一般的に、公正証書で遺言書を作成する場合には、上記のような書類が必要になります。
ただし、

依頼する専門家(弁護士・司法書士等)への報酬費用

弁護士や司法書士に依頼をする際には、報酬費用が発生します。

依頼する専門家によって報酬費用は異なります。

弁護士

弁護士に公正証書遺言の作成サポートを依頼する場合、内容が適切であるかどうかや争いになった場合の対応を依頼する事が可能です。

報酬費用の他に契約するための着手金や出張費用などの費用も必要になります。

「公正証書遺言サポートは〇〇円」と料金が決まっている事務所もあれば、決まっていない事務所もあります。

弁護士に依頼する場合の費用相場に関してもう少し詳しく知りたい場合には、こちらをご参照ください!

司法書士

司法書士に公正証書遺言のサポートをする場合には、弁護士よりも費用を抑えることが可能です。

報酬費用や出張費用は、弁護士同様に必要ですが着手金は必要ありません。

また、行政書士と比べても法務的なアドバイスも受けることが可能です。

司法書士も弁護士と同様に、料金が決まっているところもあります。

執行者への報酬費用

遺言執行者にも、報酬費用が必要になります。

公正証書だから高い・自筆証書遺言だから安いというわけではありません。

執行者への報酬費用は、後述でご紹介しますが相続財産の中から支払う必要があります。

費用だけではない作成する際の注意点

公証役場で公証人や証人2名を集めてようやく作成した公正証書遺言なども、無効になってしまっては意味がありません。

公正証書遺言は、「100%改ざんを防ぐ」わけではなく「他の種類と比べて改ざんを防げる」という遺言書のため、「公正証書遺言を作成しておけば完璧」というわけではないので注意してください。

ここでは、公正証書遺言に関する費用だけではない、作成するときの注意点をご紹介します。

作成方法を誤ると無効になる

遺言書は、法律で作成する書式などが決められています。

これは公正証書・自筆証書・秘密証書でも関係ありません。

決められたルールに従えない場合には、作成しても無効になることがあります。

特に、自筆証書や秘密証書などの公正証書とは異なり、自身で作成する遺言書の場合、気軽に作成する事ができるメリットはありますが、その分ルールにしたがって作成をしましょう。

本人の判断能力・行為能力など

公正証書・自筆証書・秘密証書、どの種類を作成しても構いませんが、そもそも作成する被相続人に判断能力・行為能力がなければ、いくら公正証書でも無効になる可能性は十分にあります。

ここでいう、判断能力とは「ある特定の行為を行った結果を予測・判断することができる能力」のことです。

そのため、認知症などの判断能力が低下していると、判断されている方が作成した遺言書は無効になりやすく、相続人同士でのトラブル(争族)の引き金となりやすいです。

どれだけ、相続人や被相続人が「問題ない」と言っていても、判断能力が低下していると判断された場合には、無効になる可能性が高くなります。

早めの作成が重要

公正証書・自筆証書・秘密証書どの遺言書でも、早めに作成しておくことにデメリットはありません。

毎年見直しをして内容の変更をする方もいらっしゃいます。

公正証書などの場合には、費用がかかってしまいますが、相続人同士が自身の財産のことで揉めるところを見たいという方はいらっしゃらないと思います。

そのため、どの遺言書を作成するにしても、早めに専門家などに相談しておくと良いでしょう。

不平等な分割方法は、遺留分を侵害する可能性がある

公正証書や弁護士などの専門家に、作成サポートなどを依頼している場合にはあまり起きにくいですが、費用をかけない自筆証書遺言の場合には、不平等な分割方法を指定した遺言書を作成すると、遺留分を侵害する可能性があります。

遺留分とは、相続人が最低限度相続財産を受け取れる割合のことで、いくら法的拘束力の高い公正証書遺言でも、相続人の遺留分を侵害することはできません。

例えば「財産の全てを配偶者に渡す」という内容でも作成は可能です。

特定の相続人に相続させる内容であっても、他の相続人から特定の相続人に、自身の不足分を請求する遺留分侵害額請求をすることが可能です。

できるだけ侵害しないのが良い。

遺留分が侵害されるとなると、相続人同士での争いになる可能性が非常に高くなります。

遺言書の付言事項に特定の相続人に相続させる経緯などを記載しましょう。

専門家(弁護士・司法書士など)に相談を作成する場合には公正証書や自筆証書など関係なく、できるだけ侵害しないような内容で作成することをおすすめされます。

相続によるトラブルは、絶縁状態になってしまう可能性も否定できません。

さらに、裁判など弁護士の協力が必要な場合には、別途で費用が必要になり、その費用は公正証書遺言作成よりも高額になるケースが多いです。

そのため、相続人同士でのトラブルを防ぐためにも、できるだけ遺留分を侵害しないような内容を検討することをおすすめします。

執行者への費用は相続財産から支払う

遺言書の内容を実現されるために、様々な手続きを行う人の事を執行者といいます。

執行者が指定・選任されている場合には、執行者への費用を支払う必要があります。

執行者への費用は、法律で相続財産から支払うことが定められています。

第千二十一条 遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とする。ただし、これによって遺留分を減ずることができない。

相続財産から、執行者への報酬費用が捻出されます。

これは、公正証書・自筆証書・秘密証書関係なく、執行者が定められている場合には、費用は相続財産から捻出します。

引用:e-Gov法令検索 民法第千二十一条(遺言の執行に関する費用のhttps://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089負担)
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

高いから良質・安いから割悪いではない

公正証書遺言を作成するには、費用がかかります。

さらに遺言書などの相続時に大きな影響を

相続トラブルを防止する方法

相続トラブルを防ぐためには様々な方法がありますが、遺言書に関してはどのように作成すれば相続トラブルを回避できるのでしょうか。

公正証書にする

公証役場までの往復・証人の確保・必要書類の発行手数料・公証人手数料令など費用はかかりますが、遺言書を作成する場合は、公正証書遺言を作成することをおすすめします。

公正証書は、公証役場で公証人が作成するため、書式不備で無効になる可能性が低いです。

さらに、公証人だけではなく証人も加わるため、遺言書の信頼性が向上します。

作成後にも効果がある

公正証書遺言を作成した場合、保管されるのは公証役場です。

そのため、遺言書のトラブルで起こりがちな紛失や盗難・改ざんの可能性が低くなります。

執行者を弁護士にする選任しておく

相続は、一人でも行える手続きがたくさんあります。

しかし、相続人同士での争いや、相続財産の確定・相続税の納付など専門性の高い手続きが求められます。

そのような場合には、費用は必要になりますが専門家を執行者にしておくことで手続きをスムーズに進められます。

特に弁護士や司法書士などは、相続人に変わって手続きを行うことができます。

公正証書遺言だけではなく、遺言書を作成する場合には、弁護士などの専門家を選任しておくと良いでしょう。

専門家にチェックをしてもらう

公正証書や自筆証書でも、法的な書式に沿わなければ有効な遺言書は作成できません。

公正証書は、公証役場で公証人が作成するため、法的な書式に背くような作成はされませんが、遺言書を作成する遺言者の判断能力や意思能力によって、無効になる可能性もあります。

弁護士などの専門家に相談することによって、法的に有効かつ遺留分をなるべく侵害しない遺言書を作成することができます。

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記事のまとめ

本記事では、公証役場で作成する公正証書に関する基礎をご紹介しました。

遺言書は、費用をかけずに作成することも可能ですが、費用はかかっても遺言者(後の被相続人)の想いを実現できる公正証書遺言の作成をおすすめします。

公正証書遺言にすることで、費用や公証役場までの経路・証人の確保などが必要ですが、多くのメリットを得ることができます。

「遺言書は作成しようと考えているが、公正証書は費用的に…」と感じる方はどの種類を作成するかではなく、自身にあった遺言書を一緒に考えてくれる弁護士・司法書士などの専門家に相談をしてみることをおすすめします。

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